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ラグ=ナ=ローク
DAS RHEiNGOLD#6
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────ハルカ(アラクネ種、ルーノ族)
何?
ここは、楽園?
すごいとは聞いていたけど、ここまでとは思わなかった。
私たちはゼディーさんの宮殿に遊びに来ていた。
四季が再現された庭園は、とても華やかで美しかった。
ヒューマノイドのみんなは、なぜか昔の姿で合流した。
話を聞いてみたら、相転移には有効距離があるらしく、遠方にでるには元に戻る必要があるのだとか。そのため、手続きとか準備とかで時間がかかったらしい。
みんな、元の性別が気恥ずかしいらしく、落ち着かない様子だった。
それでも、ゼディーさんの庭園を見たときは、皆一様に心を奪われていた。
食事は皆で一緒にすることになったが、部屋は別々に選ぶことになった。
ユミカちゃんとキョウヤさん、アユミちゃんとアキラくんはちょっとしたハネームーン気分を満喫しているようだ。
サエちゃんとミコトくんも、とても仲良しでいつも一緒だ。
ミヅキとユキリンもいつの間にかラブラブだった。
私はルフィリアさんとミユキと3人で同じ部屋に泊まることになった。
心ゆくまで語りあかすのだ。
こんな休養を与えてくれたククリさんには感謝しかない。
……
「ルフィリアさん、特殊発声って結局何なのですか?
法術式についていろいろ説明していただいたけどまるでわかりません!」
私は思い切って聞いてみた。
「そうね……普通は特殊言語を習得する前に、各種法術理論を学びながら法術式の組み立て方や展開の仕方を身につけるのだけれど、あなた達の場合は、未知の新種族ってこともあって、急造した指導方法に間違えがないか早期に気づくために同時進行で進めなくちゃならないの。
だから、両方の関係性がわかるようになるのはもう少し先だとおもう」
特殊言語で法術式を組み立てるって感じなのかな? うん、わからん。
「でも、特殊発声をマスターして、特殊言語を詠えるようになると、とても美しい言葉だから詠うのが楽しくなるわよ」
「特殊言語で法術式を組み立てるとそんなに違うのですか?」
「うん、まるで別物ね。それに複数の法術式を並行して組めるようになるからできることの幅が広がるのよ。とても難しいし、特殊発声を多用すると体力の消耗が激しくなるから、たくさん詠って体力づくりしないとすぐに息が切れちゃうけどね」
「それを身につければルフィリアさんみたいに魔法がつかえるようになるの?」
「魔法じゃないけどね。まあ、そうね、回復や幻術、気配を消したり、気配を察知したり、呪詛をかけたり、いろいろなことができるようになるわ。高次元生命体の特権みたいなものかな」
「気配を消す?」
ミユキの目の色が変わった。
「うん。人や物の気配を消して存在を気づかなくさせるの。外界任務をする場合は最高レベルまでマスターする必要がある、重要な法術式ね」
「それ、興味あります。優先しておしえて欲しいです」
みゆきが食いついた。
「外界任務?」
「いえ、気配を消す法術式。アラクネ種の能力にぴったりでしょ?」
「まぁ、そうね。確かにアラクネ種の能力を活かすには、必須技能よね。
じゃ、休暇があけたら集中して隠遁系の法術式を教えてあげるわね」
「よっしゃー、やる気出て来たー!」
「ミユキはどうしてやるき満々になったの?」
「ユキリンを罠にかけたくて二人で試行錯誤してるけど、すぐに気づかれちゃうんですよ。隠遁系の法術式を覚えれば、楽につかまえられるかなって思って」
「あらー、それはフェアじゃないから、ユキリンには、探索系の法術式を教えなくちゃですね」
「えー」
「頑張り次第よ。探索系の法術式でもわからないレベルの隠遁を使えれば、確実に捉えられるようになると思うわよ?」
「なるほど、フェアに戦って、ユキリンにギャフンと言わせたほうが気分いいですね。ずっと負け続きで、調子に乗ってるので心を折ってやりたいです」
「騙し討ちは、ククリさんの得意分野だから、相談してみるといいかもね?」
「……ククリさんをディスってます?」
「え? ああ、大丈夫よ。ククリさんに取っては褒め言葉らしいから」
「そういうもんなのですね……。じゃ、帰ったらハルカといっしょに相談しにいってみようかな」
「うん、きっと喜ぶと思うわ」
何?
ここは、楽園?
すごいとは聞いていたけど、ここまでとは思わなかった。
私たちはゼディーさんの宮殿に遊びに来ていた。
四季が再現された庭園は、とても華やかで美しかった。
ヒューマノイドのみんなは、なぜか昔の姿で合流した。
話を聞いてみたら、相転移には有効距離があるらしく、遠方にでるには元に戻る必要があるのだとか。そのため、手続きとか準備とかで時間がかかったらしい。
みんな、元の性別が気恥ずかしいらしく、落ち着かない様子だった。
それでも、ゼディーさんの庭園を見たときは、皆一様に心を奪われていた。
食事は皆で一緒にすることになったが、部屋は別々に選ぶことになった。
ユミカちゃんとキョウヤさん、アユミちゃんとアキラくんはちょっとしたハネームーン気分を満喫しているようだ。
サエちゃんとミコトくんも、とても仲良しでいつも一緒だ。
ミヅキとユキリンもいつの間にかラブラブだった。
私はルフィリアさんとミユキと3人で同じ部屋に泊まることになった。
心ゆくまで語りあかすのだ。
こんな休養を与えてくれたククリさんには感謝しかない。
……
「ルフィリアさん、特殊発声って結局何なのですか?
法術式についていろいろ説明していただいたけどまるでわかりません!」
私は思い切って聞いてみた。
「そうね……普通は特殊言語を習得する前に、各種法術理論を学びながら法術式の組み立て方や展開の仕方を身につけるのだけれど、あなた達の場合は、未知の新種族ってこともあって、急造した指導方法に間違えがないか早期に気づくために同時進行で進めなくちゃならないの。
だから、両方の関係性がわかるようになるのはもう少し先だとおもう」
特殊言語で法術式を組み立てるって感じなのかな? うん、わからん。
「でも、特殊発声をマスターして、特殊言語を詠えるようになると、とても美しい言葉だから詠うのが楽しくなるわよ」
「特殊言語で法術式を組み立てるとそんなに違うのですか?」
「うん、まるで別物ね。それに複数の法術式を並行して組めるようになるからできることの幅が広がるのよ。とても難しいし、特殊発声を多用すると体力の消耗が激しくなるから、たくさん詠って体力づくりしないとすぐに息が切れちゃうけどね」
「それを身につければルフィリアさんみたいに魔法がつかえるようになるの?」
「魔法じゃないけどね。まあ、そうね、回復や幻術、気配を消したり、気配を察知したり、呪詛をかけたり、いろいろなことができるようになるわ。高次元生命体の特権みたいなものかな」
「気配を消す?」
ミユキの目の色が変わった。
「うん。人や物の気配を消して存在を気づかなくさせるの。外界任務をする場合は最高レベルまでマスターする必要がある、重要な法術式ね」
「それ、興味あります。優先しておしえて欲しいです」
みゆきが食いついた。
「外界任務?」
「いえ、気配を消す法術式。アラクネ種の能力にぴったりでしょ?」
「まぁ、そうね。確かにアラクネ種の能力を活かすには、必須技能よね。
じゃ、休暇があけたら集中して隠遁系の法術式を教えてあげるわね」
「よっしゃー、やる気出て来たー!」
「ミユキはどうしてやるき満々になったの?」
「ユキリンを罠にかけたくて二人で試行錯誤してるけど、すぐに気づかれちゃうんですよ。隠遁系の法術式を覚えれば、楽につかまえられるかなって思って」
「あらー、それはフェアじゃないから、ユキリンには、探索系の法術式を教えなくちゃですね」
「えー」
「頑張り次第よ。探索系の法術式でもわからないレベルの隠遁を使えれば、確実に捉えられるようになると思うわよ?」
「なるほど、フェアに戦って、ユキリンにギャフンと言わせたほうが気分いいですね。ずっと負け続きで、調子に乗ってるので心を折ってやりたいです」
「騙し討ちは、ククリさんの得意分野だから、相談してみるといいかもね?」
「……ククリさんをディスってます?」
「え? ああ、大丈夫よ。ククリさんに取っては褒め言葉らしいから」
「そういうもんなのですね……。じゃ、帰ったらハルカといっしょに相談しにいってみようかな」
「うん、きっと喜ぶと思うわ」
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※架空のお話です。
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※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
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