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恋
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一次会
真田の姿を見かけなかった
探してはいたけど
分からなかった
もう15年もたったから
彼だって変わってしまって
お互いに気が付かないのかもしれない
二次会・・・
どうしようかな・・・
そう考えていると
「佐久間さん」
声をかけられて振り返ると
理玖
「健人と話した?」
私は首を横に振る
やはり来てはいるんだ
「さっき話しかけろって言ったのにな~」
えっ?
「あっ、お~い
お~い、健人!!」
理玖は大きな声で私の後ろに呼びかける
振り返れない
どうしよう・・・
「何だよ!!」
背中に声が響く
真田の声
理玖はニコニコしながら
「ほら!話せよ!!恥ずかしがるなよ~」
そう言うと理玖が手を伸ばし
私の後ろに立っていた真田を私の前に引っ張り出した
真田・・・ばつの悪そうな顔
あの頃より
髪が短く
ジャケットなんか着て
社会人らしくなってるけど
あの日のまま
「そんなんじゃねーよ」
「じゃ、何で話しかけないんだよ」
「それは…」
「ま、いいや
後は二人で…しっかり話せよ」
そう言って
真田の肩をポンポンと叩いて
理玖は去っていった
「久々」
真田がぺこりと頭を下げる
「お久しぶり」
私がそれに返すと
遠くから
理玖が私たちに
「じゃ、二次会行くぞ」
そう言って誘うから
私たちはそれから、無言のまま
みんなの後ろを並んで歩いた
二次会場所は
同級生のお母さんの経営するスナックだった
けっこう広いお店だけど
人数が多いからぎゅうぎゅうで
話し・・・できる?
「ちょっと表で話す?」
真田は外を指さすから
私は頷いてついていった
私たちは店の外の植え込みの端っこに腰かけて
話をすることにした
真田はカフェオレと無糖コーヒーを買ってきた
「どっち?」
私はカフェオレを指さす
「普通だね」
「何それ?」
「だいたいの女はそうだなって思って」
そう言うと意地悪な笑みを浮かべる
だいたいの女って
よっぽど知ってるみたい
なんだか嫉妬心が芽生える
私から言葉を出す
「元気だった?」
真田は目を合わさない
「ああ」
素っ気ない
「どうしてた?」
「普通に・・・」
なによ、よの返し
話が止まる
「・・・ ・・・」
「・・・ ・・・」
沈黙
「話、続かないね」
真田は遠くを見て
頷く
「中、入ろうか?」
何を話せば良いか
分からないよね
お話上手じゃない私達は、15年の事を
1から話すの大変だし…
私は店の中に戻ろうと立ち上がると
「俺さ・・・」
真田が話し始めた
私は何も言わずに座りなおす
「俺さ・・・お前の事好きだった
初めて好きになったやつが
親友の相手でさ、まいった
理玖ってさ
めっちゃニコニコして俺に言ったんだ
”好きになった子がいて
告白するんだ
協力して”
って
俺さ、なんも言えなくてさ
諦めようと思ってた
だけどさ
親友の彼女になったらさ
お前、俺にとってもめっちゃ身近になってさ
話しとかいっぱいしてたらさ
好きな気持ち
抑えられなくなってさ
・・・ダメだって思えば思う程
お前の事が好きになった」
・・・ ・・・
「だけど
あの日、理玖がめっちゃ泣いてるの見てさ
俺は酷い事したんだって
気付いてさ
もうやめようって思った
ま、だいぶん遅かったけどな」
・・・遅いよ・・・
「あれから
いろんな女と付き合った
だけどさ、ダメなんだわ
どんな女と付き合っても
真剣になれない
見た目
最高にいい女と付き合ったって
あん時みたく好きになれない
俺さ
俺・・・やっぱどっかでお前が諦めきれていないっていうか
こんな齢までお前を思い出す
・・・お前って・・・何?」
私だって
あの頃の恋を忘れきれないでいる
理玖と真田を傷つけた事
引きずっている
真田と私は
似ている
「理玖はお前に会いに行けって
何度も俺に言って来てさ
結城もさ、色々と口出してきたりしてさ
あいつら
お節介だから
心配されて…
だけど
何年も何年も時間だけ過ぎて
今更だよな
今更、ごめん」
頭を下げる
真田
理玖と由香ちゃん
真田と色々と話していたんだ
知らなかった
由香ちゃん
私には何も言わなかったから…
でも、
どうして良いか分からないよ
「何が言いたいのか分からない」
そう言うと
真田は立ち上がり
お店に戻ろうとする
「ちょっと待って」
私は彼の手をつかみ
それを止める
真田は振り返る
「俺も分かんねーよ
話せ話せって言われても
分かんねー
どうしたいのか?
わかんねー」
「じゃ、私の話も聞いて
私、真田が好きだった
理玖の事も好きだった
そんなんが
初めての恋だったから
だから
いまだって拗らせてる
まともに恋愛できない
また、あんな風に人を傷つけてしまうんじゃないかって
そういう人間なんじゃないかって思うと
怖くてまともに人と向き合えない」
真田はこちらを向いて
「・・・っで?お前だって意味わかんねぇ」
「っでって・・・
あの・・・責任取って」
私、本当に意味が分からない事言ってる
「責任取って・・・ください」
「敬語に直しただけたよな?」
頷く私
私、こんなに久しぶりに会って何言ってるんだろう?
彼がどんな人生を今まで歩んできたのか?
15年の空白は全く埋まっていないのに
もしかしたら
彼女がいるかも
結婚しているかも
子供いるかも
そもそも
あの頃の関係を引きずっているだけで
今の私に
興味を持てるかどうかも分からない
走りすぎた…
何も聞いていないのに何してるんだろう
どうしよう・・・
だけど
目の前にいる
あの頃と変わらない
不器用な彼が・・・私はたまらなく愛おしい
すると
真田はスタスタとこちらに来て
私を胸に抱いた
"えっ?"
「言わせてごめん」
そう言って
頭に唇をつけた
真田の臭い
懐かしくて
柔らかい気持ちになる
うっとりしてしまう
でも、
どういう意味?
どうしよう
その先が
悪い想像しかできない
真田はこちらを見る
私も真田を見上げる
「ずっと好きだった
お前の事が好きだった
誰と居ても何をしてても
お前の事ばかり思い出して・・・」
「好きだった・・・の?」
「いや、好き・・・だ」
そう言ってはにかむから
私も笑顔になって
「私たちこれからどうなるの?」
そう言うと
真田は私のオデコにキスをして
またギュッと抱きしめた
私も彼をしっかり抱きしめて
彼の温もりを感じた
心の奥に支えていたものが
サラサラと消えてなくなるのが分かった
「キスしてもいい?」
「それ、聞く?」
私は頬が熱くなるなを感じる
「いや、聞かないとさ
お前、目、閉じないだろ!」
私達は、初めてのキスを思い出して
クスクスッと笑いあった
そして、
真田は真剣な顔でこちらを見て
私も、彼を見て
ゆっくり唇を合わせ
私は目をそっと閉じた
終わり
"ガチャッ"
店の中から酔っ払いが、勢いよく出てきた
私達は直ぐに離れたけど
見られたようだ
彼は店の戸をもう一度開けて
大きな声で皆に
「真田と佐久間がチューしてるぞ!!」
と、騒ぐから
みんなが勢いよく店外に出てくる
「マジで!」
「付き合ってるの?」
「何でなんで?」
「狙ってたのに~」
「見せて見せて~」
酔っぱらいたちに囲まれ
私達はただ、照れて困るしかできない
理玖と由香ちゃんが慌てて出てきて
冷やかす皆を店の中に入れる
手際よく
しかし、ドタバタと
最後の一人を入れると
由香ちゃんはクスクスっと嬉しそうに笑って店に入っていった
理玖は最後に
「ごゆっくり~」
とふざけながら手を振って入った
「なんだよあいつ!
"ごゆっくり~"って!」
私と真田は照れながら目を合わせて笑った
そしてまた抱き合って
あの頃、叶わなかった恋のはじめを味わうように
またキスをした
真田の姿を見かけなかった
探してはいたけど
分からなかった
もう15年もたったから
彼だって変わってしまって
お互いに気が付かないのかもしれない
二次会・・・
どうしようかな・・・
そう考えていると
「佐久間さん」
声をかけられて振り返ると
理玖
「健人と話した?」
私は首を横に振る
やはり来てはいるんだ
「さっき話しかけろって言ったのにな~」
えっ?
「あっ、お~い
お~い、健人!!」
理玖は大きな声で私の後ろに呼びかける
振り返れない
どうしよう・・・
「何だよ!!」
背中に声が響く
真田の声
理玖はニコニコしながら
「ほら!話せよ!!恥ずかしがるなよ~」
そう言うと理玖が手を伸ばし
私の後ろに立っていた真田を私の前に引っ張り出した
真田・・・ばつの悪そうな顔
あの頃より
髪が短く
ジャケットなんか着て
社会人らしくなってるけど
あの日のまま
「そんなんじゃねーよ」
「じゃ、何で話しかけないんだよ」
「それは…」
「ま、いいや
後は二人で…しっかり話せよ」
そう言って
真田の肩をポンポンと叩いて
理玖は去っていった
「久々」
真田がぺこりと頭を下げる
「お久しぶり」
私がそれに返すと
遠くから
理玖が私たちに
「じゃ、二次会行くぞ」
そう言って誘うから
私たちはそれから、無言のまま
みんなの後ろを並んで歩いた
二次会場所は
同級生のお母さんの経営するスナックだった
けっこう広いお店だけど
人数が多いからぎゅうぎゅうで
話し・・・できる?
「ちょっと表で話す?」
真田は外を指さすから
私は頷いてついていった
私たちは店の外の植え込みの端っこに腰かけて
話をすることにした
真田はカフェオレと無糖コーヒーを買ってきた
「どっち?」
私はカフェオレを指さす
「普通だね」
「何それ?」
「だいたいの女はそうだなって思って」
そう言うと意地悪な笑みを浮かべる
だいたいの女って
よっぽど知ってるみたい
なんだか嫉妬心が芽生える
私から言葉を出す
「元気だった?」
真田は目を合わさない
「ああ」
素っ気ない
「どうしてた?」
「普通に・・・」
なによ、よの返し
話が止まる
「・・・ ・・・」
「・・・ ・・・」
沈黙
「話、続かないね」
真田は遠くを見て
頷く
「中、入ろうか?」
何を話せば良いか
分からないよね
お話上手じゃない私達は、15年の事を
1から話すの大変だし…
私は店の中に戻ろうと立ち上がると
「俺さ・・・」
真田が話し始めた
私は何も言わずに座りなおす
「俺さ・・・お前の事好きだった
初めて好きになったやつが
親友の相手でさ、まいった
理玖ってさ
めっちゃニコニコして俺に言ったんだ
”好きになった子がいて
告白するんだ
協力して”
って
俺さ、なんも言えなくてさ
諦めようと思ってた
だけどさ
親友の彼女になったらさ
お前、俺にとってもめっちゃ身近になってさ
話しとかいっぱいしてたらさ
好きな気持ち
抑えられなくなってさ
・・・ダメだって思えば思う程
お前の事が好きになった」
・・・ ・・・
「だけど
あの日、理玖がめっちゃ泣いてるの見てさ
俺は酷い事したんだって
気付いてさ
もうやめようって思った
ま、だいぶん遅かったけどな」
・・・遅いよ・・・
「あれから
いろんな女と付き合った
だけどさ、ダメなんだわ
どんな女と付き合っても
真剣になれない
見た目
最高にいい女と付き合ったって
あん時みたく好きになれない
俺さ
俺・・・やっぱどっかでお前が諦めきれていないっていうか
こんな齢までお前を思い出す
・・・お前って・・・何?」
私だって
あの頃の恋を忘れきれないでいる
理玖と真田を傷つけた事
引きずっている
真田と私は
似ている
「理玖はお前に会いに行けって
何度も俺に言って来てさ
結城もさ、色々と口出してきたりしてさ
あいつら
お節介だから
心配されて…
だけど
何年も何年も時間だけ過ぎて
今更だよな
今更、ごめん」
頭を下げる
真田
理玖と由香ちゃん
真田と色々と話していたんだ
知らなかった
由香ちゃん
私には何も言わなかったから…
でも、
どうして良いか分からないよ
「何が言いたいのか分からない」
そう言うと
真田は立ち上がり
お店に戻ろうとする
「ちょっと待って」
私は彼の手をつかみ
それを止める
真田は振り返る
「俺も分かんねーよ
話せ話せって言われても
分かんねー
どうしたいのか?
わかんねー」
「じゃ、私の話も聞いて
私、真田が好きだった
理玖の事も好きだった
そんなんが
初めての恋だったから
だから
いまだって拗らせてる
まともに恋愛できない
また、あんな風に人を傷つけてしまうんじゃないかって
そういう人間なんじゃないかって思うと
怖くてまともに人と向き合えない」
真田はこちらを向いて
「・・・っで?お前だって意味わかんねぇ」
「っでって・・・
あの・・・責任取って」
私、本当に意味が分からない事言ってる
「責任取って・・・ください」
「敬語に直しただけたよな?」
頷く私
私、こんなに久しぶりに会って何言ってるんだろう?
彼がどんな人生を今まで歩んできたのか?
15年の空白は全く埋まっていないのに
もしかしたら
彼女がいるかも
結婚しているかも
子供いるかも
そもそも
あの頃の関係を引きずっているだけで
今の私に
興味を持てるかどうかも分からない
走りすぎた…
何も聞いていないのに何してるんだろう
どうしよう・・・
だけど
目の前にいる
あの頃と変わらない
不器用な彼が・・・私はたまらなく愛おしい
すると
真田はスタスタとこちらに来て
私を胸に抱いた
"えっ?"
「言わせてごめん」
そう言って
頭に唇をつけた
真田の臭い
懐かしくて
柔らかい気持ちになる
うっとりしてしまう
でも、
どういう意味?
どうしよう
その先が
悪い想像しかできない
真田はこちらを見る
私も真田を見上げる
「ずっと好きだった
お前の事が好きだった
誰と居ても何をしてても
お前の事ばかり思い出して・・・」
「好きだった・・・の?」
「いや、好き・・・だ」
そう言ってはにかむから
私も笑顔になって
「私たちこれからどうなるの?」
そう言うと
真田は私のオデコにキスをして
またギュッと抱きしめた
私も彼をしっかり抱きしめて
彼の温もりを感じた
心の奥に支えていたものが
サラサラと消えてなくなるのが分かった
「キスしてもいい?」
「それ、聞く?」
私は頬が熱くなるなを感じる
「いや、聞かないとさ
お前、目、閉じないだろ!」
私達は、初めてのキスを思い出して
クスクスッと笑いあった
そして、
真田は真剣な顔でこちらを見て
私も、彼を見て
ゆっくり唇を合わせ
私は目をそっと閉じた
終わり
"ガチャッ"
店の中から酔っ払いが、勢いよく出てきた
私達は直ぐに離れたけど
見られたようだ
彼は店の戸をもう一度開けて
大きな声で皆に
「真田と佐久間がチューしてるぞ!!」
と、騒ぐから
みんなが勢いよく店外に出てくる
「マジで!」
「付き合ってるの?」
「何でなんで?」
「狙ってたのに~」
「見せて見せて~」
酔っぱらいたちに囲まれ
私達はただ、照れて困るしかできない
理玖と由香ちゃんが慌てて出てきて
冷やかす皆を店の中に入れる
手際よく
しかし、ドタバタと
最後の一人を入れると
由香ちゃんはクスクスっと嬉しそうに笑って店に入っていった
理玖は最後に
「ごゆっくり~」
とふざけながら手を振って入った
「なんだよあいつ!
"ごゆっくり~"って!」
私と真田は照れながら目を合わせて笑った
そしてまた抱き合って
あの頃、叶わなかった恋のはじめを味わうように
またキスをした
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