瀬戸くんと恋人たち

ふじのはら

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12話 愛情とは(R18)

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椎木と楠木が2人でいるのを見ると、なんだかソレっぽく見えてくるもので不思議だ。
椎木はもともと彼女をすぐつくるタイプじゃないから本当にわからなかった。

「瀬戸さんさ、ガチでねぇわ。次やったら殺すわ」
「ごめんて。もう二度とおふざけ無しでは抱き締めません」
「おふざけありでもするなっつー意味だろーが」

2人は俺が楠木を抱きしめたせいで一時不穏な空気が流れていたのだと言う。
ひとしきり謝って、拓実を恋人として紹介した後も椎木は文句を言っていた。

人に執着するところを見た事がないが、と思うと結構笑える。

「なぁ、椎木さん?」
「あ?」
「もしかして楠木のこと割と結構本気だったりする?」
恐らくあまり突っ込んで聞かれたくないタイプの椎木は、嫌な顔で俺を見たけど真顔だった俺に渋々「ーわりと結構ガチ」とそっぽを向いて髪の毛をくしゃりと握る。

「瀬戸は?」
「ガチで好き。次ふられたら死ぬやつ」
「ふっは瀬戸の口からそんな言葉聞くとかねーわ。」
「お互い様な」
俺も笑う。

ゲームで盛り上がる拓実と楠木を眺める。すっかり意気投合している彼らは完全に2人だけで楽しんでいる。俺の友だちと楽しそうに笑う拓実が新鮮で少し嬉しい。

「にしても俺らすげー放っとかれてんのな」
「それな。」


夕方になって椎木と楠木を玄関で見送ったあとも、簡単な夕食をとりながらテレビを見ている時も、夜になってもずっと拓実は今日の出来事が嬉しそうだった。
拓実が一生男しか好きにならないかどうかはわからない。だけど少なくとも今は、自分がそういう性質の人間だとしても幸せだと思ってくれるだろうか。

この三連休を利用して両親は祖父母の家へ行っているし、妹の朱莉も昨日の夕方から行っているはずだ。ようやくゆっくり2人で過ごせる。

後ろから手を伸ばして拓実の頭を撫でる。少し癖のある柔らかい髪が気持ち良い。洗い立てのサラサラとした髪は俺と同じ香りがする。
ベッドに寄りかかってテレビを観ていた拓実は突然頭を撫でられて、キョトンとした顔でベッドに寝そべる俺を振り返った。

何も言わずにまだ髪の毛に触れている俺を見て、テレビを消した拓実はそっと顔を寄せて俺にキスをする。

「ねー拓実、俺何回拓実を想像して1人でしたかな」
「ははっ瀬戸さんエッロ」
「拓実はしなかったの?」
「えー、?、、したに、決まってる、、」
照れながら言う。

「ね、拓実、全部脱いで見せてよ」
俺と拓実が最後までしたのはたったの一回。その時に拓実は俺の前で自ら服を脱いで自分を晒した。
この時も俺がふざけているわけじゃないと目を見て知った拓実はベッドに座ると上に着たトレーナーを脱ぎ捨て上半身裸になると潔ぎよく下も全て脱ぎ捨てた。

ベッドに腰掛けたうっすらと筋肉のついた細い背中、丸みの無い肩や腰、二の腕。ゾクリと何かが体を駆け上がる。

「電気消して良い?瀬戸さんも脱いでよ。1人じゃ恥ずかしい。」
俺の返事を聞かずに拓実は部屋の電気を消すと元の通り背を向けたままベッドに腰掛けた。
俺は何も言わずに服を全て脱ぎ捨てると後ろから拓実を抱きしめる。

ー本物の拓実だ。温かい。

うなじにそっと口づける。首や肩に口づける。

「っ」
拓実がピクリと反応するのが愛おしくて舌を這わせる。
「っん、、瀬戸さんのあたってる、、」
言われて俺は拓実に片腕を回したまま、もう片方の手で自分の硬く勃っているものをゆっくりと扱く。
「っっ、、拓実、、っ」
じっとしている拓実の肩に額を預けて、腕にその温度を感じながら擦る。
俺は乱れる息遣いも隠さずに、目の前にいる拓実に感じていた。
少しの間じっとしていた拓実はそんな俺を背後に感じたまま、脱いだ服に手を伸ばすと何かを取り出した。

そして体を捻って俺にキスをしながらローションを掬い取った指で自分の奥の孔を触り始める。
硬く勃ちあがっているものをそのままに、体をピクリと震わせながら後ろの孔をゆっくりとせめる。
「う、、あっ、、」
自分の指に感じて喘ぐ拓実を見ながら、俺は先端から透明の雫を溢れさせながら自分自身を攻め続けた。上下に擦る手を速めたいのを堪えてゆっくりと。

布団に突っ伏した拓実の指が奥の孔でうごめく。孔の周りをほぐしながら指を2本に増やしてくちゅくちゅと中をせめる。
「んんっ、、瀬戸さん、、」
時折ビクリと大きく跳ねる拓実を見て、俺を呼ぶ切なげな声を聞いて、たまらず俺は拓実に手を伸ばして彼を引き寄せた。

仰向けになった拓実を組み敷いて、キスをする。舌で拓実の舌を絡め取りながら、軽く吸い上げながら、俺は2本の指をゆっくりと拓実に挿れた。ぐちゅりと、柔らかく温かい。

「んぁ、、」
軽く曲げた指で中をする。その指がコリと固いものに触れた時ビクリと拓実の体が跳ねた。
「っあ、、瀬戸さ、、ん、、」

微かに主張している胸の尖に舌を這わせてキスをするように吸い上げる。
その間もコリコリと俺の指は中を擦って、拓実は腰を揺らした。
「ん、、っや、、待って、、!」
拓実が俺の指の刺激に腰を揺らせたまま、乱れて眉を寄せる。同時に攻められる胸の尖の快感にのけ反る。
「瀬戸さんっ!、っあ、なんか、、へんっ、、待って、、あっ、、あっっ」
拓実の硬くなったものがビクビクとふるえ、透明な液が滴り落ちた。

その姿を見て俺はごくりと喉をならす。
もしかして、これって、、、
強くは刺激していない。ただ中の固いものをくにくにと指先で軽く擦っているだけだ。

「あっ、、ムリ、、瀬戸さんっ、ああっ!、、あ、あっっ、っんんーーーーっっっ!!!」
思い切りのけぞった拓実の腰や腿がビクビクと痙攣のようにふるえる。顎をあげてのけ反る体に力が入って、、そしてゆっくりと脱力していく。

指を抜くと、しばらくはぁはぁと息をしていた拓実はぼんやりとした赤い顔で俺を見て、

「なに、、今の、、」
「ドライ、、ってやつ?」
「今のが、、?、、何か、凄かった、、初めて」
「俺にも拓実の初めてがあったんだ、、」

不思議な感動が胸に広がる。愛おしくて、嬉しくて、そしてあまりにも色っぽい。
限界まで張り詰めた自分自身にせかされる。

「拓実、挿れて平気?」
「うん、大丈夫」

俺は拓実の奥の孔に、ローションを垂らした自身をあてるとぐっと腰を進めた。
「っう、っく、、きつ、、」
俺がうめくのと同時に、拓実がわずがに苦しさに顔を歪める。
「っあ、、瀬戸さん、、もっと、、」
苦しさに顔を歪めているのにもっと深く挿れることを要求する拓実に困惑しながら根元まで腰を進めきる。

「っんんっ、、は、、やっと、瀬戸さんと、、」
涙をにじませてそれだけ言う拓実の言葉に思わず涙が出そうになる。
「バカ泣けるから言うなよ」
拓実が俺の潤んだ目を見てふっと笑う。
俺はゆっくり動き出す。

「っは、、ごめん、、秒でイキそ、、」
「いいよ、、瀬戸さん、、」

俺が引くたび喘いで、俺が押し進むたび喘いで、俺を包むあつい締め付けに俺もたまらず息が乱れる、、
体に感じる追い上げてくる快感と、さっきの拓実の言葉が胸を締め付け続けるのとで頭がぐらぐらする。

「拓実、、っっ、、」
俺の1ミリも余裕の無い表情を見て、拓実は俺に突かれながら自分のものを扱く。
「んぁっ、、っあ、、」
そんな拓実も持たない事を知った俺はそのまま抽送を速めて自分も拓実も追い立てた。

「あ、、瀬戸さん、、だめ!、、イク、、っんっー!!」
拓実が自分の手に果てて俺を更に締め付けた。
「っっうっあ、、っっ、、」
締め付けにあらがうことを諦めた俺もビクビクとふるわせて、、そして果てた。


拓実を先に風呂場へ送り出し、俺は1人暗い部屋でベッドに背を預けて座っていた。
“やっと瀬戸さんと”
拓実の言った言葉を思い返していた。

ーそう、やっと拓実を近くに感じた

自分でもわけのわからない気持ちが込み上げてきて頬を涙が伝っていく。
「ーっふ、、う、、」
何で泣いてるんだろう、、。

拓実を失って辛かった自分を思い出して?拓実がまた側にいてくれる幸せに?それともまたいつか失うかも知れない怖さに?拓実を苦しませた過去への後悔?

ーきっと全部だ。
愛情に飢えたただのクソガキが、見せかけじゃ無い本当の愛情を知ったとか、そういう安っぽい話だろ。

拓実が部屋に戻って来て、俺を見ると固まった。
「え、、瀬戸さん?なんで、、」
俺のすぐ前に膝をついて不安そうな顔になる。
「ごめん、瀬戸さん僕のせい?何で?何で泣いてるの!?」

「拓実に出会ってからメンタルが滅茶苦茶」
「えぇ、、やだよ?もう別れてあげないよ!?」
拓実が俺にぎゅうっとしがみついてくる。俺も腕を回してぎゅっと抱きしめる。
「違うって、拓実。好き過ぎて、泣けた。」
「僕も好き!瀬戸さん、大好き!」

「おかえり、拓実」
「ただいまっっ」
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