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味方
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私がお姉様をお人形と呼んだ日から数日が経ったある日の夕食の時間。
この家に来て一番苦痛な時間は食事の時間です。お姉様とも話せないし、この二人との話も面白く感じない。というよりも、よくこの状況で笑い合えるな、と尊敬すらできそうです。
アンたちにはお姉様のことは口止めしているから周りの視線が痛いのですから。
だけど、それだけお姉様が心配されていることがわかるから嬉しくもなる。ちょっとおかしいかな?
今まではただ無言でこの時間を過ごしていたけど、父に好きだと何も考えずに言った以上、今までのようにはいかないので、最近は何かと興味のないこと、例えば父の今までの仕事についてとか。まぁ、話す内容がないからか話を濁されたけど…
「そういえば、シア、少し話があるのだが…」
「?なんでしょうか、お父様?」
「あの女、いやお人形だったか。それに婚約者がいたという話は聞いたか?」
お姉様のことを他人にお人形と言われるのは、私のせいなのですけど、なんというか…不愉快です。それに、『いた』とはどういうこと?まさか、婚約解消をして私に付け替えるとか言わな…言いますね。確実に。父ですから。
「…いいえ、ですがそれが何か関係が?」
「いや、それならいいんだ。それで、話というのがだな…シアに婚約者を作ってはどうかと思ってな。もちろん、シアが嫌ならそう言ってくれればいい。だが、一度だけはあって欲しいんだが…」
「…断るとお父様が困るのですか?」
「ああ、いや。少しだけだよ?それで、どうかな?」
たぶんお姉様の婚約者の人なのでしょう。そして父の反応からして…父に、もしくはこの家に援助でもしていた家だと思われる。どちらにせよ、その人がお姉様の助けになる人なのかどうか会ってみないとわから…いえ、お姉様は全ての人に裏切られたと言っていました。ならば、お姉様の婚約者は私に鞍替えした?お姉様を捨てて?
「…わかりました」
決めつけるのは良くない。お姉様が話していた物語の人物とは違うかもしてませんし…あとでお姉様に話を聞かないと…
「お疲れ様でした」
廊下で誰もいないことを確認してから、アンに話しかけられる。
「毎食、両親と食事を取っただけで、お疲れ様と言われるのも変な感じね。だけど、嬉しいこともあったから今日はマシかな?」
「…嬉しいことですか?」
「あっ!婚約者のことじゃないよ。そうじゃなくて、侍女たちのこと。アンたちにはお姉様のことを話さないようにお願いしてたから何も知らない侍女たちが私を睨んでいたの。それが、お姉様が大切にされているなって、思えて嬉しかったの」
「もう私はそんなことでアリシア様のことを疑ってはいません。ですが、話さなくていいのですか?」
「たぶん大丈夫だと思うんだけどね。まだもう少し様子を見させて」
まだ確信が持てない。マリアと一緒に来た人たちはもともと働いていた人で、信用できるかもしれない。けれど、今は他の人も入ってきている。マリアが知らない人も数人いたと言っていたので、父の手の者が入ってきているかもしてない。
だから、全員に無闇に話すことはできない。父に情報を漏らしたか、もしくは仲間内で話していることが父に聞かれたか。どちらにしても、こちらが特定できないのが一番怖い。
だから、こちらの味方が特定できるまでは本当に信頼できる人にしか話すことはできない。
「何か判断できる出来事でもあったらいいんだけどね」
今はまだ、父に知られるわけにはいかない。
この家に来て一番苦痛な時間は食事の時間です。お姉様とも話せないし、この二人との話も面白く感じない。というよりも、よくこの状況で笑い合えるな、と尊敬すらできそうです。
アンたちにはお姉様のことは口止めしているから周りの視線が痛いのですから。
だけど、それだけお姉様が心配されていることがわかるから嬉しくもなる。ちょっとおかしいかな?
今まではただ無言でこの時間を過ごしていたけど、父に好きだと何も考えずに言った以上、今までのようにはいかないので、最近は何かと興味のないこと、例えば父の今までの仕事についてとか。まぁ、話す内容がないからか話を濁されたけど…
「そういえば、シア、少し話があるのだが…」
「?なんでしょうか、お父様?」
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「…いいえ、ですがそれが何か関係が?」
「いや、それならいいんだ。それで、話というのがだな…シアに婚約者を作ってはどうかと思ってな。もちろん、シアが嫌ならそう言ってくれればいい。だが、一度だけはあって欲しいんだが…」
「…断るとお父様が困るのですか?」
「ああ、いや。少しだけだよ?それで、どうかな?」
たぶんお姉様の婚約者の人なのでしょう。そして父の反応からして…父に、もしくはこの家に援助でもしていた家だと思われる。どちらにせよ、その人がお姉様の助けになる人なのかどうか会ってみないとわから…いえ、お姉様は全ての人に裏切られたと言っていました。ならば、お姉様の婚約者は私に鞍替えした?お姉様を捨てて?
「…わかりました」
決めつけるのは良くない。お姉様が話していた物語の人物とは違うかもしてませんし…あとでお姉様に話を聞かないと…
「お疲れ様でした」
廊下で誰もいないことを確認してから、アンに話しかけられる。
「毎食、両親と食事を取っただけで、お疲れ様と言われるのも変な感じね。だけど、嬉しいこともあったから今日はマシかな?」
「…嬉しいことですか?」
「あっ!婚約者のことじゃないよ。そうじゃなくて、侍女たちのこと。アンたちにはお姉様のことを話さないようにお願いしてたから何も知らない侍女たちが私を睨んでいたの。それが、お姉様が大切にされているなって、思えて嬉しかったの」
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「たぶん大丈夫だと思うんだけどね。まだもう少し様子を見させて」
まだ確信が持てない。マリアと一緒に来た人たちはもともと働いていた人で、信用できるかもしれない。けれど、今は他の人も入ってきている。マリアが知らない人も数人いたと言っていたので、父の手の者が入ってきているかもしてない。
だから、全員に無闇に話すことはできない。父に情報を漏らしたか、もしくは仲間内で話していることが父に聞かれたか。どちらにしても、こちらが特定できないのが一番怖い。
だから、こちらの味方が特定できるまでは本当に信頼できる人にしか話すことはできない。
「何か判断できる出来事でもあったらいいんだけどね」
今はまだ、父に知られるわけにはいかない。
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