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三章【関係】※R18含む
6 あいつの言う通り
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雪の積もる川沿いの歩道を走っていた。今朝から降り始めた雪が歩道をうっすらと埋めてブーツの足跡をつける。
夏にいつも歩いていた河原のサイクリングロードは一面が雪で、その中で犬を離して走らせている人の姿があるきりだ。
マンションを出たのは30分も前なのに雪の上をブーツで走るのはなかなか難しく、アスファルトのようにはいかない。時々雪の下に隠れた氷で滑りバランスを崩しそうになる。
はぁはぁと大きく白い息を吐きながら走る俺はきっと頬と鼻が真っ赤になっているだろう。
商店街が見えると反対側の歩道に渡り、交差点を曲がってアーケードの商店街に入る。バイトのお昼によく利用したカフェの前を通り過ぎる。そこから400メートルほどであおい書店の本店だ。
前を通ると一緒に働いていた人たちの顔がチラと見えたが、顔を出すのはまた今度だ。
更に走ると商店街の反対へ出てコンビニの前を通過する。
コンビニの交差点を曲がると走るのをやめた俺は大きく息をしながら、今度はゆっくりと歩いた。深呼吸をしてすっかりあがった息を整える。
5分の道のりを噛み締めるようにゆっくりと歩いた。油断すると口元がニヤけてしまいそうになるのを咳払いなんてして誤魔化す。
マンションに入りエレベーターで5階に上がる。降りると一番奥の扉のインターホンを鳴らした。もう呼吸は整っているのに心臓は相変わらずドキドキしている。
「はい」
「蒼です!」
「っ!今あける!」
すぐに扉があいて、俺はこの部屋に久しぶりに迎い入れられた。
「宮城さん、受かりました!」
「蒼くん!おめでとう!」
3月。
俺は高校を卒業し、無事にF大に合格を果たした。
「宮城さん、俺宮城さんに話したいことが」
「待って、とにかく入りなよ。ゆっくり聞くから」
4ヶ月半ぶりに見る笑顔で彼は俺をリビングに通した。
リビングの雰囲気は以前と少し違っていて俺を驚かせる。
アニメの主役カップルの等身大パネルが壁際に立っていて、その横の新しい棚にはキャラクターのアクリルスタンドやイラストパネル、クリアファイル、キーホルダーなんかが飾ってある。
「わぁ!小鳥遊と穂積だ!すげー!」
「そうそう、来月放送になるんでグッズの見本なんだ。つーか、この等身大は邪魔で困るんだけど」
九条ゆい原作のBLアニメが遂に来月テレビで始まる。その関連グッズだと宮城さんは説明してくれた。
宮城さんと会わなかったのはたった4ヶ月半だけだ。時々連絡も取っていた。それでも勉強だけに打ち込んでいた俺にとって4ヶ月はとても永くて、どれだけ宮城さんに会いたかったか。
オーバーサイズの山吹色のセーターを着て黒いスリムなパンツを履いている。黒い髪の毛は何もセットされていないようでふわりとおりている。
女性的ではない繊細さと整った顔立ちは、自分にこんな知り合いがいるというだけで舞い上がってしまいそうだった。
「受験勉強おつかれ」
ソファで2人はアイスコーヒーで乾杯をした。宮城さんは「来るってわかってたらちゃんと用意したのに」と言ったが俺にとっては乾杯がたとえ水だって嬉しい事に変わりはない。
「宮城さんご褒美下さい!」
「え、良いけど、ご褒美ってなに?」
「サイン本!!」
「は?サイン本?そんなで良いの?ファンの人なの?」
彼は俺をからかうように笑う。
「ただのファンですよ!この4ヶ月、九条ゆいのSNSをチェックして、アニメの放送開始を楽しみにして、ホントにただのファンでした!」
九条ゆいが宮城さんであることを実感出来ない日々をもどかしく感じながらも、情報を確認しては自分も頑張る原動力にしてきた。
「蒼くん少し痩せたよね?」
「あー、運動あんまりしないで勉強ばっかりだったから、、?でも宮城さんも痩せた気がします」
「んー、俺も忙しすぎて不健康な生活送ってたからかな」
俺たちは暫く会えなかった間の事を喋った。学校の事、仕事の事、受験の事、友達の事、、何時間でも話していられそうだった。
「宮城さん、また前みたいにここに来ても良いですか?」
ソファの隣に座る宮城さんに恐る恐る聞いてみる。ハヤトさんも居なく俺も来られなくなってからそれまでよりずっと忙しかった宮城さんは、1人で仕事をこなしてきた。だから今更手伝いが必要とは限らない。
それでも宮城さんは「もちろん」と答えた。
彼は立ち上がると一度リビングから出て行き、すぐにソファに戻ってきて、その手を俺に差し出す。
「はい、鍵。いつでも来て良いよ。」
俺の手の平に置かれた合鍵にはまだ俺がつけたキーホルダーがそのまま付いていた。
まるで持ち主を待っていたように見えて気持ちが込み上げてくる。
「どうした?」と鍵を見つめる俺を不思議そうに見る。
「あの、、宮城さん、、話しても、良いですか?」
俺はぎゅっと鍵を握り締めて、隣に座る宮城さんを真っ直ぐに見た。
「うん」
「俺、宮城さんが好きです。ただの憧れとかじゃなくて、ずっと宮城さんの事特別な感情で見てました」
「、、うん」
「覚えてますか?最初に、、その、最後までした時に、、」
久しぶりに会う彼に、あの時の話をするのがひどく照れくさくて耳が熱くなる。
「言ってくれたね」
「あの時は思わず言っちゃったんですけど、、高校も卒業してちゃんと大学に受かったんで、今度はちゃんと伝えようと思って」
「うん」
「男が対象か女の子が対象か、そんなのもうどうでも良いんです。俺は宮城さんだから好きなんです。、、それを伝えたくて、あなたにただ知って欲しかったんです。」
ようやく正々堂々と伝えられた事に俺はどこか安堵した。
ずっと大学に合格したら言おうと思っていた。
宮城さんが俺の言葉に頷き、
「俺も好きだよ」
少し目を細めて笑う。
「ーえ?」
「ん?」
宮城さんがきょとんとした顔で俺を見ている。
「ーえ?」
「蒼くん?」
「、、宮城さん、なんて、、?」
「え?あれ?ちょっと待って蒼くん。そんな不思議そうな顔しないで」
彼は状況が飲み込めたように、手の平で顔を覆うと「まいったな」と少し赤い顔でもう一度俺を見た。
「、、、?」
「いやさすがに単なる男友達とあんな事しないって」
「それは、、」
「俺のことどういう人間だと思ってんの?うわ、ちょっとびびる。」
髪の毛をくしゃりと握り、こちらを睨む真似をする。
「えっと、、宮城さん?、、ちょっと整理させて下さい、、」
ようやく彼が何を言っているのかわかってきた。でも信じられない。自分が都合よく誤解しているんじゃないだろうか、、
「どうぞ」
「俺は宮城さんのことが好き。ーで、宮城さんは、、」
「だから俺も蒼くんが好きって、、」
「え、、、っっと、いつから、、」
「“いつ”って難しいけど、、たぶんハヤトはわかってたと思う。」
「え、ウソ、、待って下さい!初耳過ぎて現実かわかんない!」
急にカーっと顔が熱くなった。心臓がバカみたいに大きく弾む。
この懐かない美しい猫のような、高原の珍しい花のような存在の人が、それに、、もうすぐテレビアニメ化する漫画を描いている人が、、俺のことを好きだと言う、、。
宮城さんがそんな俺を見て苦笑する。
「じゃあなんで一緒に寝たりキスしたりすんの。そもそもやってんじゃん俺たち。」
あぁ、そういう意味で、、
最後までしたのって、俺の一方通行じゃなかったんだ、、
俺の頼みを聞いてくれただけじゃなくて、ちゃんと宮城さんの気持ちもあったんだ、、
放心状態の俺の頭を、まるで大型犬を撫でるようにクシャクシャと撫でて
「ごめんごめん。俺あの時言葉でハッキリは言えなかったんだ。蒼くん高校生だし、現実は変わらないんだけど未成年に手出した感が強くて。だからせめて早く大学生にならないかなって思ってた」
そう言った彼に俺はガバッと抱きついていた。
「うそ!マジで!?そんな奇跡みたいなのある!?」
「ははっ、大袈裟」
「だって、、俺宮城さんにずっと憧れてて、好きだって気がついてからハヤトさんにも話聞いてもらったりして、」
「うん、知ってる。俺もハヤトと話した。」
「そうだったんだ、、だからハヤトさん言ってたんだ」
「あいつ?何て?」
「“宮城さんは俺の頼みを聞いてくれただけ”って言ったらハヤトさん“イトは好奇心で動くヤツじゃないから誤解しないで”って、、」
「そ。あいつの言う通り。俺は好奇心でキミといろいろしたんじゃないよ。」
ぎゅっと抱きついたままの俺の背中を彼はヨシヨシとなでる。
「ちゃんと言わなかったのはごめん。でも少しは通じてるもんだと思ってた。ー俺は俺で会わなかった間まだ好きでいてくれるかわかんなくてちょっと不安だった」
「、、宮城さんをそんな簡単に忘れるなんて無理です」
「うん。だからこれからは“恋人”としてここにおいで」
「、、うわ、嬉しくて死にそう、、もしかして、これご褒美ですか?」
「サイン本とどっちが良い?」
「宮城さんが欲しいです!」
彼の肩に顔をうずめたまま言う俺に、宮城さんは「良かった」と笑った。
そして、
「蒼くん、今日泊まって行く?寝る場所は俺のベッドだけど」
宮城さんはこれ以上ないくらいの魅力的な笑顔で、これ以上ないくらい魅力的な事を言ったのだった。
夏にいつも歩いていた河原のサイクリングロードは一面が雪で、その中で犬を離して走らせている人の姿があるきりだ。
マンションを出たのは30分も前なのに雪の上をブーツで走るのはなかなか難しく、アスファルトのようにはいかない。時々雪の下に隠れた氷で滑りバランスを崩しそうになる。
はぁはぁと大きく白い息を吐きながら走る俺はきっと頬と鼻が真っ赤になっているだろう。
商店街が見えると反対側の歩道に渡り、交差点を曲がってアーケードの商店街に入る。バイトのお昼によく利用したカフェの前を通り過ぎる。そこから400メートルほどであおい書店の本店だ。
前を通ると一緒に働いていた人たちの顔がチラと見えたが、顔を出すのはまた今度だ。
更に走ると商店街の反対へ出てコンビニの前を通過する。
コンビニの交差点を曲がると走るのをやめた俺は大きく息をしながら、今度はゆっくりと歩いた。深呼吸をしてすっかりあがった息を整える。
5分の道のりを噛み締めるようにゆっくりと歩いた。油断すると口元がニヤけてしまいそうになるのを咳払いなんてして誤魔化す。
マンションに入りエレベーターで5階に上がる。降りると一番奥の扉のインターホンを鳴らした。もう呼吸は整っているのに心臓は相変わらずドキドキしている。
「はい」
「蒼です!」
「っ!今あける!」
すぐに扉があいて、俺はこの部屋に久しぶりに迎い入れられた。
「宮城さん、受かりました!」
「蒼くん!おめでとう!」
3月。
俺は高校を卒業し、無事にF大に合格を果たした。
「宮城さん、俺宮城さんに話したいことが」
「待って、とにかく入りなよ。ゆっくり聞くから」
4ヶ月半ぶりに見る笑顔で彼は俺をリビングに通した。
リビングの雰囲気は以前と少し違っていて俺を驚かせる。
アニメの主役カップルの等身大パネルが壁際に立っていて、その横の新しい棚にはキャラクターのアクリルスタンドやイラストパネル、クリアファイル、キーホルダーなんかが飾ってある。
「わぁ!小鳥遊と穂積だ!すげー!」
「そうそう、来月放送になるんでグッズの見本なんだ。つーか、この等身大は邪魔で困るんだけど」
九条ゆい原作のBLアニメが遂に来月テレビで始まる。その関連グッズだと宮城さんは説明してくれた。
宮城さんと会わなかったのはたった4ヶ月半だけだ。時々連絡も取っていた。それでも勉強だけに打ち込んでいた俺にとって4ヶ月はとても永くて、どれだけ宮城さんに会いたかったか。
オーバーサイズの山吹色のセーターを着て黒いスリムなパンツを履いている。黒い髪の毛は何もセットされていないようでふわりとおりている。
女性的ではない繊細さと整った顔立ちは、自分にこんな知り合いがいるというだけで舞い上がってしまいそうだった。
「受験勉強おつかれ」
ソファで2人はアイスコーヒーで乾杯をした。宮城さんは「来るってわかってたらちゃんと用意したのに」と言ったが俺にとっては乾杯がたとえ水だって嬉しい事に変わりはない。
「宮城さんご褒美下さい!」
「え、良いけど、ご褒美ってなに?」
「サイン本!!」
「は?サイン本?そんなで良いの?ファンの人なの?」
彼は俺をからかうように笑う。
「ただのファンですよ!この4ヶ月、九条ゆいのSNSをチェックして、アニメの放送開始を楽しみにして、ホントにただのファンでした!」
九条ゆいが宮城さんであることを実感出来ない日々をもどかしく感じながらも、情報を確認しては自分も頑張る原動力にしてきた。
「蒼くん少し痩せたよね?」
「あー、運動あんまりしないで勉強ばっかりだったから、、?でも宮城さんも痩せた気がします」
「んー、俺も忙しすぎて不健康な生活送ってたからかな」
俺たちは暫く会えなかった間の事を喋った。学校の事、仕事の事、受験の事、友達の事、、何時間でも話していられそうだった。
「宮城さん、また前みたいにここに来ても良いですか?」
ソファの隣に座る宮城さんに恐る恐る聞いてみる。ハヤトさんも居なく俺も来られなくなってからそれまでよりずっと忙しかった宮城さんは、1人で仕事をこなしてきた。だから今更手伝いが必要とは限らない。
それでも宮城さんは「もちろん」と答えた。
彼は立ち上がると一度リビングから出て行き、すぐにソファに戻ってきて、その手を俺に差し出す。
「はい、鍵。いつでも来て良いよ。」
俺の手の平に置かれた合鍵にはまだ俺がつけたキーホルダーがそのまま付いていた。
まるで持ち主を待っていたように見えて気持ちが込み上げてくる。
「どうした?」と鍵を見つめる俺を不思議そうに見る。
「あの、、宮城さん、、話しても、良いですか?」
俺はぎゅっと鍵を握り締めて、隣に座る宮城さんを真っ直ぐに見た。
「うん」
「俺、宮城さんが好きです。ただの憧れとかじゃなくて、ずっと宮城さんの事特別な感情で見てました」
「、、うん」
「覚えてますか?最初に、、その、最後までした時に、、」
久しぶりに会う彼に、あの時の話をするのがひどく照れくさくて耳が熱くなる。
「言ってくれたね」
「あの時は思わず言っちゃったんですけど、、高校も卒業してちゃんと大学に受かったんで、今度はちゃんと伝えようと思って」
「うん」
「男が対象か女の子が対象か、そんなのもうどうでも良いんです。俺は宮城さんだから好きなんです。、、それを伝えたくて、あなたにただ知って欲しかったんです。」
ようやく正々堂々と伝えられた事に俺はどこか安堵した。
ずっと大学に合格したら言おうと思っていた。
宮城さんが俺の言葉に頷き、
「俺も好きだよ」
少し目を細めて笑う。
「ーえ?」
「ん?」
宮城さんがきょとんとした顔で俺を見ている。
「ーえ?」
「蒼くん?」
「、、宮城さん、なんて、、?」
「え?あれ?ちょっと待って蒼くん。そんな不思議そうな顔しないで」
彼は状況が飲み込めたように、手の平で顔を覆うと「まいったな」と少し赤い顔でもう一度俺を見た。
「、、、?」
「いやさすがに単なる男友達とあんな事しないって」
「それは、、」
「俺のことどういう人間だと思ってんの?うわ、ちょっとびびる。」
髪の毛をくしゃりと握り、こちらを睨む真似をする。
「えっと、、宮城さん?、、ちょっと整理させて下さい、、」
ようやく彼が何を言っているのかわかってきた。でも信じられない。自分が都合よく誤解しているんじゃないだろうか、、
「どうぞ」
「俺は宮城さんのことが好き。ーで、宮城さんは、、」
「だから俺も蒼くんが好きって、、」
「え、、、っっと、いつから、、」
「“いつ”って難しいけど、、たぶんハヤトはわかってたと思う。」
「え、ウソ、、待って下さい!初耳過ぎて現実かわかんない!」
急にカーっと顔が熱くなった。心臓がバカみたいに大きく弾む。
この懐かない美しい猫のような、高原の珍しい花のような存在の人が、それに、、もうすぐテレビアニメ化する漫画を描いている人が、、俺のことを好きだと言う、、。
宮城さんがそんな俺を見て苦笑する。
「じゃあなんで一緒に寝たりキスしたりすんの。そもそもやってんじゃん俺たち。」
あぁ、そういう意味で、、
最後までしたのって、俺の一方通行じゃなかったんだ、、
俺の頼みを聞いてくれただけじゃなくて、ちゃんと宮城さんの気持ちもあったんだ、、
放心状態の俺の頭を、まるで大型犬を撫でるようにクシャクシャと撫でて
「ごめんごめん。俺あの時言葉でハッキリは言えなかったんだ。蒼くん高校生だし、現実は変わらないんだけど未成年に手出した感が強くて。だからせめて早く大学生にならないかなって思ってた」
そう言った彼に俺はガバッと抱きついていた。
「うそ!マジで!?そんな奇跡みたいなのある!?」
「ははっ、大袈裟」
「だって、、俺宮城さんにずっと憧れてて、好きだって気がついてからハヤトさんにも話聞いてもらったりして、」
「うん、知ってる。俺もハヤトと話した。」
「そうだったんだ、、だからハヤトさん言ってたんだ」
「あいつ?何て?」
「“宮城さんは俺の頼みを聞いてくれただけ”って言ったらハヤトさん“イトは好奇心で動くヤツじゃないから誤解しないで”って、、」
「そ。あいつの言う通り。俺は好奇心でキミといろいろしたんじゃないよ。」
ぎゅっと抱きついたままの俺の背中を彼はヨシヨシとなでる。
「ちゃんと言わなかったのはごめん。でも少しは通じてるもんだと思ってた。ー俺は俺で会わなかった間まだ好きでいてくれるかわかんなくてちょっと不安だった」
「、、宮城さんをそんな簡単に忘れるなんて無理です」
「うん。だからこれからは“恋人”としてここにおいで」
「、、うわ、嬉しくて死にそう、、もしかして、これご褒美ですか?」
「サイン本とどっちが良い?」
「宮城さんが欲しいです!」
彼の肩に顔をうずめたまま言う俺に、宮城さんは「良かった」と笑った。
そして、
「蒼くん、今日泊まって行く?寝る場所は俺のベッドだけど」
宮城さんはこれ以上ないくらいの魅力的な笑顔で、これ以上ないくらい魅力的な事を言ったのだった。
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