鏡よ鏡よ鏡くん

成瀬 慶

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真奈美

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鏡くんはこちらを見ながら
大学ノートをペラペラめくる

「祐貴
でもさ
君がさっき自分をしっかり理解して
文の事を許したでしょ?
そうしたら
未来が少し変わったんだよ」鏡くん

鏡くんの顔を
期待するような表情で見る

「おいおい
あんまり期待しないで~
どちらに転んでも悩みだからさ」鏡くん

どういう事になるんだろう?
気になる
気になる
だけど少し怖い

さっきの話では
真奈美を自殺にまで追い込んで
それ以上の事だったらどうしよう

「祐貴
だから
真奈美は未遂だから
心配しすぎんなって」鏡くん

「未遂だとしても
俺のせいで
その決断までさせてしまったんだろ?」祐貴

「祐貴
やっぱり君は良い子だね」鏡くん

良い子って
小さい子供をあやすわけでもあるまいし
何だよ
嬉しくねーよ

「そう言うなって
祐貴
褒めてんだから」鏡くん

「っで?どうなったの?」祐貴

鏡くんはノートをめくる

「君はさっき
文の事を思って
自分から別れ話をすることにしたろ?
君は文に言うんだ
”好きな子ができた”
って
文は拍子抜け
自分が振るつもりが振られて
内心ホッとするんだ
でも
女の子って欲張りだよね
そう言われてしまうと
手放したくなくなる
自分の方には
ちゃんと相手がいてもね
だけどその日は
無事にお互い別れを成立させる
そして
君は家に帰る
ちょっとセンチメンタルな感じで
そうしたら
真奈美が待っている
そして
真奈美の告白

君は悩む

だって元カノの姉妹

どうしよう
どうしよう

でも
もう文とは終わったし
真奈美可愛いし
ちょっと気になっていたし

付き合おう
付き合ったっていいだろ

"文の元カレで良かったら・・・付き合う?"

真奈美は自分の恋が受け入れられて
嬉しくて
幸せの絶頂

君は文にできなかった分
真奈美の事を大切にしようと思う」鏡くん

良いお話しだ
何も不備はない
どうして?
どうしてそれが悩みになるんだ?

すると鏡くんはニヤリと笑って

「祐貴
わかんないかな?
どんな悩みがこの先にあるのか?
わかんないよね
祐貴は・・・」鏡くん

鏡くんが腕組みをして
しばらく考え事をしている
どうしたんだ?
不安になる
俺は
そんな彼をただ見ている事しかできなかった
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