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イサナミの書
月影(つきかげ)#2
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────ルフィリア(人狼ルーノ種、英知の湖の守人、ニダヴェリール宮廷第一補佐官)
皆、上級者として一人立ちできたようです。
おかしな行動ばかりとっていたルカも、修練の一環だったようみたいですね。姉として安心できました。
イサナミの道を極めるまで、まだまだ先は長いようですが、独立国家を建国しないといけないので、悠長なことは言ってられません。
ロクシーさまとククリさんが見繕って来た候補地を、ロングシップに乗り、みんなで視察に行くことになったのです。
ちょっとした世界旅行です。
一部の候補地は結界の向こう側にありました。
ククリさんの一推しポイントは、結界の向こう側でした。
最終判断はリシアさまが下すことになっていますが、リシアさまはククリさんとなぜか趣味が近いのでククリさんの一番推しポイントに心を動かされるのではないかと内心ヒヤヒヤしています。
ヒューマノイドの体で、悪霊退治とか勘弁してください。
地上は、一見穏やかで治安の良さそうな都市もたくさんありましたが、全てに赤色のホムンクルスが巣食っているのだそうです。
双眼鏡で人々の表情を観察していましたが、皆一様に狂気が隠れた目をしているように感じました。
ようやく、ククリさんの結界内での一推しポイントに到着しました。
リシアさまは好印象です。ここに決めちゃいましょう!
保留ですか……。
どうしてもククリさんの一推しポイントを見て見たいそうです。
その後、いくつかのポイントを経由して、結界を越えました。
急に空気が変わったような感覚がしました。
大地には、人影は見えず、時折、漆黒の影が蠢いていました。
ここはやめましょうよ……おねがいですから……。
ついにククリさんの一推しポイントに到着しました。
大陸の極西、北部にある、島国のようでした。
現在の結界からもそれほど遠くありません。
ティフォーニアは、ここも結界の要にすれば、比較的簡単に、結界をひろげられそうだと、隣のリエルを抱きしめながら言いました。
もう、いらないことを言わないでくださいよ!
ティフォーニアはリエルと黙ってちちくりあっててください。
でも、リシアさまの目を見れば、もう結果はわかりました。
かなり理想に近い自然環境だったようです。
青色のホムンクルスに調査させておいた地殻のデータを確認しながら、気になっていた候補を入念に検討していました。
「これ以上の環境はないわね。ここがいいわ」
ですよねー、わかってました……。
それを聞いたティフォーニアは、抱きしめていたリエルの頰にキスした後、ロングシップに搭載しておいた、大量の結界用の杭を島の周辺の海底深くの地層に転送させました。
最後に、リシアさまが決めたポイントの地底深くに、巨大な杭を転送したとたん、島の周辺が結界に包まれました。しかしまだ、元の結界とは繋がっていません。
「まだ結界は繋げない方がいいでしょ?」
ティフォーニアがリシアさまに言いました。
「そうね、主要施設の準備が終わったら繋げましょう」
「じゃ、青色のホムンクルスを召喚するね。みんなも悪霊退治よろしく」
ティフォーニアが、こんなにたくさん居たのかとおもうほど大量の青色のホムンクルスを召喚しました。
青色のホムンクルスに任せちゃいましょーよ。
ククリさんから、指示が出ました。
「ティフォーニアは、ルーテシアと一緒に詳細の打ち合わせか……。
ルルルはスリーマンセルで頑張って。ファルシオンはリエルと一緒。
ルシーニアはどうする?」
「ククリ一人で行かせられないから、私について来て」
「了解」
ロクシーさまとククリさんは、ロングシップから飛び降りて悪霊退治にってしまいました。
ファルシオンとリエルもいってしまいました。
「……」
どうやら、うちの三姉妹は、考えていることが同じだったようです。
「ルルルはどうしたの? 早く行きなよ。みんないっちゃったよ?」
ティフォーニアが急かします。
仕方なく、武器を手にとって、飛び降りました。
ルナとルカもついて来てくれたようです。
ついて来なかったら、私がそれ以上の地獄を見せていたことでしょう。
「本当にヒューマノイドの体で、どうにかなる相手なの?」
ルナは、心配のようです。
「無理そうなら逃げればいいよ」
最近ルカは気持ちの切り替えが早くなりました。
心境の変化でもあったのでしょうか?
「自分だけ、盾があれば安心だよねー」
「盾? なにそれ、ルナ詳しく」
「ルカ、ククリさんに黄色のホムンクルスをもらったのよ」
「初耳ですね、なんですそれは?」
「え? 聞いてなかったの? みんなに配るっていってたけど?」
ルカは驚いていました。
「ルナはもってるの?」
「うん。でもまだ使いこなせない……」
ルナはまだ未熟なようです。
「銀色のトランクみたいなやつよ? 黄色い砂みたいのが詰まったやつ」
ルカが詳しく説明してくれました。
そういえば、もらったような……。
「ルナ、あなた何も説明せずに渡したでしょ?」
「……そうだっけ?」
まったく、ルナはあいかわらずですね!
「もぅ、とりあえず、ルカに守ってもらうしかありませんね」
「無理。自分だけで手一杯」
ルカもまだ未熟なようです……。
「とりあえず、弱そうなのから様子を見ましょう!」
死ぬのはかなり痛いそうなので、体験したくないです。
しかも、1ヶ月以上任務が行えなくなるのはまずいです。
他のチームに任せつつ、ゆっくりやるしかありません。
幸いなことに、青色のホムンクルスの集団が近くにいたのでついていって、おこぼれを倒すことにしました。
これなら、青色のホムンクルスを盾に逃げられますしね。
少しずつ試しながら戦って見たら、想像していた悪霊とは比較にならないくらい弱く、拍子抜けしてしました。
これで、この量ノル=バイナリーを落としてくれるなんてどれだけサービスが良いのでしょうか?
ここは、ボーナス・ステージですか?
ルナとルカも悪霊の力量が把握できたようで、本領を発揮し始めました。
私と違って、しっかり修練時間を確保できている分、二人ともかなり成長していました。
とくにルカの戦い方は、目に見えて変化していました。
小さいころの変幻自在で天才肌、何を仕出かすかわからないルカが戻って来たような感じです。
本能と知略がバランス良くミックスしたような感じといえばよいのでしょうか?
本当に、ルカに何があったのでしょう。これはしっかり問い詰めないといけませんね。
私一人だけ、おいて行かれるのは、寂しいですから。
皆、上級者として一人立ちできたようです。
おかしな行動ばかりとっていたルカも、修練の一環だったようみたいですね。姉として安心できました。
イサナミの道を極めるまで、まだまだ先は長いようですが、独立国家を建国しないといけないので、悠長なことは言ってられません。
ロクシーさまとククリさんが見繕って来た候補地を、ロングシップに乗り、みんなで視察に行くことになったのです。
ちょっとした世界旅行です。
一部の候補地は結界の向こう側にありました。
ククリさんの一推しポイントは、結界の向こう側でした。
最終判断はリシアさまが下すことになっていますが、リシアさまはククリさんとなぜか趣味が近いのでククリさんの一番推しポイントに心を動かされるのではないかと内心ヒヤヒヤしています。
ヒューマノイドの体で、悪霊退治とか勘弁してください。
地上は、一見穏やかで治安の良さそうな都市もたくさんありましたが、全てに赤色のホムンクルスが巣食っているのだそうです。
双眼鏡で人々の表情を観察していましたが、皆一様に狂気が隠れた目をしているように感じました。
ようやく、ククリさんの結界内での一推しポイントに到着しました。
リシアさまは好印象です。ここに決めちゃいましょう!
保留ですか……。
どうしてもククリさんの一推しポイントを見て見たいそうです。
その後、いくつかのポイントを経由して、結界を越えました。
急に空気が変わったような感覚がしました。
大地には、人影は見えず、時折、漆黒の影が蠢いていました。
ここはやめましょうよ……おねがいですから……。
ついにククリさんの一推しポイントに到着しました。
大陸の極西、北部にある、島国のようでした。
現在の結界からもそれほど遠くありません。
ティフォーニアは、ここも結界の要にすれば、比較的簡単に、結界をひろげられそうだと、隣のリエルを抱きしめながら言いました。
もう、いらないことを言わないでくださいよ!
ティフォーニアはリエルと黙ってちちくりあっててください。
でも、リシアさまの目を見れば、もう結果はわかりました。
かなり理想に近い自然環境だったようです。
青色のホムンクルスに調査させておいた地殻のデータを確認しながら、気になっていた候補を入念に検討していました。
「これ以上の環境はないわね。ここがいいわ」
ですよねー、わかってました……。
それを聞いたティフォーニアは、抱きしめていたリエルの頰にキスした後、ロングシップに搭載しておいた、大量の結界用の杭を島の周辺の海底深くの地層に転送させました。
最後に、リシアさまが決めたポイントの地底深くに、巨大な杭を転送したとたん、島の周辺が結界に包まれました。しかしまだ、元の結界とは繋がっていません。
「まだ結界は繋げない方がいいでしょ?」
ティフォーニアがリシアさまに言いました。
「そうね、主要施設の準備が終わったら繋げましょう」
「じゃ、青色のホムンクルスを召喚するね。みんなも悪霊退治よろしく」
ティフォーニアが、こんなにたくさん居たのかとおもうほど大量の青色のホムンクルスを召喚しました。
青色のホムンクルスに任せちゃいましょーよ。
ククリさんから、指示が出ました。
「ティフォーニアは、ルーテシアと一緒に詳細の打ち合わせか……。
ルルルはスリーマンセルで頑張って。ファルシオンはリエルと一緒。
ルシーニアはどうする?」
「ククリ一人で行かせられないから、私について来て」
「了解」
ロクシーさまとククリさんは、ロングシップから飛び降りて悪霊退治にってしまいました。
ファルシオンとリエルもいってしまいました。
「……」
どうやら、うちの三姉妹は、考えていることが同じだったようです。
「ルルルはどうしたの? 早く行きなよ。みんないっちゃったよ?」
ティフォーニアが急かします。
仕方なく、武器を手にとって、飛び降りました。
ルナとルカもついて来てくれたようです。
ついて来なかったら、私がそれ以上の地獄を見せていたことでしょう。
「本当にヒューマノイドの体で、どうにかなる相手なの?」
ルナは、心配のようです。
「無理そうなら逃げればいいよ」
最近ルカは気持ちの切り替えが早くなりました。
心境の変化でもあったのでしょうか?
「自分だけ、盾があれば安心だよねー」
「盾? なにそれ、ルナ詳しく」
「ルカ、ククリさんに黄色のホムンクルスをもらったのよ」
「初耳ですね、なんですそれは?」
「え? 聞いてなかったの? みんなに配るっていってたけど?」
ルカは驚いていました。
「ルナはもってるの?」
「うん。でもまだ使いこなせない……」
ルナはまだ未熟なようです。
「銀色のトランクみたいなやつよ? 黄色い砂みたいのが詰まったやつ」
ルカが詳しく説明してくれました。
そういえば、もらったような……。
「ルナ、あなた何も説明せずに渡したでしょ?」
「……そうだっけ?」
まったく、ルナはあいかわらずですね!
「もぅ、とりあえず、ルカに守ってもらうしかありませんね」
「無理。自分だけで手一杯」
ルカもまだ未熟なようです……。
「とりあえず、弱そうなのから様子を見ましょう!」
死ぬのはかなり痛いそうなので、体験したくないです。
しかも、1ヶ月以上任務が行えなくなるのはまずいです。
他のチームに任せつつ、ゆっくりやるしかありません。
幸いなことに、青色のホムンクルスの集団が近くにいたのでついていって、おこぼれを倒すことにしました。
これなら、青色のホムンクルスを盾に逃げられますしね。
少しずつ試しながら戦って見たら、想像していた悪霊とは比較にならないくらい弱く、拍子抜けしてしました。
これで、この量ノル=バイナリーを落としてくれるなんてどれだけサービスが良いのでしょうか?
ここは、ボーナス・ステージですか?
ルナとルカも悪霊の力量が把握できたようで、本領を発揮し始めました。
私と違って、しっかり修練時間を確保できている分、二人ともかなり成長していました。
とくにルカの戦い方は、目に見えて変化していました。
小さいころの変幻自在で天才肌、何を仕出かすかわからないルカが戻って来たような感じです。
本能と知略がバランス良くミックスしたような感じといえばよいのでしょうか?
本当に、ルカに何があったのでしょう。これはしっかり問い詰めないといけませんね。
私一人だけ、おいて行かれるのは、寂しいですから。
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