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タウの刻印
カナン#2
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────シンリック=メイリン=ミルファ(人狼ベスティア種、ヘルヘイム宮廷司祭、アースバインダー)
アストレアには、アースバインダーの親睦会というのがある。
外界はククリだけだったこともあり、参加を遠慮していたようだった。
私はあまり話したことのないメンバーが多かったので、見聞を広めるため、嫌がるククリを連れて参加することにした。
なぜかブリュンヒルデから殺気を帯びた眼差しを向けられていたが、面白そうなので放置しておいた。
でも、話をすると意外と気があった。
女性の好みも近いようだ。
彼女とは、本質的な意味で同性という感じがした。
すぐに仲良しになってしまった。
意外な友達が増えて嬉しかった。
ティフォーニアの正室のリエルとは、初対面だ。
色白で妃の名にふさわしい美貌の持ち主だ。立ち居振る舞いもまさに淑女そのものだった。キスしたかったが相手が相手なので自重した。
エリューデイルとは会話が成り立たなかった。
本人は満足しているようなので良しとした。
とても温厚で前向きな人だということだけはよくわかった。
ガイゼルヘルは、ヒューマノイド嫌いだと聞いていたのでちゃんと話をしてみたかった。
実際に話をしてみると、意外に気があったので驚いた。
私が憂い嘆いていたことに、彼はヒューマノイドの資質の欠陥を見出していたようだ。
私はつい最近までルーテシアと一緒にカナンに視察に行っていたこともあり、欠格者について色々と聞かれた。
欠格者の基準はイサナミ自治区など比較にならないくらい厳しかった。
人間は、生まれ持っての性質がある。後天的に変化する場合も多々ある。
他人の心を傷つけても快楽しか感じない者がたくさんいる。
表向きはまともなふりをしているようにみえても、倫理の基準が崩壊しているものもたくさんいる。
そういう者が欠格者として、粛清の対象となるのだ。
子供が産まれたので、刻印所に行って見たものの、刻印できずにその場で首を刈り取られるといったことも多々あるらしい。
育て導く猶予すら与えてもらえないのだ。
欠格者は欠格者と仲がいいが、欠格者だけの社会は成立しない。
刻印された者をその社会の踏み台にしないと彼らの社会は成り立たないのだ。
刻印された者は、刻印されたもの同士で、平穏な生活が送れる。
欠格者と刻印された者には、そこまで大きな違いがある。
イルミナはかなり時間をかけてヒューマノイドの本質を調査したらしいが、私はその基準に納得せざるを得なかった。
カナンのヒューマノイドの中には、「人間を画一的に管理し、純粋培養して抵抗力がなくなったら危険だ」などと危惧する者もいたようだが、そういう考えをしている者は、もれなく遅かれ早かれ欠格者となって、間引かれてしまったらしい。
そもそも、人生に心の苦行など必要なく、知識として持っていれば問題ない。
そんな不幸を繰り返す必要など全くないのだ。
本当に打ち込む価値のあるものだけに時間を割けば良い。
平穏な人生はそれだけで宝物だ。
それに文句をつけ、安寧を乱そうとする輩は、ぼぼ間違いなく欠格者の予備軍だ。
そういう輩を身近においてはならない。
私とルーテシアは、色々な世界を巡って行なってきた調査で、その事実を嫌という程見せつけられてきたのだ。
イサナミに関われないヒューマノイドは、転生して進化するか、保護者の元で粛清されながら生活するかのどちらかしかないというのが、ヘルヘイムの見解だ。
その話をきいて、ガイセルヘルも思い当たることがたくさんあるようで、かなり納得していたようだ。だだし、ヒューマノイドだった私が、彼と同意見だとは思っていなかったらしい。
アストレアには、アースバインダーの親睦会というのがある。
外界はククリだけだったこともあり、参加を遠慮していたようだった。
私はあまり話したことのないメンバーが多かったので、見聞を広めるため、嫌がるククリを連れて参加することにした。
なぜかブリュンヒルデから殺気を帯びた眼差しを向けられていたが、面白そうなので放置しておいた。
でも、話をすると意外と気があった。
女性の好みも近いようだ。
彼女とは、本質的な意味で同性という感じがした。
すぐに仲良しになってしまった。
意外な友達が増えて嬉しかった。
ティフォーニアの正室のリエルとは、初対面だ。
色白で妃の名にふさわしい美貌の持ち主だ。立ち居振る舞いもまさに淑女そのものだった。キスしたかったが相手が相手なので自重した。
エリューデイルとは会話が成り立たなかった。
本人は満足しているようなので良しとした。
とても温厚で前向きな人だということだけはよくわかった。
ガイゼルヘルは、ヒューマノイド嫌いだと聞いていたのでちゃんと話をしてみたかった。
実際に話をしてみると、意外に気があったので驚いた。
私が憂い嘆いていたことに、彼はヒューマノイドの資質の欠陥を見出していたようだ。
私はつい最近までルーテシアと一緒にカナンに視察に行っていたこともあり、欠格者について色々と聞かれた。
欠格者の基準はイサナミ自治区など比較にならないくらい厳しかった。
人間は、生まれ持っての性質がある。後天的に変化する場合も多々ある。
他人の心を傷つけても快楽しか感じない者がたくさんいる。
表向きはまともなふりをしているようにみえても、倫理の基準が崩壊しているものもたくさんいる。
そういう者が欠格者として、粛清の対象となるのだ。
子供が産まれたので、刻印所に行って見たものの、刻印できずにその場で首を刈り取られるといったことも多々あるらしい。
育て導く猶予すら与えてもらえないのだ。
欠格者は欠格者と仲がいいが、欠格者だけの社会は成立しない。
刻印された者をその社会の踏み台にしないと彼らの社会は成り立たないのだ。
刻印された者は、刻印されたもの同士で、平穏な生活が送れる。
欠格者と刻印された者には、そこまで大きな違いがある。
イルミナはかなり時間をかけてヒューマノイドの本質を調査したらしいが、私はその基準に納得せざるを得なかった。
カナンのヒューマノイドの中には、「人間を画一的に管理し、純粋培養して抵抗力がなくなったら危険だ」などと危惧する者もいたようだが、そういう考えをしている者は、もれなく遅かれ早かれ欠格者となって、間引かれてしまったらしい。
そもそも、人生に心の苦行など必要なく、知識として持っていれば問題ない。
そんな不幸を繰り返す必要など全くないのだ。
本当に打ち込む価値のあるものだけに時間を割けば良い。
平穏な人生はそれだけで宝物だ。
それに文句をつけ、安寧を乱そうとする輩は、ぼぼ間違いなく欠格者の予備軍だ。
そういう輩を身近においてはならない。
私とルーテシアは、色々な世界を巡って行なってきた調査で、その事実を嫌という程見せつけられてきたのだ。
イサナミに関われないヒューマノイドは、転生して進化するか、保護者の元で粛清されながら生活するかのどちらかしかないというのが、ヘルヘイムの見解だ。
その話をきいて、ガイセルヘルも思い当たることがたくさんあるようで、かなり納得していたようだ。だだし、ヒューマノイドだった私が、彼と同意見だとは思っていなかったらしい。
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