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第四章 戦花の魔女

第108話 どういたしまして

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「ま、とにかく。魔女ちゃんは、これから『森の魔女』ってことで活動して名前を売っていく。魔女ちゃんに依頼があれば、郵便屋のボクがそれを持ってくる。魔女ちゃんは、依頼をこなしてお金をもらう。これでどうかな?」

 彼女は、一つ一つ確かめるようにそう言った。

 彼女の言葉に、私は無言で返答する。彼女の計画に不服なわけではない。むしろ、私の願いだった「お金が稼げて、かつ一人でのんびりやっていける」を叶えるためにはこれ以上ないというほど魅力的なものだ。だが、自分の中で理解しきれていないところがあった。それは、どうして彼女が私のためにここまでやってくれるのかということ。きっと、彼女が郵便屋になったのも、私の願いを叶えるためだろう。普通、できるだろうか。自分以外の者のために、自分の人生を決めるということが。

 彼女の顔をじっと見つめる。昔とは違って大人びた顔。けれど、昔の面影は確かに存在する。彼女が今どんな気持ちでいるのかは分からない。昔のように、私のことを憧れの人と思ってくれているのだろうか。私のことを、友達だと思ってくれているのだろうか。分からない。分からない……けれど。

「……ありがとう」

 私の口から自然と放たれた言葉。彼女は、温かい笑みを浮かべながら、こう告げた。

「どういたしまして」
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