瀬戸くんと恋人たち

ふじのはら

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6話 男同士とは(R18)

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ぼんやりと頬杖をついて空を見る。
もう夏が始まろうとしている暖かい日だ。
先生が歩きながら読む英文は意味のわからないお経とたいして差がない。

6時限目。もう寝てしまおうかと思った時にふと隣の席の楠木クスノキが目に入った。
俺と同じように頬杖をついて青い空をぼんやり見ている。
その黒い髪が陽に透けて少し茶色く光っていて拓実を連想させた。

楠木は俺の妹の彼氏の兄貴だ。弟と顔がそっくりで、兄も弟も優しい。そしてこの兄は構うと照れたり困ったり全部顔に出るから面白い。
拓実もこのくらい思っている事を顔に出してくれれば良いのに、と思う。

結局別荘に拓実を連れて行く話は、俺の親が仕事で使う日と被ってしまって延期になり、今日学校が終わったら行く事になっている。
昨日の電話で拓実は初めてのデートだと言って喜んでいた。

拓実とのことは隠している。俺はあの先輩のおかげで他校に彼女がいる設定になっていて、ちょうど良いのでそのままにしていた。
俺のことだから拓実ともすぐに別れてしまうだろうし、そうしたらまた誰か女の子と付き合うだろう。


「三両目にいる」
「今行きます!」
高校の奴らの目を避けて電車内で待ち合わせした俺たちは目的地に着く少し前に合流した。

「瀬戸さんの家ってすごいお金持ちなんですね。別荘持ってる人なんて現実で初めて会いました」
機嫌の良さそうな顔でニコニコした拓実が俺の隣に座る。
「別荘っつーても親の会社の保養所を兼ねてるから、そんな立派なもんじゃないよ」

ただ友だちと大勢で集まりたい時なんかに利用するだけで、いくつかある部屋の一室を俺の部屋にして使っている。
こういう、秘密の恋人がいる時にはうってつけだ。
拓実は終始嬉しそうにニコニコしていて、それが新鮮で俺もつられて嬉しい。
下車した駅の近くでご飯を食べて、飲み物や食料を適当に買って夜にようやく建物に到着した。

暫く目を輝かせていろんな所を見ていた拓実はキッチンから奥へ入り、少ししてひょこっと顔を出す。

「瀬戸さん!すごい広いお風呂!あとで一緒に入ります!?」
目をキラキラさせて言う。
「いいよ」
俺がニッコリ笑って返事をするとギョッとして「じ、冗談ですって」と小さな声で言って顔を引っ込める。
まるで仔犬を連れて来たように目まぐるしい。面白い。

暫くテレビを見ながらお菓子を食べてしゃべっていた俺たちは拓実が大きなあくびをしたのでお風呂に入って寝ようということになった。

「ねー、一緒に入るのやめませんか?」
「何でー?恥ずかしいん?」
「、、、恥ずかしいです。」
浴槽にお湯を溜めながら、顔を赤らめる拓実に苦笑する。
「宿泊研修でも修学旅行でも男と入るだろ。よし、恥ずかしくないように泡風呂にしてやるよ。」
「泡?」
目の前で透明の入浴剤を流し込んでジャグジーのスイッチをいれる。みるみる白い泡に覆われる浴槽にテンションがあがる拓実。

「うわぁ!すごい!泡だー!」
「一緒にはいる?」
「入ります!今すぐ!」
仔犬系男子はチョロい。


「なー、何かこの入り方おかしくない?」
拓実の希望で背中合わせでお湯につかる俺は拓実の背中に寄りかかって彼の細い肩に頭を乗せたまま不満を言う。
「わ、おも、、瀬戸さん、その体勢どうにかしてください!」
「じゃあそっち向こ」
くるりと拓実の方を向いてゆったりと浴槽に寄りかかる。
手を伸ばせば届く位置に拓実の肩がある。
細いけど丸みのない肩。
その肩に手を伸ばして触れると拓実はビクッと身を縮める。
「何怖がってんの」
「別に怖がっては、、」
細い声で言う。うなじや耳が赤い。

「拓実くん、こっち見ないと襲うよ」
弾かれたようにくるりとこちらを向く。
顎や肩に泡をつけて髪の毛が少し濡れていて、熱いからか恥ずかしいからか赤くなった頬をしておずおずと俺を見る。

ーあ、コレはちょっとクるな。

俺は近づいてキスをした。
何度もしているキスに拓実の抵抗はない。
2人ともお風呂の中だからかいつもより絡める舌があつい。
俺はもう少し近づくために、お湯の中の拓実の太腿を引く
ビクッと反応されて俺の中心に熱が集まり始めるのを感じる。

細くて筋肉質な太腿に手を這わせていると拓実がキスの合間に小さく息を継いで反応するもんだからすっかり俺自身が硬く立ち上がってしまった。

「拓実くん、勃っちゃった」
耳元で告げる。
「なんで報告するんですか」
恥ずかしそうに拓実は俺を少し睨む。
「拓実くんは?」
「、、そりゃ、、勃って、、ますけど、、」
消え入りそうな声で言うのが無性に可愛くて、俺は太ももに這わせていた手を彼の中心に持っていった。

「っっっ!」
泡で見えない水中で、そこに触れた瞬間驚いて身を引こうとする拓実を、片方の手で太腿を押さえて引き止める。
拓実のモノを手で包む。
自分の物じゃないソレに触る感触が不思議だ。
当たり前だけど、、拓実はちゃんと男だ。
確かめるように、手でなぞる。

「っん、、」
我慢しきれず拓実がうめく。声を我慢して握った拳を口元にあてているのがたまらなく俺をそそる。
拓実の顔を見ながら手を軽く上下させてみる。
「っん、、ッハ、、」
キレイな顔の眉を寄せる。

ーやばい。俺完全に拓実に欲情してる。たぶんもう止められない。
自分のものにも触りたい。快感が欲しい。

「拓実、、俺のも、、」
拓実はすぐに応じて、俺の硬くなったものをそっと握ってくる。

ー興奮する。声がもれそうになる。

拓実は自分もせめられながら俺のものを上下に扱く。
「っく、、」

ーあぁ、なるほど男だからよくわかっているんだ。どうしたら男が気持ちいいか。
女の子に触れられるのとは全然違う。

暫くお互いをせめあっていたけれど
「拓実、、?すっごい気持ちいいんだけど、のぼせそう、、」
「僕も、、」
「出てから続きしよ?」
「瀬戸さん、、僕のこと、、抱こうと思ってるんですか?」
「ー思ってるよ」
「じゃあ先に出てて下さい。」

俺は浴槽の縁に背を向けて座る拓実の細い背中や腰を見ながら素早く体を洗うと拓実を残して出た。


暗い部屋に拓実が入ってくる。
恥ずかしそうな顔をしているのにも関わらず、ベッドに寝転ぶ俺の目の前で服を脱いで下着だけの姿になった。

「瀬戸さん、僕は瀬戸さんが今まで抱いて来た女の子じゃないです。ーもし、その気になれなかったら遠慮せず言ってください。」
「何言って、、」
「こればっかりは仕方がない事です。言ってもらって大丈夫です。」

そういうとベッドにのぼってきて俺にキスをする。
拓実は何だか泣きそうな顔をしていて、俺の胸がぎゅっと苦しくなる。
もしかして、拓実はこれが最後だと思っているのかも知れない。

さっきのお風呂での中途半端な行為のせいで俺たちはキスの快感だけですぐに中心を硬くしていた。

拓実の細い体に手を這わす。華奢な体を撫でるとピクンと反応する。
胸の先端を舌でそっと舐める。

「っ!ん、、あ、、」
軽く吸い上げると声を我慢しようとしている拓実が小さく喘いだ。

俺は胸の小さな先端をせめながら、ついに拓実の小さな蕾に指を触れた。
ビクッと体を震わせた拓実が、いつの間にか手に握りしめていたものを俺に差し出す。

「コレ、、使って下さい。」
ローションだ。小さな入れ物に半分くらい入ったトロトロとした透明の液体を見て
「ね、コレ何に使ったの?」
少しは気を使って「誰と」とは言わなかった。

拓実は気まずそうに少し黙ってから、「瀬戸さんの事を考えて、、自分で、、」
「後ろに?」
俺は意地悪だなと思ったけど聞きたかった。その答えを期待していたからだ。
答えない拓実の胸の尖りを軽く歯で挟む

「んアッ、、そ、そう、、後ろに。」
コクコクと小さく頷く。
その答えに俺は自分のものが更に硬く、グッと震えた気がした。

手にトロリとした液体をとり蕾に塗り付けるように指先で押す。周りをグニグニとほぐしながらゆっくり指を入れる。

拓実が息を呑んだのがわかった。暫くの間拓実の、ローションに濡れてぬらりと光る蕾を輪を描くように揉みほぐしてから、中にもローションを押し込む。
腕で顔を隠して蕾で感じる拓実の姿に経験したことの無い興奮を感じる。
早く挿れたい。コイツを喘がせたい。
そんな性急な思いが俺を支配しているけれど、俺は指を増やして拓実を傷つけてしまわないように充分ほぐす。

指先で中をすっていると、コリという固い感触があって拓実の体がはねた。
指先で押す。
「っんんッ、瀬戸さん!」
拓実の勃ちあがったものの先端から透明の雫が溢れる。

「拓実、挿れていい?」
「瀬戸さ、、ん、ゆっくり、、」
俺は自分の硬いものにローションをたっぷり塗ると、ひくひくとしている拓実の蕾にゆっくりと押し入った。

「んんんーっ!」
拓実が耐えるように布団をぎゅっと掴む。
「っくっ、、待て、やば、、」
そこに押し入るのが初めての俺も声にならない。女の子よりもずっと狭く、俺自身も締め上げられる。
「待って、瀬戸さん、、そのまま」
息を整える拓実の言う通り暫くじっとしていたが、自然と腰が揺れそうになる。

やがて拓実が苦しさを通り抜けたように、俺に小さく頷いて俺はゆっくり動き始める。

「は、、ぅあ、、」
ゆっくりと押し込む途中に、俺の先端にコリと何かがあたり、俺は気持ちよさに我を忘れる。
ぬちゅぬちゅとローションの音が鳴り、拓実が背を反らせて喘ぐ。引くときも押し入る時もそこを引っ掻くと拓実の体が大きく反応して中心のものがビクビクと震える。

「ぅ、、ん、、っあぁ!瀬戸さ、ん、、」
拓実が堪らず自分のモノを手で扱き始める。
その手を俺の手で上から包んで一緒に扱く。
拓実がイキそうなのがわかって、俺自身も限界を感じる。

「た、、くみ、、イキてぇ、、」
「僕も!」
拓実の中心が弾けるのを見届けて俺も拓実の中で吐き出した。

ー知らなかった、、男とのセックスがこんなに気持ち良いなんて、、。
女の子とのセックスが花火だとしたら、男同士は爆発に似ている。

初めての体験は俺に強烈な印象を残した。


もう一度シャワーに入った俺たちは同じ布団に入った。

「瀬戸さん、もしかして勉強したんですか?」
拓実の言葉の意味はすぐにわかった。
「したよ。少しは。」
「ありがとうございます。」
「拓実、俺が途中でやめると思ってたっしょ」
「ーその覚悟はしてました。だって瀬戸さんは男が好きなワケじゃないから、、」

ーそうだよな。気まぐれで付き合ったような俺が男と出来るかなんて、俺自身もわからなかった。
拓実は尚更不安だったろう。

「出来たね。俺もビックリ」
「瀬戸さん」
隣の俺を見るまつ毛の長い大きな瞳。
「ん?」
「もう少しだけ僕のそばにいてください」
小さく微笑む拓実の言葉に、俺は胸が痛む。
「いるよ。」
拓実は安心したように俺の腕の中で眠りに落ちた。
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