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タウの刻印

カナン#1

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────ファ=ルシオーヌ=リア=リオン(ヴェルキエーレ特異種)


 ククリさんの話では、ヒューマノイドの今後の管理方法が3つに絞られつつあるとのことだった。
 
 1つ目は、フォーマルハウトが中心となって開発している擬似知性体群による哲人支配システムだ。

 すでに複数の低次元世界で実績を上げており、実用段階に入ったところだ。
 民度が一定レベルに到達すれば、計画的な人口調整も効果的に行えるため、粛清の頻度が激減する。また、統合システムに異常が生じた場合を想定し、自己診断・自己修復機能や、多数のシステム間での相互監視機能も整備されており、高い堅牢性と安定性を誇っている。

 ただし、システムの導入と管理コストが最大のネックになっている。


 2つ目は、イルミナ=エヌ=ラフィノスの統治する世界、〝カナン〟の統治手法である。

 最大のメリットは導入の簡便性である。
 必要な数のデカピタート種を大地に解き放つだけだ。
 その後は、デカピタート種が、繁殖や休眠などを行い、勝手に稼働数を調整してくれるそうだ。
 しかも、刻印タウの刻印所も、デカピタート種が勝手に設置してくれるらしい。
 効果も高く、生命の根源体もとても良い状態で保たれる

 だが、最大のデメリットは、粛清の数が常に一定以上の数を推移することだ。
 また、初期の民度を見誤ると、その大地のヒューマノイドが絶滅する可能性があるらしい。
 緩めの民度で導入を開始し、次第に目標値へと調整する必要があるのだ。

 だが、この手法が、現状、もっとも勘弁で、手間のかからない手法らしい。
 

 3つ目は、イサナミの本格運用である。

 ヒューマノイドの民度を向上するには最も効果的な手法であるが、立ち上げ時の負担が非常に大きいのと、長期運用における自己回復体系が完全に整備されていないため、現状、大量導入には向いていない。
 そのため、極一部の主要な世界のみに限定されてしまうのが現状である。


 理想を言えば、イサナミだろうが、全ての世界に導入するには人材が足りなすぎる。 
 そのため、ガイゼルヘルさんは、イルミナの管理手法に興味が移りつつあるそうだ。

 誰もが失敗するであろうと思っていたイルミナの試みが、最大の効果を上げてしまったからだ。
 イルミナ本人ですら驚いていたようだ。

 現在のカナンでは、70億から80億の間でヒューマノイドの人口が安定して推移している。

 リシアさんの話では、生命の根源体の状態もかなり良い状況らしい。
 欠格者も早期に刈り取られるため、生命の根源体は良好のまま粛清できるとのことだった。

 カナンの手法は、すでに別の3つの低次元世界でも、成果を上げているようだ。

 グラミアは、状態の悪い世界のほどんどで、カナンの手法が導入されそうだと言っていた。
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