刺朗

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対決12

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再び水が赤くなり、凛の一部の肌色が浮かんだり消えたりした。
水はまた透明に戻った。
僕は凛の最後の一部を、シャバシャバとゆすいで流れのない所に浸けた。それは球体の感触がした。
ガタガタ震えながら僕を見ている少年の前を通り過ぎ、リュックを持ち、元の場所に戻った。リュックからゴミ用のポリ袋を出した。
そこに川の水を入れ、凛を浸した。
半開きの口には、離乳食をスプーンで詰めた。僕は家族にまた、最後の食事を与える羽目になった。
僕は【あいつ】に【これで気が済んだか!】と、心のなかで怒鳴っていた。
袋の口を結んでハンカチで袋の水滴を拭き、風の通る所で乾かした。

少年は腰が抜けたままだった。その腕を掴んで無理矢理立たせた。
僕はポリ袋を指差し
【それを持て!】
脅すように少年に言った。
少年はすっかり怯えていたが、右手首を引っ張り袋の所へ引きずって行った。
【こいつを持つんだ!】
少年の右手を袋の結び目に押し付けて、
また脅すように言った。
少年はブルブル震えるばかりだった。
袋に押し付けられた右手はグーの形をしたまま開かない。それを無理矢理こじ開けた。
【持て!!】
思い切り怒鳴った。
ふと、誰かに見られてやしないかと不安になり、周りを見回した。
幸い川縁には背の高い葦が密生していたので、僕らの姿は葦に隠れていた。
風も吹いていたので、それにそよぐ葦の音がうるさく、声もかき消されているようだ。
【持てこのヤロウ!】
この怒鳴りに少年はビクッと反応し、袋の結び目をグッと掴んだ。
袋を持ち、ガクガク震えて立っている少年に僕は
【どこかに捨てて来い!それで許してやる!】
それだけ言いながら、包丁を思い切り川に投げ、あの大きな岩に向かって歩いた。そして岩にもたれて座り、リュックを覗いた。
麦茶の入った哺乳瓶があった。
(飲ませてやれなかったなぁ)
少年がそれからどうしたかは知らない。
あの時の僕は、半分投げやりになっていた。少年次第では警察行きになるのは分かっていたが、自分が過去と現在に肉親にした仕打ちを思うと、いっそ捕まってしまった方がいいんだという気持ちだった。
リュックから睡眠薬を取り出し、哺乳瓶のお茶で飲んだ。以前、仕事のストレスで眠れなかった時に通った医者で処方された、強めの睡眠薬だった。
勢いで致死量まで飲みそうになったが(あいつに負けたままでいいのか?)という思いと(幸恵との約束は果たさないでいいのか?)という思いが頭をよぎったので、1回半の服用量を飲んだ。
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