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アマテラス
アマノイワト#1
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────ククリ(人狼ガルダーガ種、ニダヴェリール宮廷正室、アースバインダー)
アマテラスの整備は進んでいるが、どうも腑に落ちない。
性能が期待値に届かないどころか、1割を切っているのだ。
なにか大きな壁が立ちふさがっているようだった。
ヴェルキエーレ専用に再構築した生命の基礎法術体系がうまく適合していないようだ。
ノイズの次はここがブレークスルーになるだろう。
たくさんのデータを取り直して、ゼディーとルークに送って検証してもらっている。
ルーテシアも実験に同席して、生命の根源体の状態を確認してくれるようになった。
早速、ニーヴェルング鉱床にもたくさんの観測装置が取り付けられ、日々大量のデータが転送されてくるようになった。
処理しきれないので、グラミア達3名を呼び戻し、解析と生命の基礎法術体系の見直しを進めさせている。
ルシオーヌには、これまで通り、アマテラスの整備と検証を進めてもらっている。
私も独自の切り口で解析を行い、突破口を模索している。
……
私とルシーニアとグラミアに、生命の位相軸に水面を奏で、ルーテシアに確認してもらった。
生命の根源体の反応にやはり違いがあるようだ。
私とルシーニアは、同じ反応を示し、グラミアだけ異なる反応を示した。
他のヴェルキエーレは、みなグラミアと同じ反応だったらしい。
どうやら、一番厄介な領域でヴェルキエーレにだけ大きな差異があるようだ。
生命の位相軸が存在する空間は、観測できない領域だ。
手探りで当たりをつけるしかない。
生命の根源体の状態は、ルーテシアしか確認できないので、反応の違いの詳細をまとめてもらうことになった。
幾多の試行実験の末、ルーテシアが導き出した答えは、同じ生命の位相軸がもう一つ存在している可能性が高いということだった。
しかも厄介なことに、完全に二重化されているわけでなく、微妙に異なっているようだ。
2種類の生命の根源体が一つにまとまって同居しているような感じといったところだろう。
完全発声器官を同居させたことで必要以上に複雑な構造になってしまったらしい。
でも、同じ空間に同じ生命の位相軸が同時に複数存在できるものだろうか?
ユグドラシルの大地の統合と一緒だ。
同じものは一つに統合されるはずだ。
特殊な領域といえど、高次元空間の一緒なのだから。
間接的な観測方法を確立するため、ルシオーヌを含めたヴェルキエーレ4名には、現状のアマテラスの仕様で、気流操作を極めてもらうことにした。
また、ゼディーに協力してもらいヴェルキエーレの気流の観測装置のプロトタイプを準備してもらった。
ヒューマノイドからアシダカまでの全てのデータを比較し、その延長上にヴェルキエーレの想定モデルを何種類か構築し、比較検討を行うことにした。
いずれのデータも異なるが、挙動が近いものがいくつかあったので、大まかな方向性を見いだすことができた。想定モデルの精度が少しだけ絞り込めたのだ。
それ以降は、気流操作の前提仕様を大幅に調整しながら、データを取得してさらに精度を上げ、問題点を洗い出す作業をひたすら行った。
すぐにピークが見つかると思ったが、完全に平坦な状態だった。
本当に壁が立ちはだかっているようだった。
今のアマテラスは、完全に漆黒の闇に包まれていた。
アマテラスの整備は進んでいるが、どうも腑に落ちない。
性能が期待値に届かないどころか、1割を切っているのだ。
なにか大きな壁が立ちふさがっているようだった。
ヴェルキエーレ専用に再構築した生命の基礎法術体系がうまく適合していないようだ。
ノイズの次はここがブレークスルーになるだろう。
たくさんのデータを取り直して、ゼディーとルークに送って検証してもらっている。
ルーテシアも実験に同席して、生命の根源体の状態を確認してくれるようになった。
早速、ニーヴェルング鉱床にもたくさんの観測装置が取り付けられ、日々大量のデータが転送されてくるようになった。
処理しきれないので、グラミア達3名を呼び戻し、解析と生命の基礎法術体系の見直しを進めさせている。
ルシオーヌには、これまで通り、アマテラスの整備と検証を進めてもらっている。
私も独自の切り口で解析を行い、突破口を模索している。
……
私とルシーニアとグラミアに、生命の位相軸に水面を奏で、ルーテシアに確認してもらった。
生命の根源体の反応にやはり違いがあるようだ。
私とルシーニアは、同じ反応を示し、グラミアだけ異なる反応を示した。
他のヴェルキエーレは、みなグラミアと同じ反応だったらしい。
どうやら、一番厄介な領域でヴェルキエーレにだけ大きな差異があるようだ。
生命の位相軸が存在する空間は、観測できない領域だ。
手探りで当たりをつけるしかない。
生命の根源体の状態は、ルーテシアしか確認できないので、反応の違いの詳細をまとめてもらうことになった。
幾多の試行実験の末、ルーテシアが導き出した答えは、同じ生命の位相軸がもう一つ存在している可能性が高いということだった。
しかも厄介なことに、完全に二重化されているわけでなく、微妙に異なっているようだ。
2種類の生命の根源体が一つにまとまって同居しているような感じといったところだろう。
完全発声器官を同居させたことで必要以上に複雑な構造になってしまったらしい。
でも、同じ空間に同じ生命の位相軸が同時に複数存在できるものだろうか?
ユグドラシルの大地の統合と一緒だ。
同じものは一つに統合されるはずだ。
特殊な領域といえど、高次元空間の一緒なのだから。
間接的な観測方法を確立するため、ルシオーヌを含めたヴェルキエーレ4名には、現状のアマテラスの仕様で、気流操作を極めてもらうことにした。
また、ゼディーに協力してもらいヴェルキエーレの気流の観測装置のプロトタイプを準備してもらった。
ヒューマノイドからアシダカまでの全てのデータを比較し、その延長上にヴェルキエーレの想定モデルを何種類か構築し、比較検討を行うことにした。
いずれのデータも異なるが、挙動が近いものがいくつかあったので、大まかな方向性を見いだすことができた。想定モデルの精度が少しだけ絞り込めたのだ。
それ以降は、気流操作の前提仕様を大幅に調整しながら、データを取得してさらに精度を上げ、問題点を洗い出す作業をひたすら行った。
すぐにピークが見つかると思ったが、完全に平坦な状態だった。
本当に壁が立ちはだかっているようだった。
今のアマテラスは、完全に漆黒の闇に包まれていた。
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