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影のセカイ
THE SAViOURS FROM HELL#1
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────アカネ=イチジョウ(ヒューマノイド、イサナミ自治区、月影・師範)
お祖母様から、大切なお客様が見えられるので、イチジョウのお屋敷は完全に人払いし周辺の警護を言付かった。
ラフィノス公国の女王直属の要人で、とても高貴な方らしい。
限りなく御忍びに近い来訪のため、立ち会えるのはお祖母様だけだった。
来訪の目的は、ユキナとの面会だ。
その要人が、清鳴に到達したユキナと話をしてみたかったのが理由らしい。
ラフィノス公国とは友好関係にあるが、航空機や船舶の出入は厳しく管理されていた。
しかし、今回の客人は、小型の飛空挺を、人払いされたイチジョウのお屋敷の敷地内に、直接着陸させることになっているのだ。
以前、ラフィノス公国の女王が来訪されたときでも、これほどの特別扱いはしなかった。
つまり、その要人はそれ以上の権威を持っていることになる。
しかも、最高評議会によって、この件についての詮索や質問、他言は禁止されており知りたくても何もできない状況だ。
飛空挺から若い女性が2名、イチジョウのお屋敷に入るのを見かけた。
お祖母様は深々とお辞儀をして、完全に相手が目上の対応をしていた。
二人の女性は、2時間ほど滞在したのち、飛空挺に戻り、イサナミを後にした。
お祖母様から警戒態勢と人払いの解除が許可されたので、ほっとしてイチジョウのお屋敷に戻り、一息つこうと、居間に戻った時、驚いて思わず大きな声を上げてしまった。
私の声を聞きつけ、姉や、母、カツラが駆けつけてきたが、私が見た光景をみて、皆、同じように大きな声を上げた。
なぜなら、ほんの2時間前までろくに体を動かすの事もできなかった、ユキナが、居間でお茶を飲み、普通にくつろいでいたからだ。
しかし、ユキナの体が回復した理由は、最高評議会のメンバーしか知ることができないらしい。
ただ、一つわかったことは、ユキナの体の特性が無明相から月影に変化していたことだけだ。
……
最近のユキナは、急激な体型の変化と、体の適正の変化にかなり戸惑っている。
すこし気をぬくと、普通に何もないところをあるいていても、転ぶのだ。
ちょっとした萌え属性が追加されてしまった。
しかし、お祖母様のお話では、少し経てば体の変化に慣れ、転ばなくなるだろうとのことだった。
少し残念だ。
ユキナの気流は、見とれてしまうほど美しく、どの月影よりも月影らしかった。
ユキナ自身は、月詠の恵まれ過ぎている肉体に慣れていたため、とても不自由そうにしているが、月影使いの私から見れば、贅沢なくらい美しい気流をまとっていた。
体の変化に慣れるまでは、気流操作も含めた全ての修練が禁止されていたため、屋敷の居間で、自堕落な生活に溺れている。本を読んだり、テレビをみたり、おしゃべりをしたりといった感じだ。
転ぶと危ないので、トイレとお風呂と散歩は、誰かが付き添うように言付かっている。
日中は、いつもお祖母様と一緒に過ごしているようだ。
カツラが屋敷にいる時は、ユキナにべったり張り付いて離れないので、へんなことをしないように監視をする役目は、私に任されている。
月影の山は、当面、入山制限がかけられ、とくにイチジョウのお屋敷は、イチジョウ家とカツラ以外の出入りはできないようになっている。
お祖母様が、帰国したユキヒラをユキナに近づけさせないようにしているのだろう。
先日もユキヒラと、お目付役のキサが訪問したが、山の麓で、門前払いを受けていた。
その時にユキヒラが守衛を煽るような真似をしたらしく、キサにお仕置きされたようだ。
ユキヒラはまだキサには敵わないらしい。
キサには敵わないということは、カツラと私にも敵わないだろう。
でも、ユキヒラは月詠というとても希少で恵まれた体を持っているので、いずれはキサの手に負えなくなる。
そうなった時、だれがユキヒラの手綱を握れるのか心配でならない。
今の性格だと、最高評議会どころか、元老院や評議会にも入れないため、イサナミ宗家の一人息子となった今、ユキヒラの今後が心配だ。
アケチ家は、ナリヒラ叔父様の二人の弟の家庭もあるが、いずれも幼少の女の子しかいないため、何世代にもわたり総帥を輩出し続けてきた名門のアケチ家は、イサナミ宗家筆頭の座を危惧されている状況だ。
次期総帥は、弟のムネノリ叔父様がつとめ、その次は、末弟のトシヨシ叔父様だろう。しかし、その次を引き継げる人材が育っていないのだ。
ユキヒラも承知の上で頑張っているようだが、周囲からの評判がわるいため、アケチ家の最大の後ろ盾となっている影衆である九尾衆が、別の家門に乗り換えるのではないかと噂されているほどだ。
アケチ家の対抗と目されているイズナ家は、九尾衆に接近しはじめているらしい。
イズナ家は諸外国の植民地化政策を掲げている家門の一つなので、お祖母様はとても心配されている。
九尾衆が、ユキヒラを見限った時、イサナミの外交政策が大きく変わる可能性があるのだ。
戦争に明け暮れる日々が、イサナミに訪れないで欲しいと思っている。
お祖母様から、大切なお客様が見えられるので、イチジョウのお屋敷は完全に人払いし周辺の警護を言付かった。
ラフィノス公国の女王直属の要人で、とても高貴な方らしい。
限りなく御忍びに近い来訪のため、立ち会えるのはお祖母様だけだった。
来訪の目的は、ユキナとの面会だ。
その要人が、清鳴に到達したユキナと話をしてみたかったのが理由らしい。
ラフィノス公国とは友好関係にあるが、航空機や船舶の出入は厳しく管理されていた。
しかし、今回の客人は、小型の飛空挺を、人払いされたイチジョウのお屋敷の敷地内に、直接着陸させることになっているのだ。
以前、ラフィノス公国の女王が来訪されたときでも、これほどの特別扱いはしなかった。
つまり、その要人はそれ以上の権威を持っていることになる。
しかも、最高評議会によって、この件についての詮索や質問、他言は禁止されており知りたくても何もできない状況だ。
飛空挺から若い女性が2名、イチジョウのお屋敷に入るのを見かけた。
お祖母様は深々とお辞儀をして、完全に相手が目上の対応をしていた。
二人の女性は、2時間ほど滞在したのち、飛空挺に戻り、イサナミを後にした。
お祖母様から警戒態勢と人払いの解除が許可されたので、ほっとしてイチジョウのお屋敷に戻り、一息つこうと、居間に戻った時、驚いて思わず大きな声を上げてしまった。
私の声を聞きつけ、姉や、母、カツラが駆けつけてきたが、私が見た光景をみて、皆、同じように大きな声を上げた。
なぜなら、ほんの2時間前までろくに体を動かすの事もできなかった、ユキナが、居間でお茶を飲み、普通にくつろいでいたからだ。
しかし、ユキナの体が回復した理由は、最高評議会のメンバーしか知ることができないらしい。
ただ、一つわかったことは、ユキナの体の特性が無明相から月影に変化していたことだけだ。
……
最近のユキナは、急激な体型の変化と、体の適正の変化にかなり戸惑っている。
すこし気をぬくと、普通に何もないところをあるいていても、転ぶのだ。
ちょっとした萌え属性が追加されてしまった。
しかし、お祖母様のお話では、少し経てば体の変化に慣れ、転ばなくなるだろうとのことだった。
少し残念だ。
ユキナの気流は、見とれてしまうほど美しく、どの月影よりも月影らしかった。
ユキナ自身は、月詠の恵まれ過ぎている肉体に慣れていたため、とても不自由そうにしているが、月影使いの私から見れば、贅沢なくらい美しい気流をまとっていた。
体の変化に慣れるまでは、気流操作も含めた全ての修練が禁止されていたため、屋敷の居間で、自堕落な生活に溺れている。本を読んだり、テレビをみたり、おしゃべりをしたりといった感じだ。
転ぶと危ないので、トイレとお風呂と散歩は、誰かが付き添うように言付かっている。
日中は、いつもお祖母様と一緒に過ごしているようだ。
カツラが屋敷にいる時は、ユキナにべったり張り付いて離れないので、へんなことをしないように監視をする役目は、私に任されている。
月影の山は、当面、入山制限がかけられ、とくにイチジョウのお屋敷は、イチジョウ家とカツラ以外の出入りはできないようになっている。
お祖母様が、帰国したユキヒラをユキナに近づけさせないようにしているのだろう。
先日もユキヒラと、お目付役のキサが訪問したが、山の麓で、門前払いを受けていた。
その時にユキヒラが守衛を煽るような真似をしたらしく、キサにお仕置きされたようだ。
ユキヒラはまだキサには敵わないらしい。
キサには敵わないということは、カツラと私にも敵わないだろう。
でも、ユキヒラは月詠というとても希少で恵まれた体を持っているので、いずれはキサの手に負えなくなる。
そうなった時、だれがユキヒラの手綱を握れるのか心配でならない。
今の性格だと、最高評議会どころか、元老院や評議会にも入れないため、イサナミ宗家の一人息子となった今、ユキヒラの今後が心配だ。
アケチ家は、ナリヒラ叔父様の二人の弟の家庭もあるが、いずれも幼少の女の子しかいないため、何世代にもわたり総帥を輩出し続けてきた名門のアケチ家は、イサナミ宗家筆頭の座を危惧されている状況だ。
次期総帥は、弟のムネノリ叔父様がつとめ、その次は、末弟のトシヨシ叔父様だろう。しかし、その次を引き継げる人材が育っていないのだ。
ユキヒラも承知の上で頑張っているようだが、周囲からの評判がわるいため、アケチ家の最大の後ろ盾となっている影衆である九尾衆が、別の家門に乗り換えるのではないかと噂されているほどだ。
アケチ家の対抗と目されているイズナ家は、九尾衆に接近しはじめているらしい。
イズナ家は諸外国の植民地化政策を掲げている家門の一つなので、お祖母様はとても心配されている。
九尾衆が、ユキヒラを見限った時、イサナミの外交政策が大きく変わる可能性があるのだ。
戦争に明け暮れる日々が、イサナミに訪れないで欲しいと思っている。
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