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間章 二人で特訓
第116話 魔女ちゃんのため……かな?
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「疲れました」
そう吐き出して、僕はその場に座りこみました。冷たい地面の感触。青々しい草の香り。思わず寝転びたくなってしまいます。
「お疲れ様」
つられるように、郵便屋さんも僕の横に座りこみました。
「やっぱり、上手くいきませんね」
「まあ、魔法って微妙な調整が必要なものだから。少しずついろんな方法を試していけばいいんじゃないかな。ボクも時間があるときは協力するから」
「ありがとうございます」
僕は、郵便屋さんにペコリと頭を下げました。
結局、あの後も何度か同じことを繰り返しましたが、思ったような結果は得られませんでした。僕の作った壁は、郵便屋さんの攻撃に全く耐えることができなかったのです。
「郵便屋さんって、すごい魔法使いだったんですね。あんなに強い魔法が使えるなんて」
「お! 嬉しいこと言ってくれるねー」
そう言いながら、郵便屋さんは、僕の横腹を肘で何度もつつきます。ちょっと痛い……。
「あ、ところでさ」
「何ですか?」
「弟子ちゃんは、どうして魔法の特訓してたの?」
その言葉にはっとします。思い返せば、郵便屋さんに、魔法の特訓をしている理由について説明していませんでした。
「それは……えっと……」
「…………?」
「…………」
言っていいのでしょうか? なにぶん、口にするのは結構恥ずかしい理由です。ですが、せっかく手伝ってくれた郵便屋さんに嘘をつくなんて……。
思わず答えるのをためらう僕。そんな僕に向かって、郵便屋さんは優しく微笑みます。そして、ほんの少し寂しそうな口調でこう質問しました。
「魔女ちゃんのため……かな?」
そう吐き出して、僕はその場に座りこみました。冷たい地面の感触。青々しい草の香り。思わず寝転びたくなってしまいます。
「お疲れ様」
つられるように、郵便屋さんも僕の横に座りこみました。
「やっぱり、上手くいきませんね」
「まあ、魔法って微妙な調整が必要なものだから。少しずついろんな方法を試していけばいいんじゃないかな。ボクも時間があるときは協力するから」
「ありがとうございます」
僕は、郵便屋さんにペコリと頭を下げました。
結局、あの後も何度か同じことを繰り返しましたが、思ったような結果は得られませんでした。僕の作った壁は、郵便屋さんの攻撃に全く耐えることができなかったのです。
「郵便屋さんって、すごい魔法使いだったんですね。あんなに強い魔法が使えるなんて」
「お! 嬉しいこと言ってくれるねー」
そう言いながら、郵便屋さんは、僕の横腹を肘で何度もつつきます。ちょっと痛い……。
「あ、ところでさ」
「何ですか?」
「弟子ちゃんは、どうして魔法の特訓してたの?」
その言葉にはっとします。思い返せば、郵便屋さんに、魔法の特訓をしている理由について説明していませんでした。
「それは……えっと……」
「…………?」
「…………」
言っていいのでしょうか? なにぶん、口にするのは結構恥ずかしい理由です。ですが、せっかく手伝ってくれた郵便屋さんに嘘をつくなんて……。
思わず答えるのをためらう僕。そんな僕に向かって、郵便屋さんは優しく微笑みます。そして、ほんの少し寂しそうな口調でこう質問しました。
「魔女ちゃんのため……かな?」
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