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同窓会
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その日から
私たち三人は離れ離れになった
理玖とは
特に別れ話はしていない
だけど
もう話もしないし
目も合わない
一緒に行こうと決めていた志望校
理玖がギリギリで変更したというのは
入試の日に知った
真田はあの後
直ぐに彼女ができた
一学年したの子で
フランス人と日本人のハーフで
内外ともに早熟な子
年下と思えないくらい大人っぽい雰囲気で
二人とも背が高くてスタイルがいいから
モデルカップルみたいで
みんな憧れの眼差しで見ていた
卒業までの数日間
いたるところでイチャイチャしているから
先生達からよく呼び出されて
二人そろってお説教されていた
真田がどこの高校へ進学したかは知らない
【それから15年】
私たちは全く関わることなく
大人になった
私も大学から地元を離れ
就職もそちらでしたから
昔の友達の話は
由香ちゃんから
たまに聞く程度だった
由香ちゃんも気を使って
理玖と真田の話しはしないから
全く彼らがその後
どうなったかも知らなかった
「リンちゃん
同窓会があるって・・・」
由香ちゃんから
久々に電話が来た
「私はいいや」
そう言うと由香ちゃんは
ため息をついて
「またパス~?」
私たちの学年は
幹事が集め上手で
成人式の翌年から
二年に1度、同窓会を開いている
私は一度も出席したことがない
「もう、いいんじゃないの?」
「何が?」
「行こうよ
私たちもう30歳になるよ
これを節目に
ケリを付けたら?」
「何のケリ?」
しらばっくれる私に由香ちゃんは
いつだかのようにしっかりした口調で言う
「理玖くんと真田君の事だよ!!
ずっと目を逸らしてる
ずっと逃げてるでしょ?」
由香ちゃんには敵わない
私の事を
よく理解している
「・・・終わった事だよ」
小さな声で言うと
「終わってない
リンちゃんの中で引っかかってるでしょ?
だから未だに
まともな恋愛できないんだよ!!」
由香ちゃんの言葉はいつだって刺さるものがある
そうだ
あれから私は恋愛が怖くなってしまった
また
誰かを好きになって
傷つけてしまいそうで
自分が自分で恐ろしくて・・・
「ちゃんと過去と向き合って
さよならしなきゃ
ずっと立ち止まってたら
幸せになれないよ」
由香ちゃんの言うことは
いつも正しい
「でも・・・」
だけど、私がうだうだしていると
「じゃ、分かった
主婦で息抜きできない私のために
一緒に同窓会に行って!
リンちゃんがどうしても一緒に行ってって言うからって
旦那と子供たちに言い訳したいから
お願い!」
由香ちゃんは高校を出てすぐ結婚した
相手はあの頃から付き合っていた年上の彼氏
赤ちゃんができた事がきっかけだった
まわりは軽率だなんて言っていたけど
由香ちゃんの思いはいたって純粋なまでに真っすぐで
一度だってぶれてはいない
だから
若すぎる結婚だと心配する人たちもいたけど
私は何も心配なんてしていなかった
二人にはその後も3人の子供に恵まれ
ご主人も
優しいから子育てに協力的で
何とも羨ましくも仲の良い
素敵な夫婦で
最近は家が手狭になったからと
お庭の広い一軒家を購入した
私の自慢でもあり憧れの家族だ
そんな由香ちゃんが
同窓会に行きたいって言ったって
ご主人は快く”いってらっしゃい”って
送り出すだろうに
私を言い訳にしたいなんて
そんなはずない
これは
”ここまで私が言ってるんだから
今回は参加しなさい!!”
と言われている
そう感じた私は
友として
そこまで私に親身になってくれる由香ちゃんの気持ちを受け取って
同窓会に参加する事を決めた
由香ちゃんは
嬉しそうに
「わ~嬉しい
リンちゃんにも久しぶりに会えるし
同窓会も楽しみ~」
そう言って
電話を切った
こんな年齢にもなって
こんなに心配されている私は
本当に手のかかる友達だよね・・・由香ちゃん
友の強引さに感謝しつつ
私は来月の同窓会のハガキに出席の丸を付けた
私たち三人は離れ離れになった
理玖とは
特に別れ話はしていない
だけど
もう話もしないし
目も合わない
一緒に行こうと決めていた志望校
理玖がギリギリで変更したというのは
入試の日に知った
真田はあの後
直ぐに彼女ができた
一学年したの子で
フランス人と日本人のハーフで
内外ともに早熟な子
年下と思えないくらい大人っぽい雰囲気で
二人とも背が高くてスタイルがいいから
モデルカップルみたいで
みんな憧れの眼差しで見ていた
卒業までの数日間
いたるところでイチャイチャしているから
先生達からよく呼び出されて
二人そろってお説教されていた
真田がどこの高校へ進学したかは知らない
【それから15年】
私たちは全く関わることなく
大人になった
私も大学から地元を離れ
就職もそちらでしたから
昔の友達の話は
由香ちゃんから
たまに聞く程度だった
由香ちゃんも気を使って
理玖と真田の話しはしないから
全く彼らがその後
どうなったかも知らなかった
「リンちゃん
同窓会があるって・・・」
由香ちゃんから
久々に電話が来た
「私はいいや」
そう言うと由香ちゃんは
ため息をついて
「またパス~?」
私たちの学年は
幹事が集め上手で
成人式の翌年から
二年に1度、同窓会を開いている
私は一度も出席したことがない
「もう、いいんじゃないの?」
「何が?」
「行こうよ
私たちもう30歳になるよ
これを節目に
ケリを付けたら?」
「何のケリ?」
しらばっくれる私に由香ちゃんは
いつだかのようにしっかりした口調で言う
「理玖くんと真田君の事だよ!!
ずっと目を逸らしてる
ずっと逃げてるでしょ?」
由香ちゃんには敵わない
私の事を
よく理解している
「・・・終わった事だよ」
小さな声で言うと
「終わってない
リンちゃんの中で引っかかってるでしょ?
だから未だに
まともな恋愛できないんだよ!!」
由香ちゃんの言葉はいつだって刺さるものがある
そうだ
あれから私は恋愛が怖くなってしまった
また
誰かを好きになって
傷つけてしまいそうで
自分が自分で恐ろしくて・・・
「ちゃんと過去と向き合って
さよならしなきゃ
ずっと立ち止まってたら
幸せになれないよ」
由香ちゃんの言うことは
いつも正しい
「でも・・・」
だけど、私がうだうだしていると
「じゃ、分かった
主婦で息抜きできない私のために
一緒に同窓会に行って!
リンちゃんがどうしても一緒に行ってって言うからって
旦那と子供たちに言い訳したいから
お願い!」
由香ちゃんは高校を出てすぐ結婚した
相手はあの頃から付き合っていた年上の彼氏
赤ちゃんができた事がきっかけだった
まわりは軽率だなんて言っていたけど
由香ちゃんの思いはいたって純粋なまでに真っすぐで
一度だってぶれてはいない
だから
若すぎる結婚だと心配する人たちもいたけど
私は何も心配なんてしていなかった
二人にはその後も3人の子供に恵まれ
ご主人も
優しいから子育てに協力的で
何とも羨ましくも仲の良い
素敵な夫婦で
最近は家が手狭になったからと
お庭の広い一軒家を購入した
私の自慢でもあり憧れの家族だ
そんな由香ちゃんが
同窓会に行きたいって言ったって
ご主人は快く”いってらっしゃい”って
送り出すだろうに
私を言い訳にしたいなんて
そんなはずない
これは
”ここまで私が言ってるんだから
今回は参加しなさい!!”
と言われている
そう感じた私は
友として
そこまで私に親身になってくれる由香ちゃんの気持ちを受け取って
同窓会に参加する事を決めた
由香ちゃんは
嬉しそうに
「わ~嬉しい
リンちゃんにも久しぶりに会えるし
同窓会も楽しみ~」
そう言って
電話を切った
こんな年齢にもなって
こんなに心配されている私は
本当に手のかかる友達だよね・・・由香ちゃん
友の強引さに感謝しつつ
私は来月の同窓会のハガキに出席の丸を付けた
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