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説教?
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Side:クリスティーナ
「それで怒って返って来たんですか? 婚約を白紙にできたのに?」
「……ぅっ……つい……」
珍しく怒っているのはクリスティーナ、怒られているのはリリアである。これにはメイドのアンも同意のために止める様子は一切ない。
それどころか、そ知らぬふりしてクリスティーナの喉を潤すために紅茶を足している。
「ついではありません。こんな好奇を逃すなんて……」
クドクドと今回のことがどれだけ重要な事だったのかと繰り返すクリスティーナ……しかし、彼女の頭の中はそんなことどうでも良いとさえ思っていた。
アインがお姉様を好きである以上、アインは他の婚約者を探すことはない。そしてお姉様を次期王妃にしたい陛下と王妃様は、お姉様以外の人を探すことはないでしょう。だって1番簡単なのは第一王子から王位を剥奪することなだもの。
そうなれば、今回の件についてお姉様がどれだけ反抗しようとも王族が諦めることは無い。ということは次もチャンスは確実に巡ってくる。
そこまで考えた上でクリスティーナはリリアを叱っていた。なぜなら、いつもと違うリリアが見られるから。
怒っている凛々しいリリアも好きだが、珍しく怒られてシュンっとしているリリアもいつもとは違う可愛らしさがあり、見ていて飽きない。
でも、もうそろそろ終わらないといけない。長くしすぎて嫌われても嫌だし……
「それで、お姉様はどう思ったのですか?」
「えっ?」
「アレじゃなくてアインが婚約者になることです。それが嫌ならさっさと婚約を白紙にするか、私たちが国外に逃げるか選んでもらいましょう」
正直に言うならお姉様の相手はアインじゃなくてもいいと思っている。人としてはいいと思うけど、お姉様に相応しいかと言われたら思い悩んでしまう。
「で、どうなのですか?」
「どうと言われても……最初はティアの言う通り、からかった時の反応は可愛いなと思ったけど……弟が居たらこんな感じなのかなってぐらいかな……?」
私の目を見ずただ遠くを見つめるお姉様……。目線を合わせに行くと、サッと避けられる。これは何か隠している!
「目も合わせてくれないぐらい私の事を見たく無くなったんですね。妹より弟の方が欲しかったなんて知りませんでした……ごめんなさい、帰ります」
「まっ、待ってティア! 話すから。私は妹の、ティアの方が好きだから! ほらっ! えっと、そう! 私はシスコンだから! ねっ? そんな事言わないで」
お姉様が自発的にシスコンという言葉を使った事にぞくぞくする。今ならもっと言ってもらえるかな?
「……お姉様はシスコンなんですか?」
「えっ? うん、そうだ……よ?」
「それなら私たち両思いですね!」
「? そう……だね?」
リリアはクリスティーナが何を言っているかは理解できていないが、喜んでいるならまぁいいかと肯定する。
――何も分かっていないお姉様……やっぱり可愛い!
シスコンの本当の意味を教えたらお姉様に引かれるかな? それとも受け入れてくれる? 怒っても泣きながら謝れば許して貰えそうな気がする。
それでも本当の意味は知られないようにしよう。クリスティーナはそう心に決める。
それにしても……お姉様とアインとの間に何かあったのは確実。
クリスティーナにとってリリアが1番であることは変わりないが、リリアにとって1番ではなくていいと思っている。もちろん1番でいたいとは思っている。しかし、リリアが幸せになることがクリスティーナにとって1番重要なことだった。
お姉様がアインを気になると言うのであれば、私はその思いを応援したい。ただ、今のアインをお姉様に会わせる訳にはいかない。
今もお姉様に断られたと思ってショックを受けているだろうアインを想像し、どうやってフォローをしようか考える。
まったく、手のかかる未来の兄候補なんだから。
「それで怒って返って来たんですか? 婚約を白紙にできたのに?」
「……ぅっ……つい……」
珍しく怒っているのはクリスティーナ、怒られているのはリリアである。これにはメイドのアンも同意のために止める様子は一切ない。
それどころか、そ知らぬふりしてクリスティーナの喉を潤すために紅茶を足している。
「ついではありません。こんな好奇を逃すなんて……」
クドクドと今回のことがどれだけ重要な事だったのかと繰り返すクリスティーナ……しかし、彼女の頭の中はそんなことどうでも良いとさえ思っていた。
アインがお姉様を好きである以上、アインは他の婚約者を探すことはない。そしてお姉様を次期王妃にしたい陛下と王妃様は、お姉様以外の人を探すことはないでしょう。だって1番簡単なのは第一王子から王位を剥奪することなだもの。
そうなれば、今回の件についてお姉様がどれだけ反抗しようとも王族が諦めることは無い。ということは次もチャンスは確実に巡ってくる。
そこまで考えた上でクリスティーナはリリアを叱っていた。なぜなら、いつもと違うリリアが見られるから。
怒っている凛々しいリリアも好きだが、珍しく怒られてシュンっとしているリリアもいつもとは違う可愛らしさがあり、見ていて飽きない。
でも、もうそろそろ終わらないといけない。長くしすぎて嫌われても嫌だし……
「それで、お姉様はどう思ったのですか?」
「えっ?」
「アレじゃなくてアインが婚約者になることです。それが嫌ならさっさと婚約を白紙にするか、私たちが国外に逃げるか選んでもらいましょう」
正直に言うならお姉様の相手はアインじゃなくてもいいと思っている。人としてはいいと思うけど、お姉様に相応しいかと言われたら思い悩んでしまう。
「で、どうなのですか?」
「どうと言われても……最初はティアの言う通り、からかった時の反応は可愛いなと思ったけど……弟が居たらこんな感じなのかなってぐらいかな……?」
私の目を見ずただ遠くを見つめるお姉様……。目線を合わせに行くと、サッと避けられる。これは何か隠している!
「目も合わせてくれないぐらい私の事を見たく無くなったんですね。妹より弟の方が欲しかったなんて知りませんでした……ごめんなさい、帰ります」
「まっ、待ってティア! 話すから。私は妹の、ティアの方が好きだから! ほらっ! えっと、そう! 私はシスコンだから! ねっ? そんな事言わないで」
お姉様が自発的にシスコンという言葉を使った事にぞくぞくする。今ならもっと言ってもらえるかな?
「……お姉様はシスコンなんですか?」
「えっ? うん、そうだ……よ?」
「それなら私たち両思いですね!」
「? そう……だね?」
リリアはクリスティーナが何を言っているかは理解できていないが、喜んでいるならまぁいいかと肯定する。
――何も分かっていないお姉様……やっぱり可愛い!
シスコンの本当の意味を教えたらお姉様に引かれるかな? それとも受け入れてくれる? 怒っても泣きながら謝れば許して貰えそうな気がする。
それでも本当の意味は知られないようにしよう。クリスティーナはそう心に決める。
それにしても……お姉様とアインとの間に何かあったのは確実。
クリスティーナにとってリリアが1番であることは変わりないが、リリアにとって1番ではなくていいと思っている。もちろん1番でいたいとは思っている。しかし、リリアが幸せになることがクリスティーナにとって1番重要なことだった。
お姉様がアインを気になると言うのであれば、私はその思いを応援したい。ただ、今のアインをお姉様に会わせる訳にはいかない。
今もお姉様に断られたと思ってショックを受けているだろうアインを想像し、どうやってフォローをしようか考える。
まったく、手のかかる未来の兄候補なんだから。
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