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作戦
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Side:クリスティーナ
どうしてこうも上手く行かないのだろう。
授業中、クリスティーナは先生の話を聞かずに今朝の事をずっと考えていた。
「ねぇねぇ、聞きましたか?」
「もちろん聞きましたわ。リリア様が求婚されたんでしょう?」
ベルフリートの手が思っていたよりもずっと早くて驚いた。こっちはただその噂に頭を抱えるだけなのに。
目線の先にはアイン。今は頭をつっかえて机に突っ伏しており、教師も見て見ぬふりをしている。
私がアインに協力しているのは利害関係の一致だった。だから、お姉様を幸せにしてくれるならベルフリートでも何の問題はない。
問題はないのだけど――
クリスティーナはアインに対して申し訳なさがあった。自分が何もしなければもっと進展があったのではないかと。
なので、せめてアインがリリアと何かのイベントを起こすまでは最優先で協力すると決めていた。
「なるほど。それでここまで無気力になっているのですね。まぁ、私も目の前でリリアを欲しいと言ったのは驚きましたが」
昼休みになってサロンを借りる。集まったのは私とロイ、アイン、シシリア、それとスフィア。
「ワ、ワタクシ、ここは場違いではなくて……」
「私も侯爵家なので問題ありませんわ」
「スフィアは友人として止めてくれるんでしょう? なら作戦も聞いてもらわないとね」
スフィアが揃った面子に怖じけているのを、シシリアとクリスティーナがわかっていながら退路を防ぐ。
「もうっ! わかりましたわ。はぁ……。それで? 話とはリリアお姉様の事でしょうか? リリアお姉様が嫌がっていないのであればそれで良いのではなくて?」
「……うっ」
「(アイン殿下はどうかしたのですか)」
スフィアはそっとクリスティーナに耳打ちする。クリスティーナはまた落ち込んだアインを見て……
「アインもお姉様の事が好きなの」
「おい、ティア」
「ロイ、止めないで。どっちみちスフィアには教えおかないと、この子、私と同レベルのお姉様至上主義だから隠し事していると向こうに着いちゃうわよ」
さっきの発言にしてもそう。スフィアはお姉様が幸せである事。それを1番に考えている。
「(そうだったんですのね。それで……難しいですわね。名目としては自分の兄が婚約者なのですから)」
「そうなの。それに私のせいとアインの度胸のなさで進展が一歩もないのよね」
「……あなた! ワタクシが気を遣って小声で話しているのに、どうしてそう毎回毎回普通に返して来るんですの!?」
「この場は話し合いだって言ったでしょ。悪いところは悪いと言わないと」
お姉様のアインの評価はまだ弟から抜け出せていない、と思う。以前の反応から言って、恋心はまだ抱いていない。
「そうですが……、ん? 貴女、今自分のせいと言いましたか?」
「さすがスフィア。そう。お姉様にアインとそこのシシリーが若干良い雰囲気だと伝えたのは私でした!」
「何でそう自信満々なんですの……もういいです。貴女はそれで。アイン様の度胸のなさと言うのは?」
「誘いは全部手紙で、お茶会以外顔を見せた事ない」
「……アイン殿下はそれほどリリアお姉様を好きでない?」
「そんなことはない!」
バンッと机を叩きながら起き上がるアイン。でもそれ以上は何も言ってこないとなると自覚していたのでしょう。
「申し訳ありません。殿下の気持ちも知らずに……」
「いやいい、僕も兄上の婚約者に会いに行くのがどう思われるのかを気にし過ぎて、動けなかったのも事実だからな」
スフィアが謝らなくていいのにアインに謝る。それにしても、お姉様に婚約者がいるから問題なんです。
「やはり、アレを落とさないことには進めませんね。貴族はしがらみが多すぎ! なので、前の作戦を結構します!」
「それは以前、リリアにもお母上にも却下されたのでしょう?」
「チッチッチッ、シシリー甘いよ。バレなきゃ犯罪じゃないんだよ。お姉様に何か言われる前にアレをどん底に突き落とせば私の勝ち! シンプルでしょだから、スフィアっ!」
「は、はいっ!」
「絶対にお姉様に言ったらダメだからね」
1番お姉様にチクリそうなスフィアに釘を打つ。言われてもまぁ、また私が怒られればいい。
とにかく、アレがまだお姉様の婚約者である事が問題なのだから、それを無くせばいい。私にできるのはそれぐらいなのだから。
どうしてこうも上手く行かないのだろう。
授業中、クリスティーナは先生の話を聞かずに今朝の事をずっと考えていた。
「ねぇねぇ、聞きましたか?」
「もちろん聞きましたわ。リリア様が求婚されたんでしょう?」
ベルフリートの手が思っていたよりもずっと早くて驚いた。こっちはただその噂に頭を抱えるだけなのに。
目線の先にはアイン。今は頭をつっかえて机に突っ伏しており、教師も見て見ぬふりをしている。
私がアインに協力しているのは利害関係の一致だった。だから、お姉様を幸せにしてくれるならベルフリートでも何の問題はない。
問題はないのだけど――
クリスティーナはアインに対して申し訳なさがあった。自分が何もしなければもっと進展があったのではないかと。
なので、せめてアインがリリアと何かのイベントを起こすまでは最優先で協力すると決めていた。
「なるほど。それでここまで無気力になっているのですね。まぁ、私も目の前でリリアを欲しいと言ったのは驚きましたが」
昼休みになってサロンを借りる。集まったのは私とロイ、アイン、シシリア、それとスフィア。
「ワ、ワタクシ、ここは場違いではなくて……」
「私も侯爵家なので問題ありませんわ」
「スフィアは友人として止めてくれるんでしょう? なら作戦も聞いてもらわないとね」
スフィアが揃った面子に怖じけているのを、シシリアとクリスティーナがわかっていながら退路を防ぐ。
「もうっ! わかりましたわ。はぁ……。それで? 話とはリリアお姉様の事でしょうか? リリアお姉様が嫌がっていないのであればそれで良いのではなくて?」
「……うっ」
「(アイン殿下はどうかしたのですか)」
スフィアはそっとクリスティーナに耳打ちする。クリスティーナはまた落ち込んだアインを見て……
「アインもお姉様の事が好きなの」
「おい、ティア」
「ロイ、止めないで。どっちみちスフィアには教えおかないと、この子、私と同レベルのお姉様至上主義だから隠し事していると向こうに着いちゃうわよ」
さっきの発言にしてもそう。スフィアはお姉様が幸せである事。それを1番に考えている。
「(そうだったんですのね。それで……難しいですわね。名目としては自分の兄が婚約者なのですから)」
「そうなの。それに私のせいとアインの度胸のなさで進展が一歩もないのよね」
「……あなた! ワタクシが気を遣って小声で話しているのに、どうしてそう毎回毎回普通に返して来るんですの!?」
「この場は話し合いだって言ったでしょ。悪いところは悪いと言わないと」
お姉様のアインの評価はまだ弟から抜け出せていない、と思う。以前の反応から言って、恋心はまだ抱いていない。
「そうですが……、ん? 貴女、今自分のせいと言いましたか?」
「さすがスフィア。そう。お姉様にアインとそこのシシリーが若干良い雰囲気だと伝えたのは私でした!」
「何でそう自信満々なんですの……もういいです。貴女はそれで。アイン様の度胸のなさと言うのは?」
「誘いは全部手紙で、お茶会以外顔を見せた事ない」
「……アイン殿下はそれほどリリアお姉様を好きでない?」
「そんなことはない!」
バンッと机を叩きながら起き上がるアイン。でもそれ以上は何も言ってこないとなると自覚していたのでしょう。
「申し訳ありません。殿下の気持ちも知らずに……」
「いやいい、僕も兄上の婚約者に会いに行くのがどう思われるのかを気にし過ぎて、動けなかったのも事実だからな」
スフィアが謝らなくていいのにアインに謝る。それにしても、お姉様に婚約者がいるから問題なんです。
「やはり、アレを落とさないことには進めませんね。貴族はしがらみが多すぎ! なので、前の作戦を結構します!」
「それは以前、リリアにもお母上にも却下されたのでしょう?」
「チッチッチッ、シシリー甘いよ。バレなきゃ犯罪じゃないんだよ。お姉様に何か言われる前にアレをどん底に突き落とせば私の勝ち! シンプルでしょだから、スフィアっ!」
「は、はいっ!」
「絶対にお姉様に言ったらダメだからね」
1番お姉様にチクリそうなスフィアに釘を打つ。言われてもまぁ、また私が怒られればいい。
とにかく、アレがまだお姉様の婚約者である事が問題なのだから、それを無くせばいい。私にできるのはそれぐらいなのだから。
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