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影のセカイ

THE SAViOURS FROM HELL#4

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────カツラ=キサラギ(ヒューマノイド、イサナミ自治区、一刃ひとは・師範)


 まさか、サクヤが私に会いにくるとは……。
 

 学校での職務終了後、職員室を後にした途端、必死の形相で私のところに駆け寄ってきたのだ。

「サクヤ? やっぱりサクヤか。どうしたの? 私に会ったら叱られるよ?」

「カツラさん、お願い! 十六夜の先いざよいのさき、伝授してください!」

 あまりに突然のことで驚いたが、理由を聞いて納得した。

 ククリさんの仕業か。
 やっぱりあの人すごいな、期限の設定が絶妙だ。
 サクヤのこと看破してる。
 指導者としてもかなりの力量があるのだろう。
 サクヤをここまで必死にさせたのがその証拠だ。
 理由は血なまぐさいけど、イサナミっぽくて私は好きだ。
 
「私に何の得があるの?」

「ユキヒラさんが死んじゃう」

「ユキヒラ? ああ、ユキナの弟で、私を家政婦としか思ってなかった子が、たしかそんな名前だったような気がするわね……あぁ、でも自信ない……で、誰だっけ、ユキヒラって?」

「もぅ! お願いします。何でもします!」

「何でもって、あなたにしてもらいたいことは別にないもの」

「キサラギとニカイドウの確執は存じてます。でも私の代になったらそんなの無くしてしまうつもりでした!」

「私はどっちでも損しないけど? 巻き込まないでよ、私、忙しいの」

 サクヤが土下座し始めた。
 ちょっとやめてよー、みんな集まってきたじゃない!
 私が、無視してその場を去ろうとした時、後ろから声がした。

「カツラ! 後輩がここまで頼んでいるのに、その態度はないでしょ? 仮にもあなた教師なのよ?」

 理事長のミサコ=スオウだ。私とユキナの母の同級生で親友だ。
 学生時代の私とキサとアカネの恩師でもある。
 しかも、九尾きゅうび衆の頭領ツチミカド=セイゲンの実の妹でもあり、九尾きゅうび衆の一部であるニ尾にび大隊のおさを勤めている。

「勘弁してください。私、無関係ですよ?」

「この学園の後輩でしょ?」

「それでも限度がありますよね? 十六夜の先いざよいのさきですよ?」

「たしかにそれは本人次第だけれど、やれるだけのことはやってあげたら?」

「でも、どこで修練するのですか? 一刃ひとはの山になんか入山したくありません」

「それなら、ここの敷地を提供しましょう。それなら構わないでしょ? どうせ部活動の顧問もしていないのだから」

「これを口実に、顧問をやらせようとかしないでくださいね?」

「わかってるわよ、めんどうみてくれるの?」

「おば様にお願いされたら、断れるわけないでしょ?」

「ありがとう。よろしくね」

 おば様も、グルか……。
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