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第二章
(06)
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彼の美しい金色の髪は、シャンデリアの光に反射し、きらきらと輝いている。
先ほどローウェルとアシュリーが挨拶をした国王夫妻の子であり、次期国王と言われている第一王子だ。確かアシュリーの記憶によれば、年は自身よりも三つほど上だったはずだ。
だが何よりアシュリーの目を引いたのは、彼の第一王子の後ろに付き従う、ヴィルヘルムの姿だった。
普段、アシュリーが仕事中の彼と会うことは少ない。王族の──特に第一王子の──傍に控えていることが多いヴィルヘルムとは活動範囲が違うのだ。
使いのために図書館を出たときに偶然出会って世間話をすることはあるが、アシュリーが仕事中のヴィルヘルムの姿を見るのは王家が参加する行事のときぐらい。それも遠目からがほとんどで、こうして近くで彼の仕事をしている姿を見るのは、ほぼ初めてだった。
加えて第一王子も見目が麗しく、ヴィルヘルムも端整な顔立ちをしている。第一王子の護衛も、誰も彼もが美形揃い。そのため、彼らの姿はひどく目を引いた。先ほどから聞こえる黄色い歓声は、第一王子一行と、そしてローウェルに向かっていた。
それとなく一歩後ろに後ずさりながら、しっかりとヴィルヘルムの姿を目に焼き付ける。こんな至近距離で彼が仕事をしている姿を見られるのは、今日を逃したらもうないかもしれない。
しかし、どうやらあまりにも熱心に彼のことを見つめすぎていたらしい。周囲に視線を走らせていたヴィルヘルムの視線が、アシュリーの方を向いた。深紫の瞳とばっちりぶつかった。
視線が交差した瞬間、くちびるが何か言いたげに僅かに開かれ、彼は瞳を見開いた。
その反応にまさか気付かれてしまったのかとアシュリーは焦ったが、すぐに否定する。シェリーとアシュリーをイコールで繋げるには、違いすぎている。
大丈夫だと自分に言い聞かせ、アシュリーは誤魔化すように笑みを浮かべて、彼に会釈した。だが途端に眉を顰められてしまい、動揺してしまう。
容姿も端麗で身分もあるヴィルヘルムは女性からよくアプローチを受けている。だがどうやら彼はそう言ったものが苦手らしく、困ったような顔をしているのを何度か見かけたことがあった。
恐らく、今のアシュリーもそのときの女性と同じだと思われてしまったのだろう。笑みなんて向けなければ良かったと思うが、後の祭りだ。
「……それで、先ほどから君のフォローを頑張ってくれている彼女とは、どんな関係なのかな?」
「隣国に住む遠縁の子なんだけど、今この国で勉強中なんだよね。その勉強の一環で、連れてきたんだ。シェリー、はい、自己紹介」
ローウェルに促されて、アシュリーは淑女の礼をして今だけの名前を名乗る。だが名前を口にしたら王太子が意味ありげな反応だったので、恐らくこの人もシェリーが偽の名前であることを知っているのだろう。
先ほどローウェルとアシュリーが挨拶をした国王夫妻の子であり、次期国王と言われている第一王子だ。確かアシュリーの記憶によれば、年は自身よりも三つほど上だったはずだ。
だが何よりアシュリーの目を引いたのは、彼の第一王子の後ろに付き従う、ヴィルヘルムの姿だった。
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加えて第一王子も見目が麗しく、ヴィルヘルムも端整な顔立ちをしている。第一王子の護衛も、誰も彼もが美形揃い。そのため、彼らの姿はひどく目を引いた。先ほどから聞こえる黄色い歓声は、第一王子一行と、そしてローウェルに向かっていた。
それとなく一歩後ろに後ずさりながら、しっかりとヴィルヘルムの姿を目に焼き付ける。こんな至近距離で彼が仕事をしている姿を見られるのは、今日を逃したらもうないかもしれない。
しかし、どうやらあまりにも熱心に彼のことを見つめすぎていたらしい。周囲に視線を走らせていたヴィルヘルムの視線が、アシュリーの方を向いた。深紫の瞳とばっちりぶつかった。
視線が交差した瞬間、くちびるが何か言いたげに僅かに開かれ、彼は瞳を見開いた。
その反応にまさか気付かれてしまったのかとアシュリーは焦ったが、すぐに否定する。シェリーとアシュリーをイコールで繋げるには、違いすぎている。
大丈夫だと自分に言い聞かせ、アシュリーは誤魔化すように笑みを浮かべて、彼に会釈した。だが途端に眉を顰められてしまい、動揺してしまう。
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恐らく、今のアシュリーもそのときの女性と同じだと思われてしまったのだろう。笑みなんて向けなければ良かったと思うが、後の祭りだ。
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ローウェルに促されて、アシュリーは淑女の礼をして今だけの名前を名乗る。だが名前を口にしたら王太子が意味ありげな反応だったので、恐らくこの人もシェリーが偽の名前であることを知っているのだろう。
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