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期待
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私は私がイヤになって
目に入る誰でもいいからその人に
なれるかなーって期待で
目についたある人の
後ろをぴったりつけてみた
私はすっかりその人になった
ところがある所でその人が
振り返って私を見たから私は
慌てて顔をそらしたらその人は
いつのまにか私の後ろに
ぴったりついていた
僕は僕がイヤでしかたないから
あなたになります
なんてその人は言う
じゃあなり切りっこしましょうと
私はその人に言って
「ねえ私?」
ってその人に言ったら
「なんだい僕?」
ってその人も言う
私は僕になって
「僕は僕がちっとも面白くないんだよー」
って言ったらその人も
「私は私がイヤで仕方ないー」
って言った
何回も「僕は」「私は」を繰り返したら
そのうちどっちもつまらなくなってきた
「つまらないね」
って私が言ったら
「つまらないね」
ってその人も言った
でもそのあと
言葉は出ないのに笑いが出た
ふたりともしばらく
同じ顔でいた
何かが迎えに来るような気がしていた
目に入る誰でもいいからその人に
なれるかなーって期待で
目についたある人の
後ろをぴったりつけてみた
私はすっかりその人になった
ところがある所でその人が
振り返って私を見たから私は
慌てて顔をそらしたらその人は
いつのまにか私の後ろに
ぴったりついていた
僕は僕がイヤでしかたないから
あなたになります
なんてその人は言う
じゃあなり切りっこしましょうと
私はその人に言って
「ねえ私?」
ってその人に言ったら
「なんだい僕?」
ってその人も言う
私は僕になって
「僕は僕がちっとも面白くないんだよー」
って言ったらその人も
「私は私がイヤで仕方ないー」
って言った
何回も「僕は」「私は」を繰り返したら
そのうちどっちもつまらなくなってきた
「つまらないね」
って私が言ったら
「つまらないね」
ってその人も言った
でもそのあと
言葉は出ないのに笑いが出た
ふたりともしばらく
同じ顔でいた
何かが迎えに来るような気がしていた
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