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【余談】ですが、佐川です④
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1月、始業式
「はぁ!?」
体育館に並びながらオレとクッキーは声を揃えて驚いた。
「うるさっ!静かにしろよ。」
「いやいや、待て青山、いつから付き合い始めたん!?」
「だから、クリスマスの日。コレ一応の報告ね、はい、お終い。」
朝から青山が七瀬さんと付き合っている事を報告してきてオレたちを驚かせた。
学祭の実行委員でずっと一緒に居た2人だから仲良くなっていたのは知っていたけど、付き合うことになっただなんてビックリだ。
青山にとっては初めての彼女だと言うからおめでたい。
クッキーとは元旦に初詣がてら遊んで、元気そうで安心した。また落ち込んでいたりしないか密かに心配していたけど、クッキーと弟のハルと瀬戸くん、その妹の朱莉ちゃん、そして椎木くんという謎のメンバーで集まったという話をしていた。
どうやらクッキーと椎木くんもぼちぼち上手くいってるんじゃないだろうか。
クッキーがまだオレに隠している(つもりである)のは若干腹立たしいものの、何だかんだで椎木くんから聞いているようなもので、オレはもう少し今の状況を楽しもうと思う。
俺のねぇちゃんに概要を話してやったら涙と涎を垂らさんばかりに食いついたのでオレはだいぶねぇちゃんに引いた。
ーけどそんなオレも結構あの2人のことは気に入っていて、応援していたりもする。
推している。
ねぇちゃんのオレに対するBL布教は、この世に新たに腐男子を生み出したようだ。
「クッキー、オレ今日電車なんだわ。駅まで一緒。」
「青山はー、と、七瀬さんか。」
雪がちらついて寒い中を、オレとクッキーは駅に向かって歩いた。
「うーわ、手かじかむ」
ポケットに入れていても手が冷たいのを握ったり開いたりしながら歩く。
「僕手袋だから余裕ー」
とクッキーが手をひらひらさせて見せつける。
駅についた時、見知った顔が駅から出てきて、「あれ?クッキーあれって」と促すと、クッキーが気がつく前にそいつは真っ直ぐ僕らの方へやって来る。
「お二人さん、どっか行くところ?」
「椎木くん!こんなとこで会うの珍しいね!」
嬉しそうなクッキーと、いつも無愛想な瞳にほんの少し笑みを浮べる椎木くん。
「僕ら帰るとこ」
「じゃあ、佐川くん、ここで楠木くんもらってっていい?」
「う、、イイっすよ。」
ーうわ、オレに遠慮ねーな椎木くん。
ほらクッキーがめっちゃ焦った顔してる。
どうぞどうぞと手のひらでクッキーを差し出すと、その手のひらに椎木くんが「はい、約束の」とポンと何かを乗せてきてオレはビックリした。
「、、、、は!?ーえ、やっと!?!?
っつーか、報告やめろよ!」
ソレが何かを思い出したオレが大袈裟に顔をしかめて思わず言うと、椎木くんはふふんと意味あり気に笑って見せた。
「ありがとーね。佐川くん。ーじゃ、行こうか楠木」
「え、何、何で??いつ椎木くん佐川と仲良くなったの?ね、今の何??」
混乱して騒がしいクッキーの手を「いいからいいから」とどさくさに紛れて引く椎木くん。
僕はそれを呆気に取られて見送りながら、ほのかに手を温めてくれていたホットココアをゴクリと飲む。
甘いし温かい。
思わず苦笑いが顔に浮かんだ。
ーちきしょう、椎木のやつ、、よかったじゃねーか。
クッキー、良かったな。良いやつ好きになって。
真っ直ぐ帰るつもりだったけど、気が変わったオレは携帯を取り出すと彼女へ電話をかけた。
「もしもし、急なんだけど、ちょっと会いたくなって。これから行って良い?ーうん、じゃ今から向かうね」
完
「はぁ!?」
体育館に並びながらオレとクッキーは声を揃えて驚いた。
「うるさっ!静かにしろよ。」
「いやいや、待て青山、いつから付き合い始めたん!?」
「だから、クリスマスの日。コレ一応の報告ね、はい、お終い。」
朝から青山が七瀬さんと付き合っている事を報告してきてオレたちを驚かせた。
学祭の実行委員でずっと一緒に居た2人だから仲良くなっていたのは知っていたけど、付き合うことになっただなんてビックリだ。
青山にとっては初めての彼女だと言うからおめでたい。
クッキーとは元旦に初詣がてら遊んで、元気そうで安心した。また落ち込んでいたりしないか密かに心配していたけど、クッキーと弟のハルと瀬戸くん、その妹の朱莉ちゃん、そして椎木くんという謎のメンバーで集まったという話をしていた。
どうやらクッキーと椎木くんもぼちぼち上手くいってるんじゃないだろうか。
クッキーがまだオレに隠している(つもりである)のは若干腹立たしいものの、何だかんだで椎木くんから聞いているようなもので、オレはもう少し今の状況を楽しもうと思う。
俺のねぇちゃんに概要を話してやったら涙と涎を垂らさんばかりに食いついたのでオレはだいぶねぇちゃんに引いた。
ーけどそんなオレも結構あの2人のことは気に入っていて、応援していたりもする。
推している。
ねぇちゃんのオレに対するBL布教は、この世に新たに腐男子を生み出したようだ。
「クッキー、オレ今日電車なんだわ。駅まで一緒。」
「青山はー、と、七瀬さんか。」
雪がちらついて寒い中を、オレとクッキーは駅に向かって歩いた。
「うーわ、手かじかむ」
ポケットに入れていても手が冷たいのを握ったり開いたりしながら歩く。
「僕手袋だから余裕ー」
とクッキーが手をひらひらさせて見せつける。
駅についた時、見知った顔が駅から出てきて、「あれ?クッキーあれって」と促すと、クッキーが気がつく前にそいつは真っ直ぐ僕らの方へやって来る。
「お二人さん、どっか行くところ?」
「椎木くん!こんなとこで会うの珍しいね!」
嬉しそうなクッキーと、いつも無愛想な瞳にほんの少し笑みを浮べる椎木くん。
「僕ら帰るとこ」
「じゃあ、佐川くん、ここで楠木くんもらってっていい?」
「う、、イイっすよ。」
ーうわ、オレに遠慮ねーな椎木くん。
ほらクッキーがめっちゃ焦った顔してる。
どうぞどうぞと手のひらでクッキーを差し出すと、その手のひらに椎木くんが「はい、約束の」とポンと何かを乗せてきてオレはビックリした。
「、、、、は!?ーえ、やっと!?!?
っつーか、報告やめろよ!」
ソレが何かを思い出したオレが大袈裟に顔をしかめて思わず言うと、椎木くんはふふんと意味あり気に笑って見せた。
「ありがとーね。佐川くん。ーじゃ、行こうか楠木」
「え、何、何で??いつ椎木くん佐川と仲良くなったの?ね、今の何??」
混乱して騒がしいクッキーの手を「いいからいいから」とどさくさに紛れて引く椎木くん。
僕はそれを呆気に取られて見送りながら、ほのかに手を温めてくれていたホットココアをゴクリと飲む。
甘いし温かい。
思わず苦笑いが顔に浮かんだ。
ーちきしょう、椎木のやつ、、よかったじゃねーか。
クッキー、良かったな。良いやつ好きになって。
真っ直ぐ帰るつもりだったけど、気が変わったオレは携帯を取り出すと彼女へ電話をかけた。
「もしもし、急なんだけど、ちょっと会いたくなって。これから行って良い?ーうん、じゃ今から向かうね」
完
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