人形弟子の学習帳

シキサイ サキ

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2章 旅行から入学試験まで

17話 試験の終わりとホットケーキ

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(まずい、これはあまりにもまずい!
 何でこんな事になっちゃったんだろう

 こんなことなら、手段なんて選ばずに
 はじめから、アレンの体に多重の防御結界とか仕込んでおくんだった! )

場所は、魔法職養成学校<ログリウム>の正門前広場

時刻は、午後4時30分過ぎ
日没の時刻まで、もう一時間も無いだろうという頃合い

実技試験の最終日である3日目
普段は穏やかな夕暮れに包まれるはずの広場には
受験生達の帰還を待ちわびる、多数の保護者達がひしめき合っていました。

その中の一人
先程から、落ち着かない様子であたりをウロウロと動き続けている青年

魔法士ライル・クラフトもまた、例外なく
受験を終えて正門をくぐってくるはずの、とある受験生を待つ者の一員です。

しかし、その心中は決して穏やかな物ではありませんでした。

それもそのはず、彼は先程、他の保護者達の間で交わされていた
ある会話を小耳に入れてしまったから。


『今年の課題は難題だった
 
 去年から比べると、急に難易度が上がり過ぎてはいないだろうか?
 学校側は安全面やその後のフォローも対策に入れているとは言っていたが……

 まさか、まさか、入試試験の内容に、あんな問題を用意するだなんて

 自分の杖を、手作りしろだなんて!

 あまりにも危険すぎるだろう』


(どうして、こう! わざわざ、これは出ないだろうなんて伝えた内容が
 ピンポイントで出題されちゃうんだよ!!! )


合否など、もうどうでもいい、せめて、せめて、
どうか無事に、何事も無く帰ってきてさえくれれば、ただそれだけで。

自身の運の無さも、甘さも、知識の無さも全てを恨めしく思いながら

魔法士ライルは、金色の正門を目の前にした広場の中央で、自らの弟子を探し続けます。

周りの会話から察するに、この度の試験では
死傷者こそ出てはいないものの、負傷者は多数出てしまったとの事。

正門前で待機していた職員の一人に、アレンの状況を確認したところ
救護室にも運ばれておらず、正門通過の記録もない為

彼はまだ、この学校内で試験中だろうとの答えを得たばかりでした。


(アレン、まだかアレン、どこも怪我してないかな、大丈夫だよな?
 人間の強度や性能よりは、かなり高く設計してはいるけど……

 でも、魔法が絡む事故には、人間の常識なんて通用しない場合が多いし……

 まさか、な? ………帰ってこないなんて、そんなことは)


最悪の事態を想像しながら、身を震わせる青年は
祈るように、願うように、正門前から出てくる人影を待ち続けます。

太陽が赤い空の端をなぞり、よりいっそう、強く熱く燃えた、その時


「っ!! ア、アレーーーンッ!!!! おおぉーーーーーーーいっ!! 」


正門を潜り抜けてくる影に紛れて、かすかに青い光が見えました。

夕暮れを受けてなお、眩く光る鮮やかなあの髪の青さを
製作者であるライル本人が、見間違えるはずがありません。

ライルは慌てて、ひしめき合る人々の波を掻き分けて
アレンの姿を辛うじて確認した場所へと急ぎます。


「アレーンッ!! アレンッーー! よかった、無事だったんだな!!
 おかえりアレン! どこか怪我でもしてな、………え? 」


やっとの思いで、弟子の元までたどり着いたライルは
喜びと安堵の息を漏らしながらも、目の前の光景に言葉を詰まらせました。


「師匠、お久しぶりです
 アレン・フォートレス、ただいま戻りました、試験も無事終了です」

「お、おぅ、おつかれさま、えっと、……怪我、は、目立った感じのは無さそうだけど……」


弟子の元気な姿に、多少安心したのか、それとも眼前の情報を頭が処理しきれなかったのか。

ライル・クラフトは、とりあえず
アレンと、そのアレンを取り巻く不思議な状況を、一つづつ整理してみます。


はじめに、五体満足で目立った怪我も確認できない
少し髪の毛の短くなった、下着姿で寝転がるアレンが一体

次にその下、アレンに押しつぶされる様な形で、地面に伸びている
同じく下着姿、なんなら上に乗っかっているアレンよりも薄着な緑髪の少年が一人

最後に、その緑の少年の腕から伸びるロープで
片腕を縛られたピンクの髪の少女が一人、その場にへたり込んで泣きべそをかいていました。

三名中、二名が半裸
しかもそれぞれが、何かしらのロープの様なもので
お互いの体や腕を縛り上げてくくり付けているという、どういった状況なのか理解に苦しむ光景に

困惑を隠しきれずにいたライルは、一度深く息を吸い込むと
思い切って、その場に倒れ、各々のポージングで伸びている彼らへと声をかけます。

「えっと………、んんっ! えー……
 みんな、とりあえず、お疲れさま

 ……何があったか、よく分からないけど、ここじゃ場所も何だし、日も暮れて来たから

 今は一度、ホテルの部屋に戻ろうか」

かくして、三日間という
受験生たちの長い闘いは終わりを迎えました。

日没という、試験終了の合図に
抱き合って涙する者、やり切ってすがすがしい顔の者、下唇を噛みしめ悔しさに耐える者

それぞれの心情が、賑やかな声に紛れて正門前の広場を埋め尽くしてます。

そして、緑の少年とピンクの少女から
どちらとも保護者などの迎えは来ないとの話を聞いたライルは

ボロボロになっていた三名の子供たちを、浮遊魔法で浮かせて
近くで拾ったタクシーに押し込み、早々にその場を後にしました。

どうせ、受験生が今、泊っているホテルは一緒の場所なのですから
ライルにとっては大した労力ではありません。

路面電車よりも何倍も速く、タクシーは日の沈む街並みを通り過ぎていき

空の色が濃紺に染まり切る前には
彼らを、受験者用宿泊ホテルのエントランスロビーまで送り届けてくれました。


「すみません、アレン君だけじゃなくて、僕らまで
 師匠さんに、テーブルウェアの魔法を解除してもらって

 とても助かりました、あと、バスローブまで貸してもらってありがとうございます」

「いや、いいんだ
 この三日間、アレンとも仲良くしてくれたみたいだし

 さすがに、夜の9時か10時には自動的に解けるとはいえ
 あと3時間ぐらい、あれに耐えるものきついだろ?

 アレンにかかったものを解くついでだったから、別にそんなに気にしなくていい

 あと、そのバスローブはホテルの備品だから本当に気にしないで
 あとでホテルの人にでも返してもらえばいいと思うから」

アレン、ライルの泊っている宿泊室
その一室で、彼らにかけられた魔法の類を、全て解除したライル。

そんな彼にお礼を言った後
数日にわたる学内サバイバルで、ひどく疲弊していたテトラとエレラは
ライル達に別れを告げ、それぞれの自室に戻り、休息をとる事にします。

そして、室内に残されたのは、魔法師ライルと人形アレンだけとなり
彼らは3日ぶりの再会を喜び合いながら

試験期間中に使用して欠損した、アレンの体の補修作業を行うことにしました。


「うわっ!? 本当にあばら骨が無くなってる!
 取り出し口は……、ここか、切り傷が痛々しいな

 ギリギリ、体の中の体液が出ない程度には縫われてるけど……

 確かに、必要に迫られて、自分の体を材料とする魔法があったり
 そういう方法もあったりするのは確かだけど

 アレン、これからはあまり、そのやり方を使わない方針でいてほしい」

「どうしてですか? 師匠

 この方法を聞いた時、僕はなるほど、と
 ひどく感心したのですが……」

「理由は、アレンの人形の体は
 頑丈ゆえに、痛みや衝撃を感じずらい設計になっているからだ

 全然感じない、なんて事はない
 衝撃や危険察知が可能なように、神経系は特に人間のそれを真似してあるから
 普通の人間程ではないにしろ、違和感や不快感は感じるはずなんだ」

「あったと思います
 
 エコー様に縛られたり、からしを口に詰め込まれたり
 最後のメインストリートでも、僕の頭は内側から叩かれているみたいに
 鈍い衝撃を感じていたと思います

 でも、我慢できない程じゃないくらいです」

「そうだ、我慢できない程じゃない、それがみそなんだ
 アレン、お前はよっぽどの大きな破損

 それこそ、胴体が真っ二つに裂かれたり
 首や心臓をもぎ取られたりしない限り、我慢できない程の痛みを感じる事は、まず無いだろう

 だから、場合によっては、小さな怪我や自分で行う自傷には
 一切の痛みを感じない可能性も高い

 一見、それは強さのようにも感じるけど
 痛みって、自分の体の限界を知るための、警報装置とかの役割でもあるから

 普通の人間は痛みを嫌って、ここまでにしておこう、とか
 危ないからやめておこうって、自分で危機管理が出来る

 でも、アレンはその機能がまだ育ちきれてない
 だから、体の破損具合を気にせず、加減をせず、人間離れした行いもできる

 でもそれって、結局はその場しのぎの、付け焼刃な行為なんだ
 それが当たり前になってくると、必要に応じて簡単に自己犠牲をする

 自分のことを大切に出来ない奴は、生き物にしろ、そうでないにしろ

 早々に自滅する

 だって自分がどれだけ傷ついても、本人にとっては、それはどうでもいことなんだから

 そりゃ、死ぬまで自分を使いつぶすわけだ
 アレンには、そんな風になってほしくない」

「………はい」

「うーん、難しい話ではあるしな
 まだ理解しずらいか……

 でも、まあ、うん
 今は、俺が嫌がるから、アレンは自分を粗末にしてはいけない、とか
 
 それぐらいざっくりした覚え方でいい

 アレン、俺はお前の師匠でもあり、お前の作者だ
 だから、アレンが傷ついたり、誰かに傷つけられたり、逆にお前が自分を大切にしなかったりしたら
 
 俺はすごく悲しむし、とても落ち込む

 アレンは俺のそんな姿、見てみたいか? 」

「……見たくないです、やです」

「そっか、ありがとな
 じゃあ、俺が悲しまないように、アレンは自分の体や命を大切にする
 
 危なくなったり、奪われそうになったら、自分で自分を守る

 出来そうか?」

「はい、僕は師匠が悲しまないように
 僕の体も命も守ります」

「よし! じゃあ約束だ、俺とアレンお約束だ

 でも、今回の試験の件は、俺の方の落ち度が多すぎるから
 実のところ、アレンにこんなお説教めいた事、言える立場でも無いんだけどな

 アレン、悪かったな
 試験問題を事前にある程度予想して、少しでも動きやすくなればと思ってたんだけど

 ここまで見事に、それもピンポイントで外しちゃうと、かえって逆効果だ

 俺の読みも爪も甘すぎた
 そのせいで、アレンを危険な目に合わせることになっちゃって

 面目ないよ、すまなかったな」

「そんなことないです、サバイバル形式という予想は当たっていましたし
 師匠が持たせてくれていた、布リュックや魔法陣とかのおかげで

 困った場面をたくさん突破出来ました

 それに、杖造りという課題が予想外だったのは、他の受験生も同じ事だと聞きました
 
 予想は、あくまで予想でしかなく
 やってみなくては分からない、ということを
 今回の試験を通して学んだのです

 だから、師匠が悪いことなんて何もありません
 師匠はすごいです、テトラもエレラもすごいすごいって言ってくれてました」

「あははは、なんだそれ
 アレン、お前はあの子達にどんな話をしたんだよ

 俺はそんな大層な人間でも、万能の魔法師でもないぞ

 ……でも、まあ
 弟子にここまで慕ってもらえて、俺は運がいいな、ありがとう

 でも、これは俺の課題である事には変わりないから
 アレンの体の改良や情報収集の方法も含めて

 今後の改善ポイントとして覚えておこう
 いつまでも、エコーに頼りっきりなのも悪いしな」

「エコーさん、元気でしょうか
 エコーさんとのかくれんぼや鬼ごっこの経験も、今回の試験でたくさん役立ちました

 でなければ、今頃
 僕とテトラはハチの巣だったかもしれません
 
 今度お会いしたら、お礼を言わなければいけません
 本にも、挨拶やお礼は大切だと書いてありました」

「ハチの巣って、えらく物騒だな
 学校側が用意した試験問題は、そんな危ないトラップもあったのか? 」

「いえ、生徒同士の争いです
 エレラに後から聞きましたが、材料の配布が行われた周辺では
 
 常に材料の奪い合いを目的にした乱闘が起こっていたとのことです」

「………それは、なんというか
 みんな血の気が多いんだな、若さかな?

 まあ、俺も人のことは言えないけど」

あばら骨や爪、奥歯などの重要なパーツを作り直してもらい
アレンの体は、無事、元通りに近い状態まで修復されました。

短くなってしまった髪の毛や、杖に使用したノーマルな眼球パーツなどは
専門的な加工が必要となってくるため後回しです。

「さて、じゃあ飯にでもするか
 アレン、試験期間中食べてたもの、最後の最後で全部吐いちゃったんだろ?

 エネルギー補給もかねて、たくさん食べなさい

 お前の師匠はな、ポークジンジャーという新しい料理を作れうようになったんだ
 きっとアレンも驚くぞ」

「食べます! 今すぐ食べます! 冷蔵庫の中でしょうか?
 テトラたちの治療があったので、そちらを優先して待機していたのですが

 この香ばしく、刺激的な香りは師匠の作ってくれた料理だったのですね
 今すぐご飯にしましょう、そうです、すぐにご飯にするべきです」

「あ、あわてるな! 料理は逃げないから
 料理は俺がテーブルまで運ぶから、アレンはキッチンをあまり見ないでくれ!
 まだ片付けが全部終わってるわけじゃないんだよ、恥ずかしいだろ~

 あ、あと、ホットケーキっていう簡単なお菓子も冷やしてあるんだ
 生クリームとかフルーツも買ってあるから、後で一緒にデコレーションしよう!

 何度か練習がてらやってみたけど、難しい分、うまくいくと面白いぞ! 」

「ケーキ……あのケーキですか!!
 師匠! 早く!! 早く、ご飯を始めましょう! 」


少しだけ物の増えたホテルの一室で
久しぶりの穏やかな食事が行われました。

結局、体の中の内容物を全て吐いてしまっていたアレンは
ライルがアレンに出して来た、成功版のポークジンジャーだけでなく
冷蔵庫の奥に隠してあった、失敗版の焦げた豚肉まで、ものの見事に完食してしまいます。


(カラシが苦手って言ってたのに……
 この炭だらけの焦げた肉は食えるのか……苦味は平気で、辛みが嫌ってことか? )

「師匠、生クリームがはみ出しそうです
 すくって食べてもいいですか? 」

「あ、あぁ、危ない危ない、こぼしちゃったらもったいないしな
 ほら、アレン、あーんしてみろ」

「ああああぁーーーーーーーーーーーーーーん」

「アハハ、大きな口だな」


よく冷やされた、小さめのホットケーキを三枚も重ね
上に、生クリーム、苺、メロン、サクランボなどの具材をたくさん乗せて

最後に、チョコスプレーとアーモンドスライスを大胆に散らしたら完成です。

素人が作った、見た目もごちゃついた派手なだけの歪なホットケーキではありましたが
大きく切り分けた一口を、生クリームと一緒に口いっぱいに頬張る弟子の姿を見て

師匠のライルは、料理作戦の成功を確認し、ほっと胸をなでおろしました。


「作業服をダメにしちゃったテトラ君には
 今度、新しい作業服とお詫びの菓子折りとか用意した方がいいな

 どうも、保護者の類は連れて来ていないようだし
 失礼のないよう、こちらも対応していこう」

「はい、テトラにはひどい事をしてしまいました
 それなのに、最後まで僕をおんぶして、宣言通り彼はメインストリートを渡りきったんです

 ちょっと怖い場面もありましたが、彼が僕に優しくしてくれたことに変わりはありません

 この試験では、他にもいろんな人間の皆さんにも会えました
 中には、怖い人やよく分からない人もいましたが

 テトラやエレラと協力し合い、共に過ごした時間は貴重な時間だったと思います」

「そっか、なら、その経験を積めただけでも
 この浮遊都市に来た価値はあったな

 この調子なら、アレンはこれからもたくさんのものに出会って、色々な事を学習していける

 今回の事だってそうだけど
 城で産まれたばかりのアレンと、今のアレンを比べれば一目瞭然だ

 この短期間で、よくここまで成長できたな
 すごいぞアレン、頑張ったんだな、えらいえらい

 今回の結果に関わらず、これまで努力して、目標に向けて頑張ったり
 自分以外の誰かの手を借りて、協力したり、学びを得た経験は貴重だ

 いつか絶対、何かの場面でアレンを助けるから
 忘れないようにな、約束だぞ? 」

「はい、忘れません
 僕は成長のできる、魔法のお人形です」

「フフ、そっか、そうだな
 じゃあ明日からもいろんなものを見ていかないとな

 アレン、試験が終わったら、この都市のいろんな施設を巡ろうって話したろ?
 目星は付いてるか? 」

「はい! ノートにまとめてあるんです
 博物館に、美術館、映画館、あと水族館という施設も興味深かったです

 あ! そういえば師匠、僕はこの試験を通して
 もう一つ、新しい知識を身に着けましたよ、とびきりの新情報です」

「ほほう、で、その内容は? 」


寝巻に着替え、電気を暗くして、寝る前に読む絵本を一冊選びながら
人形アレンは、選んだ絵本の中にある一枚のページを開いて、ライルに見せました。

カラフルなクレヨンで、動物たちの食事会の場面を描いたであろう、温かなタッチの挿絵
その一部、豪華な食事が並んだテーブル部分指さして、試験で学んだことの一つを彼に披露します。


「この、料理を覆う銀色の丸い蓋

 名前を クローシュ というそうなのです」

「え! あれ、名前あったの!?
 知らなかった、ただの蓋だと思ってた」


長かった試験は終わり
彼らは、ようやく温かな布団の上に身を預けました。

その晩は、さすがのアレンも
こっそりとベットを抜け出す事も無く、自らの師匠の傍らで、そっと寝息を立てる事にします。





(おまけ)

〔何かの採点表より抜粋〕

実技試験 提出物記録
今回のテーマ 〈自分の為の杖〉

NO.0001 受験番号13

眠り氷の杖

自身の魔力属性である氷魔法をもとに制作しました。
核として選んだ氷属性の魔法石をベースに
その周りを、強い封じ魔法である 眠りの茨 で包み閉じ込め
魔法で作り出した氷で核を覆い、杖の形に整えてあります。
氷の結晶内部には、術者の魔力を少しづつ貯められる性質を持たせてあるので
必要な時、貯めてある魔力を行使すれば
準備に手間のかかる上級魔法も、即座に発動させることが可能です。

NO.0076 受験番号1328

火車の廻り杖

試験監督の方が置いていった、荷車の車輪を二つ拝借し
車輪の根本などに魔法陣や素材を取り付けることで杖としました。
ワエの家系は代々、火を司り、特に赤く鮮やかな炎と相性がええので
車輪には燃え盛る炎にも耐えられる程の高い耐熱性を持たせ
車輪の側面には、火属性の魔法石を埋め込みました。
魔力を流すことで、車輪にかけた浮遊魔法と発火魔法が作動し
車輪がクルリクルリとワエの周りを廻って、魔法の補助をしてくれます。

NO.0134 受験番号27 

七色の玉枝杖

僕はどの属性も使えるため、出来るだけ色々な種類の魔法石を杖に設置しました。
ただ、属性により石にも相性があるため、隣り合う配置には気を付けました。
細い枝を編み上げ、枝の先に宝石を括り付けたのは
遠い異国のお話に、玉の枝という宝石の実をつけた植物があるというのを思い出したので
もし本当に実在するなら、このような感じかなと思って想像して作りました。
また、杖を編む際に僕の魔力で作った魔力縄も一緒に編み込んだので
相性問題はそこで解決しました。

NO.0135 受験番号1097

覗き窓の杖

光属性の金属を細く加工し
ガラスの破片を使用することでステンドグラスの様な形に整えました。
ガラス同士の角度を並行ではなく、少しづつ傾けることで
光が反射し合い、光属性の魔力が増幅するように仕上げており
私の魔力属性とも、相性の良い仕上がりにしてあります。
また、もう一つの魔力属性である風魔法とも相性を高めるため
風属性の魔法石に、風寄せの魔法陣を刻み、杖の核部分としました。

NO.0136 受験番号630

城壁の杖

僕は、まだ魔力属性が無いので
自分との相性を高めるために、髪の毛や爪、血などの
自身の体の一部を杖の材料として使用しました。
また、杖の材料として
僕の名前にある、フォートレスという意味と近しい存在だと思った
この学校の城壁の一部を縮小魔法で小さく加工し、封印魔法を施した鎖で閉じ込めました。
この杖の主な機能は、収納と保護です。
城壁内部に入るものであれば、杖の中に収め持ち運ぶことが出来
封印魔法で城壁の状態をこの形に押しとどめる効果があるため
中に収納されたものの状態(病気や老化)も止まるか、遅くなる可能性が高いです。
小さくしたとはいえ元は城壁ですので、大きさは僕の背丈ほどありますし
もしかしたら、防護壁などの縦の役割も果たせるかもしれません。



(このページはここで終わっている)
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