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混沌の秩序
スターリー スカイ#11
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────ルナディア(人狼ルーノ種、浄化の湖の守人)
私、気を失っていたのか……。
「!」
そうだ、皆んな、大丈夫かな?
横になっていた私は、急いで身を起こした。
「眠り姫様のお目覚めですね?」
「ククリさん! ここ、どこ? みんなは無事?」
「うん、大丈夫、一人も欠けることなく、この新都『アストレア』に到着したよ」
「え? 合流ポイントじゃないの?」
「うん、ここは、目的地の仮設医務室」
「そんなに、眠っちゃったのか……肝心なところで気を失って、結局みんなの足を引っ張っちゃった」
「何言ってるのさ。ルナディアが一番の功労者だよ。みんなもそう言ってる。もーね、到着してから、医務室の前で、君のこと心配して、みんな大騒ぎしてうるさいから人払いするのが大変だったんだよ」
「……みんなどうしてるの?」
「広場で祝宴あげてる。そういえば、君が集めた傭兵くん達のリーダー格って、ダーリンくんていうの?」
「え? 違うわよ、ダーインよ。でも、なんで?」
「なんでも撃墜王とかで、みんなに胴上げされててさ。すごい英雄扱いで、傭兵くん達だけでなく、島の皆んなや貴族までまざって『ダーリン! ダーリン!』って叫んでたよ?」
「……それ、ちょっとしたアダ名なのよ。私が皆んなの前で彼の名前間違えちゃったら、皆んなが面白がって呼び始めたの」
「そーゆーことね。面白い子達だね。あ、あとね。その様子を見ていたルフィリアが、目を見開いて、すごーく嬉しそうにしててさ、私が話しかけても、まるで気がつかないのよ。近くにいたシャーマンの娘に聞いて見たら、いつものことだから放っておいてあげてくださいっていわれたのだけれど、どういうことかわかる?」
「あー、姉さん腐ってるから。そういうの大好物なのよ」
「ごめん、言ってる意味がまるでわからない」
「じゃぁ、あとで、姉さんに聞いて見たら? でも、それ聞くときは、覚悟したほういいわよ?」
「どうして?」
「たぶん一晩中、そのことについて話を聞かされる」
「わかった。触れないことにする」
「それが懸命だとおもう」
「……」
ククリさんが、何かを言いたそうな表情で私を見つめていた。
「どうしたの?」
「……ううん、なんでもない。そういえば、空はみた?」
「真っ青なやつ? 綺麗だったね。赤いの、夕焼け? だっけも、少し見たよ」
「それも綺麗だけど、夜の空がすごいんだよ。もう立てそうだね、一緒に満点の星空を堪能しよう」
「星空? あー、夜は必死でなにも見えてなかったかも……」
私はククリさんに手を引かれて、医務室を出た。
闇の帳には、数え切れないほどの輝く宝石が散りばめられていた。
涙が、私の頰をつたっていた。
「よく頑張ったね……」
ククリさんが涙を浮かべながら、声にならない声で、そう囁いた。
私は堰を切ったようにククリさんの胸元で、しばらくの間、嗚咽した。
彼女は、優しく抱きしめてくれた。
彼女の温もりは、とても暖かかった。
私、気を失っていたのか……。
「!」
そうだ、皆んな、大丈夫かな?
横になっていた私は、急いで身を起こした。
「眠り姫様のお目覚めですね?」
「ククリさん! ここ、どこ? みんなは無事?」
「うん、大丈夫、一人も欠けることなく、この新都『アストレア』に到着したよ」
「え? 合流ポイントじゃないの?」
「うん、ここは、目的地の仮設医務室」
「そんなに、眠っちゃったのか……肝心なところで気を失って、結局みんなの足を引っ張っちゃった」
「何言ってるのさ。ルナディアが一番の功労者だよ。みんなもそう言ってる。もーね、到着してから、医務室の前で、君のこと心配して、みんな大騒ぎしてうるさいから人払いするのが大変だったんだよ」
「……みんなどうしてるの?」
「広場で祝宴あげてる。そういえば、君が集めた傭兵くん達のリーダー格って、ダーリンくんていうの?」
「え? 違うわよ、ダーインよ。でも、なんで?」
「なんでも撃墜王とかで、みんなに胴上げされててさ。すごい英雄扱いで、傭兵くん達だけでなく、島の皆んなや貴族までまざって『ダーリン! ダーリン!』って叫んでたよ?」
「……それ、ちょっとしたアダ名なのよ。私が皆んなの前で彼の名前間違えちゃったら、皆んなが面白がって呼び始めたの」
「そーゆーことね。面白い子達だね。あ、あとね。その様子を見ていたルフィリアが、目を見開いて、すごーく嬉しそうにしててさ、私が話しかけても、まるで気がつかないのよ。近くにいたシャーマンの娘に聞いて見たら、いつものことだから放っておいてあげてくださいっていわれたのだけれど、どういうことかわかる?」
「あー、姉さん腐ってるから。そういうの大好物なのよ」
「ごめん、言ってる意味がまるでわからない」
「じゃぁ、あとで、姉さんに聞いて見たら? でも、それ聞くときは、覚悟したほういいわよ?」
「どうして?」
「たぶん一晩中、そのことについて話を聞かされる」
「わかった。触れないことにする」
「それが懸命だとおもう」
「……」
ククリさんが、何かを言いたそうな表情で私を見つめていた。
「どうしたの?」
「……ううん、なんでもない。そういえば、空はみた?」
「真っ青なやつ? 綺麗だったね。赤いの、夕焼け? だっけも、少し見たよ」
「それも綺麗だけど、夜の空がすごいんだよ。もう立てそうだね、一緒に満点の星空を堪能しよう」
「星空? あー、夜は必死でなにも見えてなかったかも……」
私はククリさんに手を引かれて、医務室を出た。
闇の帳には、数え切れないほどの輝く宝石が散りばめられていた。
涙が、私の頰をつたっていた。
「よく頑張ったね……」
ククリさんが涙を浮かべながら、声にならない声で、そう囁いた。
私は堰を切ったようにククリさんの胸元で、しばらくの間、嗚咽した。
彼女は、優しく抱きしめてくれた。
彼女の温もりは、とても暖かかった。
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