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アマテラス

iSANAGi-HD#3

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────ファ=ルシオーヌ=ティア=リオン(ヴェルキエーレ特異種、ニダヴェリール宮廷特務機関)


 アマテラスの編纂は一時的に中止された。


 その代わりに〝アマノイワト〟という、とてもシンプルな技能体系としてククリさんがまとめ直してくれた。

 僕は、今、その再評価を行なっているところだ。

 グラミアはなんと、進化の門に到達してしまうらしい。
 肉体の変化はないらしいが、生命体として不自然な状態が解消されるだろうとのことだった。

 僕はまだ安全域なので、念のため修練を控えるように言われている。
 
 グラミアの進化を見届けてから、本当のアマテラスを編纂することになっている。
 ククリさんも、どうなるのか、まるで想像できないらしい。

 ククリさんと世界龍オーバーロード達が、慌ただしくしていた理由がようやくわかった。
 調査が完了し、あとは見守るだけらしい。

 このことはグラミアも含めたヴェルキエーレには内緒にされている。

 グラミアは、進化が終わるまで、ムスペルヘイムに移ることになった。
 ルークさんが、精密データを計測するためだ。
 グラミア大丈夫かな?


 グラミアの件が保留になったので、ククリさんもアカネのデータ分析に集中できるようになった。
 かなり複雑になってはいるが、大枠は下位種族とほどんど違いはないようだ。
 ヴェルキエーレに似た傾向があるかもしれないと心配していたが、杞憂きゆうに終わってホッとしている。
 いくらデネブでもルークさんには、遠く及ばないらしい。

 ただ、高次元化されて全体的に強力になった分、刹那せつなの習得難易度がかなり高くなってしまったようだ。
 ミヅキの修練もかなり大変だった。

 アストレアのアシダカ種が、途中で諦めて修羅落ちしないかが心配だ。
 アシダカ種はほとんど一刃ひとは系なので、ククリさんもかなり心配しているようだ。
 すでに、一刃ひとは系の修羅落ち対策は、ミヅキに任せてある。

 調査した獣道の状態を徹底的に分析して、刹那せつなへの到達方法に当たりをつけている。
 無名相むみょうそうですら、かなり遠かったので、球面の極の真下とわかってはいても、難航しそうだ。

 知覚が上限まで発達しきったこともあり、現在、アカネには気流操作を徹底的に修練してもらっている。
 ククリさんのダメ出しがすごいので、アカネもかなり必死だ。
 求める精度が通常に比べて3桁くらい違うらしい。
 ククリさんから確認を任されているけど、僕もその精度の気流操作には自信がない。チェックするのがやっとだ。
 実際、僕もなんども挑戦してるけど、どうやっても精度が一桁足りない。
 ククリさんから要求されるってことは、素質があるってことだから、アカネはかなり器用なのだろう。

 アシダカの月影使いは、イサナギの領域だと一刃使いと水面使いに、他種族以上に大幅な差をつけられるだろうから、影の世界は必須になるのだろう。
 しかし、超高精度の気流操作を動的かつ瞬時に行える必要がある。
 そのため、アシダカの月影使いは伸び悩んで修羅落ちが増えるだろう。

 ククリさんは、アシダカの修羅落ち対策をアカネに任せようとしてるのかもしれない。

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