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イサナミ自治区

A NAME OF SNOW#1

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────ユキナ=アケチ(ヒューマノイド、イサナミ自治区、2代目清鳴シンメイ )


「あら、風花カザハナ、冷えてきたからもう閉めるね」
 カツラさんは、障子を閉めてしまった。

「もうすこし、外を見てたかったのに……」

「ダメ。最近、体調が良くなってきたからって、調子乗りすぎ。少し横になりなさい」
 カツラさんは、僕の肩を抱くと、布団に寝かせた。

「カツラさん、このままニート続ける気?」

「失礼ね、アーリー・リタイヤっていってよ」

「似たようなものでしょ? 1日中、僕の世話なんかしてる暇があるくらいなら、はやく月詠つくよみになっちゃいなよ。カツラさんなら刹那せつななんて簡単に届くから。キサ姉さんに負けてもいいの?」

清鳴シンメイなんて、興味ないもの。キサなんてどうでもいい」

「イサナミをディスってるの? 怒るよ? そういうのは清鳴シンメイになってからいってよ」

「いつまでも清鳴シンメイ気分でいちゃだめよ。ろくに体を動かすこともできないじゃない」

「できるよ。ただ、まだ、かなり大変なだけ」

「それを、ろくに体を動かせないっていうの」

「『ユキヒラ』に任せておけばいいの。あなたはもう時間切れなの。私に甘えてればいいの」

「カツラさんは、わかってないんだよ。あれ? 僕のゴーレムどこへやったの?」

「『ユキナ』のじゃないでょ? あれは『ユキヒラ』のもの」

「じゃ、借りてきてよ、見せてあげるから」

「どうせ無茶するからだめ」

「もぅ、本当なんだってばー」

「そろそろ、寝なさい。薬効いてきたでしょ? 眠そうな顔してるよ?」

「最近、睡眠導入剤の量、増やしたでしょ? しかも強力になってる」

「だって、おとなしく寝ないじゃない」

 カツラさんは、僕の胸元で、水面みなもを奏でた。
 気持ちが、落ち着いてきて、気が緩むと、抗っていた薬の効果に負けて眠りに落ちた。

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