31 / 43
18 私よりも…
しおりを挟む
クリス様とお話しができた次の日、アメリアと一緒に学園に行ったのですが、教室で授業の準備をしていると、また面倒ごとがやって来ました。
「おい!この悪女め!今度はメアリーを奴隷にでもするつもりか!」
ほんと、王子なのですから、この国の規則くらい理解していて欲しいものなのですが……
この国では奴隷は禁止されています。それも厳しく。影の仕事の一部にもなっているぐらいですよ?
「ソフィア様は悪役令嬢ではありません!」
「そうです!ソフィア様はこの国のために努力を惜しまない方です!」
「私たちがソフィア様に助けてもらった数は数え切れません!」
「「「そうだ!そうだ!」」」
「なっ」
マリア様の言葉を筆頭に、次々と私を擁護する言葉が第一王子にかけられます。第一王子は、そのことに心底理解できないという顔をしておられ、少し滑稽でした。
「お、お前ら、その悪女がどんなことをしたのか知っているのか!」
「ええ、悪徳貴族の横領を見つけ、取り締まりましたわ!」
「私たちの領地の不穏な問題も解決してくれましたわ!」
「違う!そうじゃない!その女は、俺を支持していた貴族共を全員潰したんだぞ!」
私、そんなことをしたことないのですが…何を言っているのでしょうか?
「申し訳ありません。何のお話しですか?」
「今更知らないふりをしてももう遅い!この俺が気づかないとでも思ったか!」
「?」
「ソフィア様は知らなくていいことです。ソフィア様が私に教えてくれた言葉を思い出してください」
アメリアに教えた言葉って、全部第一王子が悪いってことよね。けれど、今は違うんじゃないかなぁ。
もう一度アメリアを見ると、今度は見惚れてしまいそうな笑顔を向けられ、何も言えなくなってしまいます。
私は知っているのです。この笑顔をする人に何をいっても答えてくれないということを。
お父様もお母様もお兄様も、クリス様でさえも私に何か秘密にするときは、みんなして笑顔を振る舞って、いつか必ず私もしてやるんですから!
こほん、そんなことを考えている間に、第一王子がいなくなっていたのですが…
「さっ、ソフィア様。うるさいのは何処かに行ったので、教室に向かいましょう」
「え、ええ、でもアメリアは別のクラスよね?」
「はい。ですが、学園長に私の事情を話したら、快くソフィア様と同じクラスでいいと言っていただけました」
「そ、そうなの…」
「はい!正直、第一王子が同じクラスであることだけが心残りだったのですが、今の様子ですと、クラスには来なさそうですし、良かったですね!」
それは…そうなのですけど。それを声に出して言うのは、ダメ…じゃないかな?
周りの方も頷くのはやめましょう。一応第一王子なのですよ!?
私より、アメリアの方が悪役令嬢と呼ばれるべきなんじゃないでしょうか…
アメリアには、申し訳ないですけど、そう思っても仕方ないですよね…
「おい!この悪女め!今度はメアリーを奴隷にでもするつもりか!」
ほんと、王子なのですから、この国の規則くらい理解していて欲しいものなのですが……
この国では奴隷は禁止されています。それも厳しく。影の仕事の一部にもなっているぐらいですよ?
「ソフィア様は悪役令嬢ではありません!」
「そうです!ソフィア様はこの国のために努力を惜しまない方です!」
「私たちがソフィア様に助けてもらった数は数え切れません!」
「「「そうだ!そうだ!」」」
「なっ」
マリア様の言葉を筆頭に、次々と私を擁護する言葉が第一王子にかけられます。第一王子は、そのことに心底理解できないという顔をしておられ、少し滑稽でした。
「お、お前ら、その悪女がどんなことをしたのか知っているのか!」
「ええ、悪徳貴族の横領を見つけ、取り締まりましたわ!」
「私たちの領地の不穏な問題も解決してくれましたわ!」
「違う!そうじゃない!その女は、俺を支持していた貴族共を全員潰したんだぞ!」
私、そんなことをしたことないのですが…何を言っているのでしょうか?
「申し訳ありません。何のお話しですか?」
「今更知らないふりをしてももう遅い!この俺が気づかないとでも思ったか!」
「?」
「ソフィア様は知らなくていいことです。ソフィア様が私に教えてくれた言葉を思い出してください」
アメリアに教えた言葉って、全部第一王子が悪いってことよね。けれど、今は違うんじゃないかなぁ。
もう一度アメリアを見ると、今度は見惚れてしまいそうな笑顔を向けられ、何も言えなくなってしまいます。
私は知っているのです。この笑顔をする人に何をいっても答えてくれないということを。
お父様もお母様もお兄様も、クリス様でさえも私に何か秘密にするときは、みんなして笑顔を振る舞って、いつか必ず私もしてやるんですから!
こほん、そんなことを考えている間に、第一王子がいなくなっていたのですが…
「さっ、ソフィア様。うるさいのは何処かに行ったので、教室に向かいましょう」
「え、ええ、でもアメリアは別のクラスよね?」
「はい。ですが、学園長に私の事情を話したら、快くソフィア様と同じクラスでいいと言っていただけました」
「そ、そうなの…」
「はい!正直、第一王子が同じクラスであることだけが心残りだったのですが、今の様子ですと、クラスには来なさそうですし、良かったですね!」
それは…そうなのですけど。それを声に出して言うのは、ダメ…じゃないかな?
周りの方も頷くのはやめましょう。一応第一王子なのですよ!?
私より、アメリアの方が悪役令嬢と呼ばれるべきなんじゃないでしょうか…
アメリアには、申し訳ないですけど、そう思っても仕方ないですよね…
11
お気に入りに追加
286
あなたにおすすめの小説
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
【完結】悪役令嬢はおせっかい「その婚約破棄、ちょっとお待ちなさい」
みねバイヤーン
恋愛
「その婚約破棄、ちょっとお待ちなさい」まーたオリガ公爵令嬢のおせっかいが始まったぞ。学園内での婚約破棄に、オリガ公爵令嬢が待ったをかけた。オリガの趣味は人助け、好きな言葉はノブレス・オブリージュ。無自覚な悪役令嬢オリガは、ヒロインの攻略イベントをことごとくつぶしていく。哀れなヒロインはオリガのおせっかいから逃げられない。
【短編完結】記憶なしで婚約破棄、常識的にざまあです。だってそれまずいって
鏑木 うりこ
恋愛
お慕いしておりましたのにーーー
残った記憶は強烈な悲しみだけだったけれど、私が目を開けると婚約破棄の真っ最中?!
待って待って何にも分からない!目の前の人の顔も名前も、私の腕をつかみ上げている人のことも!
うわーーうわーーどうしたらいいんだ!
メンタルつよつよ女子がふわ~り、さっくりかる~い感じの婚約破棄でざまぁしてしまった。でもメンタルつよつよなので、ザクザク切り捨てて行きます!
婚約者に「愛することはない」と言われたその日にたまたま出会った隣国の皇帝から溺愛されることになります。~捨てる王あれば拾う王ありですわ。
松ノ木るな
恋愛
純真無垢な心の侯爵令嬢レヴィーナは、国の次期王であるフィリベールと固い絆で結ばれる未来を夢みていた。しかし王太子はそのような意思を持つ彼女を生意気と見なして疎み、気まぐれに婚約破棄を言い渡す。
伴侶と寄り添う心穏やかな人生を諦めた彼女は悲観し、井戸に身を投げたのだった。
あの世だと思って辿りついた先は、小さな貴族の家の、こじんまりとした食堂。そこには呑めもしないのに酒を舐め、身分社会に恨み節を唱える美しい青年がいた。
どこの家の出の、どの立場とも知らぬふたりが、一目で恋に落ちたなら。
たまたま出会って離れていてもその存在を支えとする、そんなふたりが再会して結ばれる初恋ストーリーです。
【完結】リクエストにお答えして、今から『悪役令嬢』です。
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
恋愛
「断罪……? いいえ、ただの事実確認ですよ。」
***
ただ求められるままに生きてきた私は、ある日王子との婚約解消と極刑を突きつけられる。
しかし王子から「お前は『悪』だ」と言われ、周りから冷たい視線に晒されて、私は気づいてしまったのだ。
――あぁ、今私に求められているのは『悪役』なのだ、と。
今まで溜まっていた鬱憤も、ずっとしてきた我慢も。
それら全てを吐き出して私は今、「彼らが望む『悪役』」へと変貌する。
これは従順だった公爵令嬢が一転、異色の『悪役』として王族達を相手取り、様々な真実を紐解き果たす。
そんな復讐と解放と恋の物語。
◇ ◆ ◇
※カクヨムではさっぱり断罪版を、アルファポリスでは恋愛色強めで書いています。
さっぱり断罪が好み、または読み比べたいという方は、カクヨムへお越しください。
カクヨムへのリンクは画面下部に貼ってあります。
※カクヨム版が『カクヨムWeb小説短編賞2020』中間選考作品に選ばれました。
選考結果如何では、こちらの作品を削除する可能性もありますので悪しからず。
※表紙絵はフリー素材を拝借しました。
公爵令嬢と短気な王子様
ひろたひかる
恋愛
「貴様が彼女を迫害していたことはわかっている!」婚約者である王子から糾弾されている公爵令嬢サンドラ。けれど私、彼女とは初対面ですわ?★★★断罪イベントっぽいですが、乙女ゲー、婚約破棄物ではありません。一応恋愛カテゴリですが、コメディ色強いです。「小説家になろう」にも同内容で投稿しています。
私達、政略結婚ですから。
黎
恋愛
オルヒデーエは、来月ザイデルバスト王子との結婚を控えていた。しかし2年前に王宮に来て以来、王子とはろくに会わず話もしない。一方で1年前現れたレディ・トゥルペは、王子に指輪を贈られ、二人きりで会ってもいる。王子に自分達の関係性を問いただすも「政略結婚だが」と知らん顔、レディ・トゥルペも、オルヒデーエに向かって「政略結婚ですから」としたり顔。半年前からは、レディ・トゥルペに数々の嫌がらせをしたという噂まで流れていた。
それが罪状として読み上げられる中、オルヒデーエは王子との数少ない思い出を振り返り、その処断を待つ。
【完結】悪役令嬢はラブロマンスに憧れる☆
白雨 音
恋愛
その日、一冊の本が、公爵令嬢ヴァイオレットの頭を直撃した。
それは《ラブロマンス》で、驚く事に、自分と同姓同名の登場人物がいた。
だが、ヒロインではなく、引き立て役の【悪役令嬢】!
「どうしてわたしが悪役なの?」と不満だったが、読み進める内に、すっかりロマンスの虜となっていた。
こんな恋がしたい!と、婚約者である第二王子カルロスに迫るも、素気無くされてしまう。
それに、どうやら、《ヒロイン》も実在している様で…??
異世界恋愛:短編(全9話)※婚約者とは結ばれません。
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる