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混沌の秩序

プロビデンス#4

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────ルカティア(人狼ルガルルーノ種、呪詛の湖フヴェルゲルミル守人もりと


 ククリさんは、想像を遥かに超えた意地悪な方です。
 今日ほどククリさんを敵に回したくないと思った日はありません。

「ルカティア」

「はい!? ククリさん!?」

「チーム全員が相互通話可能なのに、思ったことを口に出すのはやめようね……」

「……はい」

 しまった、思わず口に出してしまっていた。
 しかも、みんながクスクスわらってる。
 ルナねえには知られたくない。

「守衛アルファ1」

「はいこちら、守衛アルファ1」

「次の投石の的にするから、ブチ切れて、向こうの守衛の血の気が多いやつ煽ってみて。喧嘩に乗りそうだったら、武器をアルファ2に渡して、近づいてね。でも、ターゲットは、隣で落ち着かせようとしてる冷静なやつ。仲裁に入りそうだったら、そいつを一番最初に殴り倒しちゃってくれる?」

「守衛アルファ1、アルファ2、了解」

「守衛アルファ3、アルファ4は、ターゲットを殴り倒した後でアルファ1を回収。相手は、迂闊うかつにこちらに手出しできないけど、もし手を出されたらゲートの向こうの一個中隊が突入するきっかけになるから、その時は、大げさにリアクションしてね」

「守衛アルファ3、アルファ4、了解」

「陽動ベータ1、相手の守衛に向かって投石、場所を変えて3回よろしく。うん、いいかんじ。陽動ベータ2、守衛アルファ1に投石。……いい感じだ。守衛アルファ1、あとはよろしく」

 うわ、守衛アルファ1さん、本当にターゲットさんを殴り倒しちゃった。
 でも、ククリさんの言うとり、相手は手を出してこない。
 ターゲットさんを殴り倒したら、血の気の多い方も我慢してる。

「ルカティア」

「はい!」

「転移ゲート前の広場から、路地裏にむかって、隠滅いんめつに3秒くらいの遅延をかけて、隠遁いんとんの痕跡残しながら、ポイントC3まで、巡回中の衛兵を誘導してくれる?」

「はい! 誘導します」

「陽動デルタ1からデルタ5。ポイントC3に誘い込んだら、植木鉢なげつけてね」

「陽動デルタ1からデルタ5、了解」

「ルカティアは、ポイントC3で、隠遁いんとんの痕跡残しながら、陽動デルタチームの建物に入って、トラップしかけて待機。捕まえたら、眠らせて、装備ひん剥いて、念入りに金縛りの法術式かけてから、物置に積んどいて。装備は後でつかうから、ポイントD7まで持ってきてね。装備は、5名分欲しい。誘導を繰り返して入手してくれる?。陽動デルタチームは、装備が手に入ったらルカティアと一緒に装備をもってD7で待機」

「陽動デルタチーム、了解」

「ルカティア、了解」
 私もかっこいいコードネーム欲しかったなー。
 
「ルカティア」

「はい!」

「聞こえてる……」

「あ、すみませんっ!」
 またやってしまった。
 また皆んなクスクスしてる。

「んー、そうだな、じゃ、ルカティアのコードネームは、雪だるま1にしよう。雪だるま1。思ったことを口に出さないように」

「……」

「雪だるま1、雪だるま1、応答せよ。雪だるま1」

「……雪だるま1、了解」
 やっぱりククリさんは、意地悪です。
 

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