瀬戸くんと恋人たち

ふじのはら

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4話 刺さる棘とは(R18)

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「俺と別れて欲しい」
その言葉に制服のスカートと上はブラジャーしか身につけていない彼女が振り返る。
最初は驚いた顔。そしてそれがみるみる怒りの顔に変わったかと思うと、

バチンッ

小気味の良い音を立てて、、俺は殴られた。

「っつ、、、」
「ねえ、バカじゃないの!?普通シた直後に言う!?」
「すみません」
「そもそも私たちまだ1ヶ月しか付き合ってないんだよ!何で別れるとか言うの!?」

千晶チアキがショックを通り越して怒りで赤くなる。

「付き合いたい人出来たんだ」
「、、最っっ低!好きな人が出来たのに今私としたんだ?」
「、、、」

千晶が涙目なのはたぶん悲しいからじゃない。人って怒りが溢れた時も涙が出るんだ。
千晶は乱暴に制服のシャツを着てカーディガンを羽織る。

「そりゃね、私だってと付き合うんだから覚悟はしてたよ。」
って?」
「瀬戸くんは彼女になるのも寝るのも簡単だけど好きにはなってくれない。って。少しくらいチャンスあるのかと思ってたけど噂通りなんだね。あんたなんて自分の事しか好きじゃない。人の気持ちなんて興味ないでしょ!」
言い捨てて鞄をぐっと掴むと乱暴に俺の家を出ていってしまった。

ー俺が悪いのはわかってる。でも別に俺自分の事なんて好きじゃねーよ。
だいたいみんなステータスとしてしか俺を見てないだろ。本気で好きで告ってきたやついたかよ。せいぜい拓実くらいだろ。

怒りに任せて放たれた彼女の言葉は少しだけ俺の胸に刺さった。


「おー、瀬戸どうした。珍しく静か。」
次の日まだ痛い頬をさすりながら机に突っ伏していると椎木に不思議がられた。
「んー。千晶と別れた。そして平手打ちくらった。」
「修羅場っすね。」
「椎木さんさ、彼女にシましょって言われたらする?」
「は?彼女だろ?普通にするんじゃねーの?」
「今日別れるぞって決めてる日だったら?」
「うわ、おまえ、、そりゃ殴られんだろ」
何かを察した椎木が顔をしかめていう。

「瀬戸っちー、椎木っちー、次教室移動だよー」
ミナミが呼んで俺たちは3階に向かった。
3年の教室の奥にある化学室に向かっていると、奥から1年が歩いてくるのが見えた。化学室を使っていたクラスだろう。
俺はその中に拓実を見つけて、呼び止めようと思った矢先、

「瀬戸くーん、彼女と別れたんだって?」
3年の女子に思い切り絡まれてしまった。
「先輩どうもー。何で別れたって知ってんの?情報速すぎん?」
「アハハ!号外出てたよ」
先輩女子たちがキャハハと笑う横を、拓実がチラリと見ながら通り過ぎた。
「ねー、今日の放課後遊ぼうよ」
「あー、、はい。了解っす。」
「やったー!」
手を振る先輩に、ヒラヒラと手を振り返すと先程すれ違った拓実が視線の先でまだこちらを見ていて目が合った。
何か言いたげではあったけど、俺も拓実も次の授業のチャイムに追われるように反対方向に歩いていった。


放課後、玄関に拓実がいた。
2年の靴箱にいるくらいだから俺を待っていたんだろう。
ちょうど先輩が3年の靴箱へ行っていて、ようやく話せた。
「彼女と別れたんですね」
「約束したべ」
「じゃあホントに僕と?」
拓実が自信無さげに小声で聞くので、俺は頷きながらポケットから出した携帯を拓実に差し出す。
「拓実の番号いれて」
華奢な指で番号を入力すると俺に返す。
「ちょっと今急いでるから俺の登録しといて」
受け取った番号にすぐに電話をしてそのまま切ると、俺はそのまま外で待っている先輩と合流した。

この日から俺は人生初の同性の恋人が出来た。まぁ俺の事だから1ヶ月もつかはわからないけど、、。


1ヶ月もつかどうか、どころか、俺はそれから1週間も拓実を放置した。

「ねぇーえ、いつになったらオッケーくれるの?前の彼女まだ引きずってる?」
「いやいや、何度も言うけど先輩、違くてさ。」

そう、この先輩のせいだ。

「だから俺もう付き合ってる人いるんだって。」
「嘘だー。毎日放課後私と一緒にいるじゃん。」
「それは友だちとして!後輩と先輩として!」
先輩は切れ長の目のキレイな顔でジトッと俺を睨む真似をする。
「じゃあ今電話してみせてよ。写真見せてよ。」
「んー、、無理。ー別の学校の人だし、迷惑かけたくないって。」
「ふぅん、なんか瀬戸くんらしくない。」

この調子で既に1週間、、
でもこの日遂に、

「じゃあもういいや。」

お、諦めてくれたか?
だけど先輩はそこでニッコリと笑った。

「諦めるから一回だけエッチしよっか?」
「えー、、それ浮気って言うんだけど」
「これで諦めるって言ってるのに?」

そう言うと先輩はベッドに座ってる俺に向き合うように膝にのってくる。
腕を俺の首に回してわざとゆっくり顔を近づける。
俺が拒否しないのを知るとその唇を合わせた。
当たり前のように2人の舌が絡んで、すぐに奪い合うような激しいキスに変わる。

制服のシャツの裾から手を滑り込ませて素肌の温度を手のひらで感じる。
そのままブラジャーのホックを外すと今度は脇腹を撫でて胸の膨らみに手を這わせた。

温かい。心の中の何かが満たされるような気がする。心が満たされるような、この感覚が好きだ。

ゆっくりと膨らみの周りをなぞるように触れれば手のひらのわずかな圧力で膨らみは簡単に形を変える。
「っあ、ん、、」
キスをしながら漏れた微かな喘ぎ声に、張りつめて主張している自分自身に先を急かされて先輩をベッドに横たえる。

もう一度キスをしながら片手はまた柔らかい膨らみをやわやわと揉み、俺は先輩の感じる吐息を聞いた。
俺の指が膨らみの先に触れれば彼女の体がビクリと跳ねて、もっと触れて欲しいと固くなって主張する先端を指の腹でこする。

「んっ、、はァッ」
先輩の喘ぐ表情を見ながら片手でシャツのボタンを外すと、もうビンビンに立ち上がって感じている小さな先端に舌先をレロっと這わす。
「アッ、や、」

や?やなワケない。
俺が先端を口に含んで軽く吸い上げても、指先で軽く摘んでも、喘いで腰をわずかにくねらせている。

俺は太ももを這わせた指で下着の中に手を入れる。
わずかにヌルリと蜜で濡れた場所に触れただけで彼女は体をのけぞらせる。待ちきれないというように彼女の中から溢れた蜜を指で広げるようにゆっくりと指を滑らせて中心をなぞる。
甘い声をあげて腰を揺らす彼女の期待に応えるように俺はゆっくり指を沈ませる。

「んん、、あん、あぁ」

「先輩、すごい濡れてる。音、聞こえる?」
言った瞬間、指がキュウと締め付けられる。
浅く出し入れする指にあわせて、くちゅぬちゅといやらしい音が聞こえて興奮する。

指を締め付けるうねうねとした感触に、自分のモノを挿れたらどれほどの快感だろうと想像してますます張り詰める。

「あ、んっ、、瀬戸くん、、お願い、もう、、」
先輩が指に焦れて俺自身を催促するので、制服と下着を脱ぎ捨てて素早くゴムをつける。

先輩のヌルヌルと温かい中心に俺はゆっくりと押し入った
「はっあン、、すごい、、気持ちいい、、」
先輩が俺の肩に置いた手にぐっと力をいれて快感を追う。

「ッは、、俺も、、」
まとわりつくような柔らかい熱に俺も堪らなく顔を歪める。

初めはゆっくりと動いていた俺は、先輩がのけぞって喘ぐ姿や、動きにあわせて揺れる胸の膨らみを見下ろしているうちに堪らなくなった。本能にまかせて奥を突く。

「や、ダメッ、、それ、いっちゃう、、」
ぬちゅ、ぬちゅという湿った音と、彼女の喘ぎが混ざり合う。
「ね、いっちゃう、、アッ、、いっちゃう、、っン、、あっん、ダメ!もういっちゃう!!」
彼女が大きくのけぞってビクッと体を震わせる。俺のモノを包み込んでいる柔らかい熱がギュッと締め付けるのを感じた。

「っく、先輩、、締め付けないで、、」
急激に高まる吐き出したい本能に逆らえず、俺はそのまま激しく奥をせめる
「んーっっっ!またっ!瀬戸く、、っっっ!」
「ごめ、、先輩、、ムリっっ、、っく」
先輩がさっきよりも深く大きくのけぞって連続してイクのと同時に俺も勢いよく吐き出していた。


先輩の家から帰って来た俺は、自分の部屋のベッドにごろりと寝転がる。

携帯を取り出して拓実とのやりとりを見返す。

連絡先を教えたその日と、次の日に何でもないやりとりをしていて、それ以来連絡は来ていない。
携帯を投げやりに置くと目を閉じる。

千晶のあの言葉の棘がまだあって、今日また少し深く刺さった気がする。
今までだって、色々噂もされたし、別れ際にキツイことを言われた事だってあった筈だ。それに言われる事はだいたい的を射ていて、怒る気にも落ち込む気にもなったことはない。

なのに最近の、この刺さっているものはなんだろう、、
そう思いながら俺はそのまま眠りに落ちた。
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