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混沌の秩序
プロビデンス#2
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────ルナディア(人狼ルーノ種、浄化の湖の守人)
嫌な任務だな……。
外界任務にはすっかり慣れたけど、人狼と一戦交えなきゃならないような任務は初めてだ。
こういう憂鬱な任務は、最初で最期になって欲しいところだ。
初めて見たギアの大地には、失望しか感じなかった。
見渡すかぎりの全て物が、負の感情で汚染されていた。
ククリさんの話では、ギアの大地に蔓延する負の感情は、フリギアン=ギア自身のものではないそうだ。彼女が、体内で処理しきれなくなった、大地の生命達の悲しみや憎しみといった感情の集合体であり、それが、彼女の死とともに、災厄として大地からあふれ出したということらしい。
さながら〝大地の涙〟といったところかしら?
……ちょっと、ポエミーで、我ながら赤面した。
心の中にとどめておこう、特にルカティアには知られたくない。
でもさ、浄化って万能薬じゃなくて劇薬なのよね……。
災厄の対策にティフォーニアは浄化を選んだけど、このレベルまで汚染されちゃってると、助けたい対象のことを思うなら、呪詛による解毒のほうが時間はかかるけど向いてると思う。
大地の生命にダメージを与えないような中途半端な浄化だと、取りきれなかった汚染が増殖して、すぐに元に戻っちゃうから。
リエルくんの件で、ルカティアを代理に送ったのもそれが理由。
ククリさんは、それもわかってて私を指名したんだけど、それって、呪詛で汚染された体表付近の体組織を丸ごと溶かしても、ウルズ=マノスの呪詛耐性と再生力なら問題ないし、ルカティアの解毒よりも手っ取り早く終わらせられるってことでしょ?
私、目の前で、そんなグロいの見せられるの絶対無理。
ククリさんは、それを平然とできるからすごいよね。
ククリさんが帰って来たときに「これからは、そういうのにも少しずつ慣れていかないとね」ってやさしく叱ってくれたけど、グロいのはどうしても無理なのよね……。
私、どうして浄化を選んじゃったんだろ、最初の頃は綺麗とか清潔とかのイメージしかなかったけど、実は一番、醜いものと対峙しなきゃいけないのが浄化だったのよね……。
……
「おせーよ、ルーノの姉さん!
時間厳守っていっただろ!
ったく、噂以上にマイペースだな、ルーノ族ってのは」
あ、あれは、金の亡者くんだ。
そんなに遅刻したかなー?
ほんの30分くらいじゃん。
アルビーノって変なとこに細いわよね……。
隣にいるのは、彼女さんだろうか? あの雰囲気は、まず間違いないわね。
仕事に彼女連れとはなかなかやるじゃん、金の亡者くん。
そういえば名前なんだったっけ? ……ダー…ン?
「ダーリン、おまたせ!
30分くらい誤差のうちでしょ?
すごーい、たくさんいるー。人手は確保できたみたいね、やるじゃんダーリン」
あれ? なんか、空気が固まった?
「どうしたの?
ダーリン?
ねえねえ、ダーリンてばー」
「ちょっと、どういうことよ?
何なの、この女?
説明しなさいよ!」
なぜか彼女さんらしき女性が、金の亡者くんに向かって急にヒステリックになった。
「ミリアム落ち着けよ、俺もわけわかんねーんだ。ほんとだって」
一瞬、固まっていた金の亡者くんは動けるようになったようだ。
「あのー、そのー、ルーノの姉さん?
気持ちは嬉しいし、姉さんは、とてつもなく美人だし……。
でも、俺、一応、彼女もちなんで、その辺は申し訳ねーっつーか……」
え? なんで、私が振られた感じになってんの???
それに何? この修羅場感?
「あんた、どういうつもり? ただの依頼主でしょ?
ダーイン困ってるじゃん、馴れ馴れしすぎるんじゃない?」
「ダーイン? あ!」
やばい!私のしでかしたことがようやく理解できた。
しかもこんなたくさんの人前で……。
恥ずかしさで自分の顔が真っ赤になるのがわかった……。
ミリアムという女性は、気がついてくれたようだ。
「……もしかして、名前まちがえてた?」
「……」
私は恥ずかしすぎて無言で頷くことしかできなかった。
「あはは! おもしろいじゃない、あんた。
なに? ルーノ族て皆んなこんな感じなの? 気に入ったわ」
「「「……あははは!」」」
突然の修羅場の行く末を見守っていた、周囲のルガル達まで、一斉に笑い始めた。
私の黒歴史に、新たなページが追加されてしまったようだ。
……
私の黒歴史は効果絶大だったようで、ダーインくんが集めてくれたアルビーノのゴロツキくんたちは、こぞって彼のことをダーリン呼ばわりしていた。まさにモテ期到来である。事情をしらない人が見たら、誤解を産みそうな勢いだ。ルフィリア姉さんの大好物的なアレだ。もし姉さんがここにいたら大歓喜まちがいなしだろな。
でも、堅物が多いと聞いていたアルビーノにしては、ダーインくんの集めた仲間達は、ノリが良いようなので一安心だ。ミリアムちゃんも、とてもいい娘で、私の気が回らないところについてフォローしてくれて、ゴロツキくん達を上手く仕切ってくれる。この娘、いい奥さんになるわね、きっと。でも、男運には恵まれてなさげ。いい人いたら紹介してあげたいけど、そんな人いたら、私が先に欲しいくらいだ。まったく、リア充を浄化してしまいたい。
陽気な彼らのおかげで、この憂鬱な任務にも、すこしやる気が出て来た気がする。
「こほん! えー、前金を分配します。ミリアムちゃんに渡しておくので、順番にもらってください。成功報酬は、この5倍以上を約束します!」
「「「おおお、まじかよ!」」」
「すげーな! 前金でそれだけって、ぼろ儲けじぇねえか!」
「こほん! えー、これから始まるのはルガルを守るための戦いです。命の保証はできません。無理だと判断した時は、いつでも離脱してください。判断はおまかせします。でも、前金だけもらって即離脱は、勘弁してくださいね。ルガルのために命を賭して戦ってくれる方の取り分がへるのは、たとえ世界龍が許しても、私が許しません。では、よろしくね、ミリアムちゃん」
「ほら! 配るよ! ならびな!」
この大地では「ノル=バイナリー」とよばれるレアアースが産出される。とても希少な物質で、オリハルコンやミスリル、アダマンタイトなどの品質を向上させるためには欠かせない触媒だ。同じ重量のプラチナの10倍以上の価値があるため、多くの賞金稼ぎ達はそれを回収して糧を得ている者が多い。ただし、単純に大地を掘っても入手はできない。この大地の黄泉に行けない亡者たちを浄化すると、入手できるのだ。なので彼らは一様に、祓魔法術に長けているのだ。なお、私が各種手配に使っている報酬も、ノル=バイナリーである。荒廃したギアの場合、通貨の価値よりも、ノル=バイナリーの価値の方が安定しており、信用されやすいためだ。
……
できれば海路で、目的地の近くまで行きたかった。
しかし、ここの大陸はもともとはフリギアン=ギアの居住区域であるため、心配性の王侯達が、港以外に海路から侵入できないよう様々な対策を施してしまったのだ。
ヨトゥンヘイム側は、都市の中心近くにある大きな港を海運の拠点としている。
都市の中心地からだいぶ離れたゴロツキの溜まり場の街の先に位置するこの小さな港は、幸いなことにノーマークだった。
とはいっても、大規模の密航となればヨトゥンヘイム側に知られるのは時間の問題だ。
そのため、ニダヴェリールは、いくつかの陽動作戦を進めてきた。
1つ目は、ニダヴェリール専用の転移ゲートをギアの中心地に設置したことだ。当初はギア復興の協力を目的として設置されたものだが、管理、運用も含め、ヨトゥンヘイムの関与を全て拒否し、ルーノ族によって厳重に守られている。アルビオン諸島が沈められた直後から、衛兵を3倍に増強している。
2つ目は、ルーノ族によるギア制圧作戦に関する情報の流布である。ニダヴェリールとヘルヘイムに対する影響力をほとんど失ってしまったヨトゥンヘイムにとって、生命の営みの要所であるギアの広大な大地は、最終防衛ラインといってもよい。ニダヴェリールが狙っていても不思議ではない大地であり、その情報だけでも、ヨトゥンヘイムに、ギアの中心地の主要拠点に意識を向けさせられる十分な理由になる。実際に、アルビオン諸島が沈められた直後から、ニダヴェリールの転移ゲート近くに、大量の兵士を集結させている。仮に、ヨトゥンヘイム側が、中心地の主要区画の防衛を手薄にするようであれば、突入させる用意もある。
3つ目は、別働隊による、ヨトゥンヘイム専用の転移ゲート周辺での威嚇行為である。アルビオン諸島が沈められた数日後から、作戦を開始している。諸島沈没時の避難の実態について、大陸にも情報が流出し、ヨトゥンヘイムは、大陸にいる多くのアルビオン・ルーノ族から高い反感をかってしまった。大陸に反ヨトゥンヘイムの気運が高まりつつあるため、ヨトゥンヘイム側はかなりナーバスになっているようだ。
そして、4つ目は……。
灰色だった空が、青く染まってきた。
周囲のルガル達は、初めて見る空の変貌に驚きの色を隠せないようだ。
空が全て青く染まったときが、出発の合図である。
嫌な任務だな……。
外界任務にはすっかり慣れたけど、人狼と一戦交えなきゃならないような任務は初めてだ。
こういう憂鬱な任務は、最初で最期になって欲しいところだ。
初めて見たギアの大地には、失望しか感じなかった。
見渡すかぎりの全て物が、負の感情で汚染されていた。
ククリさんの話では、ギアの大地に蔓延する負の感情は、フリギアン=ギア自身のものではないそうだ。彼女が、体内で処理しきれなくなった、大地の生命達の悲しみや憎しみといった感情の集合体であり、それが、彼女の死とともに、災厄として大地からあふれ出したということらしい。
さながら〝大地の涙〟といったところかしら?
……ちょっと、ポエミーで、我ながら赤面した。
心の中にとどめておこう、特にルカティアには知られたくない。
でもさ、浄化って万能薬じゃなくて劇薬なのよね……。
災厄の対策にティフォーニアは浄化を選んだけど、このレベルまで汚染されちゃってると、助けたい対象のことを思うなら、呪詛による解毒のほうが時間はかかるけど向いてると思う。
大地の生命にダメージを与えないような中途半端な浄化だと、取りきれなかった汚染が増殖して、すぐに元に戻っちゃうから。
リエルくんの件で、ルカティアを代理に送ったのもそれが理由。
ククリさんは、それもわかってて私を指名したんだけど、それって、呪詛で汚染された体表付近の体組織を丸ごと溶かしても、ウルズ=マノスの呪詛耐性と再生力なら問題ないし、ルカティアの解毒よりも手っ取り早く終わらせられるってことでしょ?
私、目の前で、そんなグロいの見せられるの絶対無理。
ククリさんは、それを平然とできるからすごいよね。
ククリさんが帰って来たときに「これからは、そういうのにも少しずつ慣れていかないとね」ってやさしく叱ってくれたけど、グロいのはどうしても無理なのよね……。
私、どうして浄化を選んじゃったんだろ、最初の頃は綺麗とか清潔とかのイメージしかなかったけど、実は一番、醜いものと対峙しなきゃいけないのが浄化だったのよね……。
……
「おせーよ、ルーノの姉さん!
時間厳守っていっただろ!
ったく、噂以上にマイペースだな、ルーノ族ってのは」
あ、あれは、金の亡者くんだ。
そんなに遅刻したかなー?
ほんの30分くらいじゃん。
アルビーノって変なとこに細いわよね……。
隣にいるのは、彼女さんだろうか? あの雰囲気は、まず間違いないわね。
仕事に彼女連れとはなかなかやるじゃん、金の亡者くん。
そういえば名前なんだったっけ? ……ダー…ン?
「ダーリン、おまたせ!
30分くらい誤差のうちでしょ?
すごーい、たくさんいるー。人手は確保できたみたいね、やるじゃんダーリン」
あれ? なんか、空気が固まった?
「どうしたの?
ダーリン?
ねえねえ、ダーリンてばー」
「ちょっと、どういうことよ?
何なの、この女?
説明しなさいよ!」
なぜか彼女さんらしき女性が、金の亡者くんに向かって急にヒステリックになった。
「ミリアム落ち着けよ、俺もわけわかんねーんだ。ほんとだって」
一瞬、固まっていた金の亡者くんは動けるようになったようだ。
「あのー、そのー、ルーノの姉さん?
気持ちは嬉しいし、姉さんは、とてつもなく美人だし……。
でも、俺、一応、彼女もちなんで、その辺は申し訳ねーっつーか……」
え? なんで、私が振られた感じになってんの???
それに何? この修羅場感?
「あんた、どういうつもり? ただの依頼主でしょ?
ダーイン困ってるじゃん、馴れ馴れしすぎるんじゃない?」
「ダーイン? あ!」
やばい!私のしでかしたことがようやく理解できた。
しかもこんなたくさんの人前で……。
恥ずかしさで自分の顔が真っ赤になるのがわかった……。
ミリアムという女性は、気がついてくれたようだ。
「……もしかして、名前まちがえてた?」
「……」
私は恥ずかしすぎて無言で頷くことしかできなかった。
「あはは! おもしろいじゃない、あんた。
なに? ルーノ族て皆んなこんな感じなの? 気に入ったわ」
「「「……あははは!」」」
突然の修羅場の行く末を見守っていた、周囲のルガル達まで、一斉に笑い始めた。
私の黒歴史に、新たなページが追加されてしまったようだ。
……
私の黒歴史は効果絶大だったようで、ダーインくんが集めてくれたアルビーノのゴロツキくんたちは、こぞって彼のことをダーリン呼ばわりしていた。まさにモテ期到来である。事情をしらない人が見たら、誤解を産みそうな勢いだ。ルフィリア姉さんの大好物的なアレだ。もし姉さんがここにいたら大歓喜まちがいなしだろな。
でも、堅物が多いと聞いていたアルビーノにしては、ダーインくんの集めた仲間達は、ノリが良いようなので一安心だ。ミリアムちゃんも、とてもいい娘で、私の気が回らないところについてフォローしてくれて、ゴロツキくん達を上手く仕切ってくれる。この娘、いい奥さんになるわね、きっと。でも、男運には恵まれてなさげ。いい人いたら紹介してあげたいけど、そんな人いたら、私が先に欲しいくらいだ。まったく、リア充を浄化してしまいたい。
陽気な彼らのおかげで、この憂鬱な任務にも、すこしやる気が出て来た気がする。
「こほん! えー、前金を分配します。ミリアムちゃんに渡しておくので、順番にもらってください。成功報酬は、この5倍以上を約束します!」
「「「おおお、まじかよ!」」」
「すげーな! 前金でそれだけって、ぼろ儲けじぇねえか!」
「こほん! えー、これから始まるのはルガルを守るための戦いです。命の保証はできません。無理だと判断した時は、いつでも離脱してください。判断はおまかせします。でも、前金だけもらって即離脱は、勘弁してくださいね。ルガルのために命を賭して戦ってくれる方の取り分がへるのは、たとえ世界龍が許しても、私が許しません。では、よろしくね、ミリアムちゃん」
「ほら! 配るよ! ならびな!」
この大地では「ノル=バイナリー」とよばれるレアアースが産出される。とても希少な物質で、オリハルコンやミスリル、アダマンタイトなどの品質を向上させるためには欠かせない触媒だ。同じ重量のプラチナの10倍以上の価値があるため、多くの賞金稼ぎ達はそれを回収して糧を得ている者が多い。ただし、単純に大地を掘っても入手はできない。この大地の黄泉に行けない亡者たちを浄化すると、入手できるのだ。なので彼らは一様に、祓魔法術に長けているのだ。なお、私が各種手配に使っている報酬も、ノル=バイナリーである。荒廃したギアの場合、通貨の価値よりも、ノル=バイナリーの価値の方が安定しており、信用されやすいためだ。
……
できれば海路で、目的地の近くまで行きたかった。
しかし、ここの大陸はもともとはフリギアン=ギアの居住区域であるため、心配性の王侯達が、港以外に海路から侵入できないよう様々な対策を施してしまったのだ。
ヨトゥンヘイム側は、都市の中心近くにある大きな港を海運の拠点としている。
都市の中心地からだいぶ離れたゴロツキの溜まり場の街の先に位置するこの小さな港は、幸いなことにノーマークだった。
とはいっても、大規模の密航となればヨトゥンヘイム側に知られるのは時間の問題だ。
そのため、ニダヴェリールは、いくつかの陽動作戦を進めてきた。
1つ目は、ニダヴェリール専用の転移ゲートをギアの中心地に設置したことだ。当初はギア復興の協力を目的として設置されたものだが、管理、運用も含め、ヨトゥンヘイムの関与を全て拒否し、ルーノ族によって厳重に守られている。アルビオン諸島が沈められた直後から、衛兵を3倍に増強している。
2つ目は、ルーノ族によるギア制圧作戦に関する情報の流布である。ニダヴェリールとヘルヘイムに対する影響力をほとんど失ってしまったヨトゥンヘイムにとって、生命の営みの要所であるギアの広大な大地は、最終防衛ラインといってもよい。ニダヴェリールが狙っていても不思議ではない大地であり、その情報だけでも、ヨトゥンヘイムに、ギアの中心地の主要拠点に意識を向けさせられる十分な理由になる。実際に、アルビオン諸島が沈められた直後から、ニダヴェリールの転移ゲート近くに、大量の兵士を集結させている。仮に、ヨトゥンヘイム側が、中心地の主要区画の防衛を手薄にするようであれば、突入させる用意もある。
3つ目は、別働隊による、ヨトゥンヘイム専用の転移ゲート周辺での威嚇行為である。アルビオン諸島が沈められた数日後から、作戦を開始している。諸島沈没時の避難の実態について、大陸にも情報が流出し、ヨトゥンヘイムは、大陸にいる多くのアルビオン・ルーノ族から高い反感をかってしまった。大陸に反ヨトゥンヘイムの気運が高まりつつあるため、ヨトゥンヘイム側はかなりナーバスになっているようだ。
そして、4つ目は……。
灰色だった空が、青く染まってきた。
周囲のルガル達は、初めて見る空の変貌に驚きの色を隠せないようだ。
空が全て青く染まったときが、出発の合図である。
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