精霊王の番

 黒髪の青年は、守護霊を操り霊獣を狩る”冒険者”である。
 青年は東の国の片田舎で安寧の日々を過ごしていたが、彼の日常は街の要人を狙う襲撃事件が発生し一変する。そして事件に巻き込まれていく中で、その裏側にとある組織の存在が浮かび上がる。
 やがて青年は、自身を狙う組織との因縁を晴らすため旅に出る事を決意する。

 黒髪の青年が出会うのは、実力の底を見せない養父、死を予見する女、頑なに真意を悟らせない謎の男に、人嫌いの少女。
 そして青年は、冒険の裏で渦巻く野望に巻き込まれていく。
 暗躍する者達や組織、或いはその陰謀との対立。

 ”全知”を求める秘密結社、救済を騙る宣教師、平和と競争を天秤に掛ける司法官、神話に語り継がれる二人の王と、そこに連なる民衆達。

 個人との対立、組織との対立、国との対立、思想との対立、故人との対立!

 そして、”龍”は誕生する。

 この物語は、青年が自身の“在り方”を認めるに至るまでの顛末、そして見届ける彼の”運命”、その一部始終をここに記す。

 作者より、これを手にした全ての読者に感謝と尊敬の意を表して。

───為世
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