短い話たち

weo

文字の大きさ
上 下
170 / 348

怪談

しおりを挟む
駅の人混みを、揉まれながら歩く。
前の人に続いて階段を昇る。
と、途中で止まった。
すると階段が浮き上がり、見たらマッチョが何人もで階段を担ぎ上げている。
マッチョは自分らの足もとの階段を、私らを乗せた階段を担ぎながら上がって行く。
「え?」
私は何が起こったのか理解出来ない。
上に着いて、マッチョは私らが乗っている階段を下す。
私らは昇っていたはずの階段を降りることになるのだが、私を除く誰もがこの現象を疑わずに、普通に階段を降りてまた歩み始めた。
空になった階段をマッチョはまた担いで、さっき昇った階段を降り止まる。
そして階段を担いだまま座ると、風景は元通りになった。
またマッチョが階段を担ぎ上げるのかなと思ってしばらく眺めていたが、もうマッチョは現れなかった。
下からは次々と人並みが昇って来て、ドンドンと私に当たる。
「いったいあれはなんだったんだ?」
私は首をひねりながら歩き直した。そしてまた階段を上がったのだが、そこでも同じ現象が起こった。しかもまた私を除く誰もが当然のように階段を降り、歩みを進めた。
「私だけがおかしいのか?」
次に階段を昇った時も同じ。その次も同じで、しまいに私はそれが当たり前なんだと思うようになっていた。
そんな状況が何百回も続いたある日、私は階段を昇るのだが前を行く誰も止まらない。
「あれあれ?」
もう階段はあと数段で終わってしまうのにマッチョは出て来ない。おかしい、止まらなきゃと思った時には、私は階段を昇り終えたところだった。
慌てて止まった。
振り向くと…
階段を担ぎ迫るマッチョたちがいた。
マッチョの上の階段には何百人もの人間がいたはずだが、その正確な数は分からない。
ただ思い出したのは、私が昇った階段の段数が、そういえばどれもこれも13だったことだが、その数を思い出した私の脳は…

「執行終了!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【一話完結】3分で読める背筋の凍る怖い話

冬一こもる
ホラー
本当に怖いのはありそうな恐怖。日常に潜むあり得る恐怖。 読者の日常に不安の種を植え付けます。 きっといつか不安の花は開く。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

意味がわかるとえろい話

山本みんみ
ホラー
意味が分かれば下ネタに感じるかもしれない話です(意味深)

短編怖~い話1話完結

ムーワ
ホラー
昔、筆者が学校の先生から聞いた話や都市伝説などにもなっている怖~い話や筆者自身の恐怖体験なども踏まえて紹介していきます。

女子高校生集団で……

望悠
大衆娯楽
何人かの女子高校生のおしっこ我慢したり、おしっこする小説です

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

おもらしの想い出

吉野のりこ
大衆娯楽
高校生にもなって、おもらし、そんな想い出の連続です。

意味がわかると下ネタにしかならない話

黒猫
ホラー
意味がわかると怖い話に影響されて作成した作品意味がわかると下ネタにしかならない話(ちなみに作者ががんばって考えているの更新遅れるっす)

処理中です...