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デザート・ストーム

ギブリ#1

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────ミヅキ(アシダカ種、ルーノ族、ニダヴェリール宮廷正室付き特務武官)
 

 体格が大きくて血なまぐさいロデリク族の元での指導任務がようやく終わりました。

 指導を任されたはずなのに、なぜか族長のウルさんに気に入られてしまい、ウルさんの訓練の相手ばかりさせられていました。

 ロデリク族は、最初は怖い印象でしたが、明るく温かい方達でしたので、すこしだけ安心できました。

 ルナディアさんとルカティアさんが一緒だったのはとても心強かったです。

 傭兵団の皆さんは、ロデリク族の皆さんといっしょにずっと大騒ぎして楽しんでいました。

 宮廷に戻り、ルフィリアさんに報告したあと、ユキリンの部屋によりました。
 なぜかユキリンは私を見た瞬間、一瞬身構えました。
 私だと気づいて、すぐに抱きついて来ましたが、ユキリンの話では、すごい殺気で、殺されるかと思ったそうです。
 ちょっとショックでした。
 私は、ロデリク族に染まってしまったのでしょうか?
 でも、その夜はユキリンとゆっくり過ごすことができほっとしました。
 
 アシダカ種の指導任務もすでに引き継ぎ済みなので、しばらくはククリさんのお側付きとして落ち着けそうです。
 ようやくククリさんと会えるのが嬉しくてたまりません。

 ククリさんの部屋に向かう前に鏡で、殺気が出ていないか確認しましたが自分にはわかりません。


 あ、ルフィリアさんがいます、確認していただきましょう。

 ……。ルフィリアさん、なぜ身構えるの?、昨夜は身構えなかったのに。

「なんだ、ミヅキですか。殺意を感じたので身構えただけです、気にしないでください」

 気にします。絶対わざとですよね?

「昨夜ユキリンにも同じこと言われました。そんなに殺気がでてます? 自覚がないのですが……」

「冗談ですよ。ミヅキはいつも通りチャーミングです」

 気のせいか、ルフィリアさんは、なにか面白いおもちゃを手に入れたかのような目をしているように感じます。

 ルフィリアさんは、せっかく帰って来たのだからハルカとミユキにもあったほうがいいと言い、指導任務にでるまえの二人の部屋を訪問しました。
 
 ……。二人とも、身構えました。
 完全に、ルフィリアさんにおもちゃにされているようです。
 
 ルフィリアさんは満足したのか、ようやくククリさんの部屋に向かえることになりました。

 なぜかルフィリアさんが、付いて来ます。

「ククリさん、ミヅキです、しつれいします」

「いらっしゃい。会いたかったよー。おいでー」
 ククリさんは、普通だ。
 よかった。

 ……。先にいらしていたハル=バードさんが、身構えました。
 ルフィリアさんが楽しそうに部屋を覗き込んでいるのがわかりました。

 ククリさんが、抱きしめてくれました。
 すごい久しぶりだから、とても嬉しい。

「ククリさん、私、殺気でてますか?
 ルフィリアさんにからかわれてしまいました。
 自分ではまるでわからないのです」

「戦場から戻ると皆んなそんな感じになるね。
 数日で戻るから安心していいよ。
 ウルさんから話は聞いてる。気に入られたんだって?」

「ずっとお相手をさせられていました」

「ぜひロデリクにくれとまでいわれたよ。さすがに断ったけどね」

「よかった。ずっとあそこにいるとどうにかなってしまいそうです」

「いい経験して来たみたいだね。おつかれさま」

「ククリさんも、お帰りなさい」

「ただいま」
 ククリさんは、もう一度抱きしめてくれました。

「そうだ、顔なじみだと思うけど、紹介するね、ハル=バード、仲良くしてあげてね」

「そうだったのですか、宜しくお願いします」

「こちらこそ、お願いします」

 ハルさんとはすでに仲良しです。プライベートでも頻繁に連絡をとりあっている仲です。

「さっそくだけど、ミヅキの特殊発声を観測させてもらえるかな?」

 ……

「ありがと。
 次は、発声できなくてもいいから、生命の基本法術の基本発声をしてくれる?」

 ……

「ありがと。
 後はゆっくりしていていいよ。ハルの相手してあげてね」

「わかりました」

 自分のお茶を用意すると、ハルさんのいるテーブルに付きました。
 しばらくの間、ハルさんとおしゃべりをしていたら、ククリさんが、ハルさんを呼びだしました。

 ハルさんは、先ほどの装置で特殊発声と生命の基本法術の基本発声を繰りかえし発声していました。

 そのあと、私が呼び出されて、端末を渡され、もう一台の装置を見ながら、同じ形状を描くように生命の基本法術の基本発声を行うよう指示され、適度に休憩をいれて、根気よく挑戦するように言われました。当面は、これをひたすらやることになりそうです。
 
 その間、ハルさんは、何度も呼び出されて、もう一台の装置で発声を繰り返していました。
 ハルさんの話では、リザードマンの発声がかなり特殊とのことで、詳細調査に時間が必要とのことでした。
 ククリさんは、私の時以上にハルさんのことで苦戦しているようでした。
 ハルさんのことでゼディーさんと何度も連絡を取り合っていました。


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