25 / 35
水割りをください
しおりを挟む
奏は俺の直ぐ近くで
じっと見つめる
「奏・・・何言ってるのかよく分からないんだけど」愁
奏では少しむくれて
「隠してるの?
今更、隠さないでよ
あの子の事」奏
誰の事を言っているのか?
奏は何を言っているのか?
「誰のこと?」愁
すると奏は俺を睨みつけ
「唯香さんの事!!」奏
あっそうか
あの時
奏は唯香の事を誤解してたんだ
試合に負けて
俺が泣いているのを
唯香が慰めてくれた時の事を
奏では友情ではなく
恋愛関係だと誤解しているんだ
そうか
俺があの時
ちゃんと話してなかったから
話さないまま
会わなくなったから
「唯香は幼馴染だよ
マネージャーだし親友
あの時は試合に負けて
あいつが慰めてくれただけで
そういう関係ではないよ
ちゃんと言えてなかったね
ごめん」愁
奏では頬を膨らませて
「違う
その後
付き合ったでしょ?」奏
えっ?何で?
「だから・・・友達だって」愁
俺は少しむきになる
唯香は友達なのに
奏が変なこと言うから…
「ウソ!!
絶対にいい感じになったでしょ?」奏
どうして?
そう思う奏が分からない
「えっ?そんなわけないよ
あいつ・・・あの後
幸助と付き合ったし」愁
奏はにこりと笑って
態度を変える
「そうなの?
私、てっきり私と別れた後
彼女と・・・って思ってた」奏
ニヤニヤする
奏の表情に少しひく
「どうして?」愁
奏は肩を揺らしながら
笑いをこらえる
「彼女、あきらめたのね
へ~そうなんだ
幸助君と付き合ったんだ・・・へ~」奏
奏は何かを思いながら笑う
「何だよ?」愁
不愉快
「愁くんが鈍感で良かった!!」奏
バカにされてる?
「何だよ!教えろよ」愁
俺はなんだか
からかわれているようで
少し怒る
「彼女にだけは取られたくなかったのよね
私、初めて会ったときから嫌いだったから!!」奏
奏は冷たい表情になり
目の前にある牛肉をパクリとほおばって言った
そんなに唯香の事
そんなに嫌うほど知らないだろ?
俺はむっとした
「彼女、愁くんの事
好きだったよね」奏
奏の今まで見たことも無い悪い顔
美人だから怖さが増すな・・・
しかし
俺は奏の言う事に理解できなくて
聞きなおす
「は?」愁
奏は勝ち誇ったような表情で話し始めた
「言えなかったのね
あなたとの関係が崩れてしまいそうで・・・
はじめて会った時、覚えてる
私が直輝君とパンケーキを食べに行って
送ってもらってた時に
たまたま会ったよね
その時に感じたの
女の勘
そして
あなたと彼女が抱き合っている姿を見て
私は確信した
だからものすごく嫉妬して
悔しくて
こんな事はじめてだったから
彼女に会いに行ったの」奏
えっ?
奏と唯香
二人で会ったりしたなんて聞いたことない
俺の知らない間に会ったんだ・・・
「彼女は毅然とした態度で
おんなじこと言ってた
”愁とは友達だから”
って
私が感情的に泣きながら責めたけど
なだめるようにそう言われて
相手にされていない気がして
それがまた悔しくて・・・
揺さぶってみた
”あなたが不安にさせるから私は他の人の優しさに甘えたくなる”
って
そしたら急に怖い顔になって
”愁は、あなたの事が好きだから傷つけるようなことはしないで”
って言われた
その時の顔を見て
やっぱり好きなんだ・・・って思った
だけどあれね
残念ね
ずっと近くに居たのに
ず~っと見ていたのに
全く気持ちが届かないんだもんね
哀れね」奏
奏での言う事が良く分からなかった
唯香が俺を?ありえない
奏の話を聞いても
ピンとこなかった
だけど
奏が唯香の事を”哀れ”だと言った時
唯香の顔が浮かんだ
いつもいた
遊んでいた時も
勉強した時も
サッカーした時も
勝った時も
負けた時も
奏に恋をしていた時も
失恋した時も
そばにいてくれた
俺・・・気が付かなかった
当たり前すぎて
唯香がそばにいることは
俺にとって普通の事になりすぎていた
「奏の勘違いだろ?」愁
そう言ってみたけど
俺は俺の気持ちの中の唯香に気が付き始めてしまった
俺は奏から目をそらす
奏はニタニタして
「よかった
めでたしめでたし
私、それが気になっていたの
あ~すっきりした」奏
奏はニコニコご満悦だった
なんだか
嫌な奴に見えた
百年の恋も
冷めるよ
そんな顔されたら…
奏への
さっきまでの下心は
あっけなく引っ込んだ
俺は時計を見る
もう出なきゃ
幸助との約束の時間36分まえだ
「えっ?今日帰るの?」奏
俺は奏の肩にカーディガンをかけて
「久しぶりに会えて
楽しかった
あの時では聞けない話ばかりで
かなり驚いたけど・・・
じゃ、またね」愁
そう言って伝票を取った
奏は不満そうな顔
「普通帰る?
私、そんなに魅力ない?」奏
涙ぐむ奏は
まるで昔の
俺が好きだった時の
俺が勝手に彼女に描いていた可憐な彼女の様で
全部、聞いた俺にとっては
滑稽にも思える
でも可愛い人だと思う
俺は一度、立ち上がっていたけど
もう一度しゃがんで
奏に視線を合わせた
「奏は綺麗だよ
昔も今も
だからもっと
自分の事大切にしなきゃ
俺の初恋の人なんだから…
飲みすぎるなよ!!」愁
上目遣いの奏をしっかり見て
言うと
奏は目を逸らして
小さくため息をつく
「ウソウソ
愁くんの困った顔見たかっただけ
私、もう少し飲んで帰るから
伝票置いてって」奏
そう言って俺に背中を向けてグラスの酒をグッと飲み干す
「水割りをください」奏
その声を聞きながら俺は彼女を一人
そこに残し
幸助の待つ店へ向かった
振り返らない
俺はもう
あの頃の
俺の描いた初恋には・・・
そう思った
じっと見つめる
「奏・・・何言ってるのかよく分からないんだけど」愁
奏では少しむくれて
「隠してるの?
今更、隠さないでよ
あの子の事」奏
誰の事を言っているのか?
奏は何を言っているのか?
「誰のこと?」愁
すると奏は俺を睨みつけ
「唯香さんの事!!」奏
あっそうか
あの時
奏は唯香の事を誤解してたんだ
試合に負けて
俺が泣いているのを
唯香が慰めてくれた時の事を
奏では友情ではなく
恋愛関係だと誤解しているんだ
そうか
俺があの時
ちゃんと話してなかったから
話さないまま
会わなくなったから
「唯香は幼馴染だよ
マネージャーだし親友
あの時は試合に負けて
あいつが慰めてくれただけで
そういう関係ではないよ
ちゃんと言えてなかったね
ごめん」愁
奏では頬を膨らませて
「違う
その後
付き合ったでしょ?」奏
えっ?何で?
「だから・・・友達だって」愁
俺は少しむきになる
唯香は友達なのに
奏が変なこと言うから…
「ウソ!!
絶対にいい感じになったでしょ?」奏
どうして?
そう思う奏が分からない
「えっ?そんなわけないよ
あいつ・・・あの後
幸助と付き合ったし」愁
奏はにこりと笑って
態度を変える
「そうなの?
私、てっきり私と別れた後
彼女と・・・って思ってた」奏
ニヤニヤする
奏の表情に少しひく
「どうして?」愁
奏は肩を揺らしながら
笑いをこらえる
「彼女、あきらめたのね
へ~そうなんだ
幸助君と付き合ったんだ・・・へ~」奏
奏は何かを思いながら笑う
「何だよ?」愁
不愉快
「愁くんが鈍感で良かった!!」奏
バカにされてる?
「何だよ!教えろよ」愁
俺はなんだか
からかわれているようで
少し怒る
「彼女にだけは取られたくなかったのよね
私、初めて会ったときから嫌いだったから!!」奏
奏は冷たい表情になり
目の前にある牛肉をパクリとほおばって言った
そんなに唯香の事
そんなに嫌うほど知らないだろ?
俺はむっとした
「彼女、愁くんの事
好きだったよね」奏
奏の今まで見たことも無い悪い顔
美人だから怖さが増すな・・・
しかし
俺は奏の言う事に理解できなくて
聞きなおす
「は?」愁
奏は勝ち誇ったような表情で話し始めた
「言えなかったのね
あなたとの関係が崩れてしまいそうで・・・
はじめて会った時、覚えてる
私が直輝君とパンケーキを食べに行って
送ってもらってた時に
たまたま会ったよね
その時に感じたの
女の勘
そして
あなたと彼女が抱き合っている姿を見て
私は確信した
だからものすごく嫉妬して
悔しくて
こんな事はじめてだったから
彼女に会いに行ったの」奏
えっ?
奏と唯香
二人で会ったりしたなんて聞いたことない
俺の知らない間に会ったんだ・・・
「彼女は毅然とした態度で
おんなじこと言ってた
”愁とは友達だから”
って
私が感情的に泣きながら責めたけど
なだめるようにそう言われて
相手にされていない気がして
それがまた悔しくて・・・
揺さぶってみた
”あなたが不安にさせるから私は他の人の優しさに甘えたくなる”
って
そしたら急に怖い顔になって
”愁は、あなたの事が好きだから傷つけるようなことはしないで”
って言われた
その時の顔を見て
やっぱり好きなんだ・・・って思った
だけどあれね
残念ね
ずっと近くに居たのに
ず~っと見ていたのに
全く気持ちが届かないんだもんね
哀れね」奏
奏での言う事が良く分からなかった
唯香が俺を?ありえない
奏の話を聞いても
ピンとこなかった
だけど
奏が唯香の事を”哀れ”だと言った時
唯香の顔が浮かんだ
いつもいた
遊んでいた時も
勉強した時も
サッカーした時も
勝った時も
負けた時も
奏に恋をしていた時も
失恋した時も
そばにいてくれた
俺・・・気が付かなかった
当たり前すぎて
唯香がそばにいることは
俺にとって普通の事になりすぎていた
「奏の勘違いだろ?」愁
そう言ってみたけど
俺は俺の気持ちの中の唯香に気が付き始めてしまった
俺は奏から目をそらす
奏はニタニタして
「よかった
めでたしめでたし
私、それが気になっていたの
あ~すっきりした」奏
奏はニコニコご満悦だった
なんだか
嫌な奴に見えた
百年の恋も
冷めるよ
そんな顔されたら…
奏への
さっきまでの下心は
あっけなく引っ込んだ
俺は時計を見る
もう出なきゃ
幸助との約束の時間36分まえだ
「えっ?今日帰るの?」奏
俺は奏の肩にカーディガンをかけて
「久しぶりに会えて
楽しかった
あの時では聞けない話ばかりで
かなり驚いたけど・・・
じゃ、またね」愁
そう言って伝票を取った
奏は不満そうな顔
「普通帰る?
私、そんなに魅力ない?」奏
涙ぐむ奏は
まるで昔の
俺が好きだった時の
俺が勝手に彼女に描いていた可憐な彼女の様で
全部、聞いた俺にとっては
滑稽にも思える
でも可愛い人だと思う
俺は一度、立ち上がっていたけど
もう一度しゃがんで
奏に視線を合わせた
「奏は綺麗だよ
昔も今も
だからもっと
自分の事大切にしなきゃ
俺の初恋の人なんだから…
飲みすぎるなよ!!」愁
上目遣いの奏をしっかり見て
言うと
奏は目を逸らして
小さくため息をつく
「ウソウソ
愁くんの困った顔見たかっただけ
私、もう少し飲んで帰るから
伝票置いてって」奏
そう言って俺に背中を向けてグラスの酒をグッと飲み干す
「水割りをください」奏
その声を聞きながら俺は彼女を一人
そこに残し
幸助の待つ店へ向かった
振り返らない
俺はもう
あの頃の
俺の描いた初恋には・・・
そう思った
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
極上エリートとお見合いしたら、激しい独占欲で娶られました 俺様上司と性癖が一致しています
如月 そら
恋愛
旧題:俺様上司とお見合いしました❤️
🍀書籍化・コミカライズしています✨
穂乃香は、榊原トラストという会社の受付嬢だ。
会社の顔に相応しい美麗な顔の持ち主で、その事にも誇りを持っていた。
そんなある日、異動が決定したと上司から告げられる。
異動先は会社の中でも過酷なことで有名な『営業部』!!
アシスタントとしてついた、桐生聡志はトップセールスで俺様な上司。
『仕事出来ないやつはクズ』ぐらいの人で、多分穂乃香のことは嫌い。
だったら、こんなお仕事、寿退社で辞めてやるっ!と応じたお見合いの席には……。
🍀2月にコミックス発売、3月に文庫本発売して頂きました。2024年3月25日~お礼のショートストーリーを連載中です。
【完結】maybe 恋の予感~イジワル上司の甘いご褒美~
蓮美ちま
恋愛
会社のなんでも屋さん。それが私の仕事。
なのに突然、企画部エースの補佐につくことになって……?!
アイドル顔負けのルックス
庶務課 蜂谷あすか(24)
×
社内人気NO.1のイケメンエリート
企画部エース 天野翔(31)
「会社のなんでも屋さんから、天野さん専属のなんでも屋さんってこと…?」
女子社員から妬まれるのは面倒。
イケメンには関わりたくないのに。
「お前は俺専属のなんでも屋だろ?」
イジワルで横柄な天野さんだけど、仕事は抜群に出来て人望もあって
人を思いやれる優しい人。
そんな彼に認められたいと思う反面、なかなか素直になれなくて…。
「私、…役に立ちました?」
それなら…もっと……。
「褒めて下さい」
もっともっと、彼に認められたい。
「もっと、褒めて下さ…っん!」
首の後ろを掬いあげられるように掴まれて
重ねた唇は煙草の匂いがした。
「なぁ。褒めて欲しい?」
それは甘いキスの誘惑…。
最後の恋って、なに?~Happy wedding?~
氷萌
恋愛
彼との未来を本気で考えていた―――
ブライダルプランナーとして日々仕事に追われていた“棗 瑠歌”は、2年という年月を共に過ごしてきた相手“鷹松 凪”から、ある日突然フラれてしまう。
それは同棲の話が出ていた矢先だった。
凪が傍にいて当たり前の生活になっていた結果、結婚の機を完全に逃してしまい更に彼は、同じ職場の年下と付き合った事を知りショックと動揺が大きくなった。
ヤケ酒に1人酔い潰れていたところ、偶然居合わせた上司で支配人“桐葉李月”に介抱されるのだが。
実は彼、厄介な事に大の女嫌いで――
元彼を忘れたいアラサー女と、女嫌いを克服したい35歳の拗らせ男が織りなす、恋か戦いの物語―――――――
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
溺愛なんてされるものではありません
彩里 咲華
恋愛
社長御曹司と噂されている超絶イケメン
平国 蓮
×
干物系女子と化している蓮の話相手
赤崎 美織
部署は違うが同じ会社で働いている二人。会社では接点がなく会うことはほとんどない。しかし偶然だけど美織と蓮は同じマンションの隣同士に住んでいた。蓮に誘われて二人は一緒にご飯を食べながら話をするようになり、蓮からある意外な悩み相談をされる。 顔良し、性格良し、誰からも慕われるそんな完璧男子の蓮の悩みとは……!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる