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幻想への帰還
相転移
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────キョウヤ(ヒューマノイド、移動要塞フォーマルハウト搭乗員)
俺たちは、フォーマルハウトの移動要塞に入ると、要塞内の最外郭にある検閲区画に通された。
滅菌や身体検査等を済ませてからでないと要塞内部にはいれてもらえないらしい。荒廃した世界では、少しの気の緩みが命取りになるのだそうだ。
俺たちを助けてくれた少女達は部外者のため、滅菌処理後、外郭部に用意された部屋で寝泊まりするらしい。ただし、完全に離れ離れにはならず、俺たち内部の人間が、検閲区画を通って外郭部に行けば、彼女たちにいつでも面会できるとのことだった。
屋外から入る場合は検査に時間がかかるため、待ち時間を利用して、これから共に生活する者同士で自己紹介しておくことになった。
一つ年下の女の子は、ユミカちゃん。その弟くんは、ミコトくんといって、サエと同い年だった。
俺たちを助けてくれた少女は、ファ=ルシオーヌ=ティア=リオンというそうだ。
まわりからはファルシオンと呼ばれてるので、そう呼んでくれとの事だった。
種族はヴェルキエーレというかなり希少な若い種族なのだそうだ。
身長は俺よりより少し低めといった感じだ。
そして、姿の見えないお姉さんが、ようやく姿を見せてくれた。
長身でスレンダーなものすごい美人だった。
彼女の姿を見たとき、ファルシオンを見たときと同様、しばしの間、ユミカちゃんと一緒に見惚れてしまった。
しかもヒールの高い靴を履いていることもあり、若干身長が高い部類に入るはずの俺よりも目線が上だったのはショックだった。
名前はルカティアといって、ルーノという種族の人狼なのだそうだ。人狼は獣化することができ、ワーウルフのような姿や狼のような姿へと自在に変化できるらしい。ファルシオンが目的地に着くまでの護衛のために同行しているとのことだった。耳に、なぜか雪だるまをモチーフにしたピアスをしている。雪だるまの理由を聞いたら、完全スルーされた。もう少し仲良くなれたら再挑戦しようと思っている。
もう一人の巨大な人狼の名前は、ガーンスバックというそうだ。とても強力な戦闘種族で、ルカティアの命令しか聞かないらしい。常にワーウルフの姿に獣化していて他の姿にはなれないとのことだ。特殊な種族だそうで、ルカティア以外とは会話ができないと言われた。軽く殴られらだけでも瞬殺されるから、絶対に近づかないように念をおされた。
……
かなり時間がかかったが、ようやく検閲が終わった。
俺とユミカちゃんだけ、やけに時間がかかったのだ。
なんでも、貴重な人員を失うリスクを最小限に抑えるために、この要塞では、〝相転移〟という独自技術を利用しているらしく、その準備のための検査に時間がかかったのだそうだ。
サエとミコトくんは、まだ体が発達途上で相転移に適さないため、相転移できるようになるまでは、内部の安全な生活区画のみで生活して、勉強の日々を送るらしい。要塞内部には同世代の子供たちがいるそうなので、一緒に面倒を見てくれるとのことだった。
検閲の待合室に、案内係の女性がきたので、俺たちは、ファルシオンたちと別れ、内部の生活区画へ案内されて共同区画についていっしょに説明してもらった。
部屋割りは、男女別で相部屋になるとのことだった。生活区画は、共用区画、男性専用区画、女性専用区画に分かれており、共用区画には食堂や談話室などが用意されているとのことだ。部屋同士で通信が可能なので、いつでも会話ができるらしい。
俺はユミカちゃんと、お互いに妹と弟の世話をお願いしあった。サエも思春期に差し掛かっているため、俺よりもユミカちゃんのそばの方が、俺としてはありがたかった。そう言ったら、ユミカちゃんもミコトくんとずーっと同室だとちょっと困ると思っていたそうだ。考えることは同じらしい。余り者チームだったのでちょっとだけ心配していたが、相手がユミカちゃん達でよかった。
男女別の区画の手前に案内係の男性が一人待っており、そこで男女で分かれて、別々に説明をうけてから、入浴および就寝することになった。
案内係の男性が「ではいきましょう」と、男性区画へ入っていったので、俺は、ユミカちゃんにサエのことをもう一度お願いして、ユミカちゃんも俺にミコトくんのことをお願いした後に、ミコトくんの手を引いて男性区画に入ろうとした。
……が、見えない壁が俺の行く手を阻んだ。
ミコトくんは普通に進めるようで、不思議そうな顔をして俺を見ていた。何度やっても、見えない壁の先には進めなかった。困っていたら、案内係の女性が俺の肩をたたいて、こういったのだ。
「そちらは男性区画ですよ?」
「え? わかってますよ。だから、俺が……」
「なるほど、そういうことですか……。ユミカ、こちらへ」
案内係の女性に手を引かれたユミカちゃんが、俺の隣に立たされた。
「キョウヤ、前に進める?」
「いえ、まるで壁があるように進めません」
「ユミカは?」
「あれれ? 普通に進めるよ?」
「そういうことです。二人とも〝相転移〟の説明を理解できていなかったようですね?」
「「「はい??」」」
「とりあえず中で再度説明します。ユミカは男性区画の案内係に教えてもらってください」
「では参りましょう、キュウヤ、サエ」
俺とサエは、案内係に手を引かれ、女性区画へと入っていった。
「これ、どういうことなんですか? 俺、男なんですけど?」
「相転移は自分の体細胞の情報から予備の肉体を再構成して、本体は要塞内部の強固な安全区画で守られた状態で、予備の肉体を遠隔操作する技術です。
ここまでは理解されていますか?」
「はい」
「ただし、問題がありまして、完全に同一の体細胞の体とリンクした場合、予備の肉体が死亡した際に、生命の根源体が、本来の肉体と仮の肉体を区別できなくなり死に至るリスクが高くなるのです。
目の色や髪の色、肌の糸、体格、骨格などなどいろいろ変更して試されましたが、もっともリスクが低く安全に長期間運用できるのが、性別を変更することだと判明したのです」
「あー、染色体のことはなにか聞いたような……」
「つまり、そういうことです。明日、あなたの予備の肉体の準備が終わりますが、すでにあなたは女性として登録されてしまっているので、男性区画には立ち入ることはできません。これは、万が一、予備の肉体を失って、肉体生成を待つ場合も同様です。いちいち部屋割りを変更するのも手間ですし、性別の登録が変わることで通常業務に支障が出る場合もあるので、男性体であっても女性区画を利用してください」
「でも、お風呂とか、着替えって、どうするのですか? 女性と一緒に入るわけにいかないだろうし、服のサイズは一緒じゃないんでしょ?」
「お風呂は通常通り女性の共同浴場施設をご利用ください。誰も気にしません。衣服や下着は、ロッカーの前に立った時に生体認証とサイズの自動計測がなされます。ただし、男性体であっても他の方から判別しやすくするためにデザインは全て女性仕様です。我々女性が男性体に戻るのは、年に一度の定期検診時の2日間だけです。ここの要塞の乗組員はそれに慣れておりますので、恥ずかしがらないで大丈夫です。
でも、今夜は大切な夜ですね?」
「大切?」
「あなたは、これからほとんどの時間、体の構造はもちろん、脳の作り、生物としての本能までも女性として生活することになりますから、女性としての感覚や記憶に引きずられることなく、男性としての脳と本能、体の構造ですごせる貴重な最後の夜です。この要塞は慢性的な人口不足ですので、我々女性は、定期的に出産をしないといけません。母体としての役割があるので、屋外や外郭部での任務はほとんどありません。そのため任務による死亡率が男性にくらべて低いのです」
「出産? 俺が?」
「そうですよ、とは言っても順番が回って来るのは、数年後からです。相転移してしばらくの間は、子宮の慣らし運転期間です。予備の肉体は、ある程度の月経周期を経過させてからでないと、子宮が正常に作動せず、母子ともに死亡率が上がってしまうのです。心配されなくても大丈夫ですよ、数日くらい経つと、男性体の感覚は思い出せなくなります。ただし、男性としての記憶が、立ち居振るや言葉遣いに影響することは多々あります。でも、皆そういうことは気にしませんので、ご自分のお好みで使い分けてください。それから、年に1度の定期検診で男性体に戻った時は、男性体の感覚に驚かされるとおもいますよ、明日、女性体になったときと同じくらい」
「……はい」
不安しかないが、数万年単位の奴隷生活とか家畜生活よりは、はるかにましだ。
「相転移で性別が選べる技術が確立すれば、男性として再登録できる制度が整えられるかもしれませんが、数万年もの時間をかけて研究と実験を重ね続けたうえでの、現況ですので、その辺りの進歩はまだかなり先になるかとおもいます」
「……そうですか」
「そうでした、私としたことが忘れておりました」
「はい?」
「申し遅れました。本日から、キョウヤの教官および上司を勤めることになるファムと申します。指導も、任務も、私生活の相談もマンツーマンになるので、よろしくね、キョウヤ」
「そうだったのですか、こちらこそよろしくお願いします。その、妹のサエ共々よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくね」
ファムさんは、サエを優しく撫ででくれた。
「しばらくしたらサエは男性区画に移るのですか?」
「そうね、女の子の成長は早いので、ミコトより先に転属になるわね。その時は、ユミカと3人で同室になるわ」
「3人部屋か、それならサエも寂しがらないか……」
「大丈夫よ、そのころには立派な男の子になってるから。どちらかというと、ミコトが一番恥ずかしがるとおもうわよ?」
「……」
まったく、想像できない。
「では、設備を案内するわね」
「よろしくお願いします」
「そのあと、入浴と着替えを済ませたら、就寝ね」
「はい、わかりました」
「そうだ、就寝前、ユミカたちと通信してみたら?」
「あ、はい、そうですね、それはありがたいです」
「でも、就寝時間は守ること。明日は早いので、くれぐれも遅くならないようにね」
「はい……」
それから、ファムさんの案内で、使用中だろうが御構い無しに、隅々まで女性区画の案内をされた。本当に、みんなまるで気にしなかった。
俺だけが、真っ赤な顔をして、目のやり場にこまっていた。
でも、サエは、女性区画の行き届いた設備に喜んでいたようだった。この世界に来てから、泣き顔と不安そうな顔しか見ていなかったので、初めて笑顔をみることができ、嬉しかった。
両親がもういない以上、サエは俺が守るしかないのだ。
……
俺は、女性区画の共同浴場での入浴という試練を乗り越えた後、ようやく自室にたどり着いた。
俺の心のライフはもうゼロだった……。
サエをベッドに寝かしつけると、通信端末を確認した。
予想通り、ユミカちゃんの部屋からの着信履歴がたくさんあった。
もう寝ちゃったかな?
俺は、映像機能をOFFにして音声通話のみの状態になったことを確認してから、ユミカちゃんの部屋にコールしてみた。
ぴ……カチャ
「はい! ユミカです。キョウヤくんだよね? まってたよーーー」
はやっ! 1コールだった。どうやら待っててくれたようだ。
「ごめんね、何度も連絡してくれたみたいで、いまさっきレクチャーから解放されたところなんだ」
「うそー? すごいね、鬼教官?」
「すごいやさしい人だよ」
「ユミカちゃんの方は?」
「こっちもとてもいい人だよー。案内係の人でしょ?」
「うん、ファムさんていうんだ」
「こっちはねー、アルフートさん。女性とは思えないくらい男前」
「こっちもそうだよ。男性とは思えないくらい清楚で上品」
「キョウヤくん等、こんな時間までなにやってたの?」
「それは……はずかしくて、いえない……」
「あー、お肌のお手入れとか? 髪の手入れとか?」
「うん……しかも、サエの髪で」
「うおー、なかなかの試練をのりこえてきたんだねー。サエちゃんだってお年頃でしょ? 嫌がらなかった?」
「それがね、最近は恥ずかしがってたくせに、ノリノリで困っちゃった。もうお姉ちゃん呼ばわりだよ?」
「あはは、実は、私もミコトからお兄ちゃん呼ばわりされてる」
「そうなんだ」
「ねね、キョウヤくん、映像ONしてもいい??」
「絶対ダメです、本当に勘弁してください」
「でも、あした、この姿であうんだよ?」
「え?」
「聞いてなかったの? えーっと、どうやるんだっけ………」
「え? 何?」
「あ! こうだ!」
「!」
モニターの向こうにかなりボーイッシュな感じになったユミカちゃんがいた。
「わぁ、キョウヤくん、ふつーにかわいいじゃん。
黙ってれば、女の子で通るよ? 赤くなってるー可愛いー」
俺はファムさんに眉や髪型を女性っぽくされていたのだ。
今着てるの就寝用ユニフォームも女性向けのデザインだった。
「……どうして、モニターONにできたの?」
「えへへ、内緒だよー」
「いいよ、ファムさんに聞きくから。
ユミカちゃん髪切ったんだ?
随分、思い切っちゃったんだねー。
でも、すごく似合ってる」
「ありがと、ベリーショートにしてもらった。
女性体に戻った時、違和感ないようにって切られちゃた」
「俺も、おなじような感じ」
「そんなに感覚変わっちゃうのかなー?
でも、身長伸びるといいなー、キョウヤくんを見下ろせるくらい」
「お父さんは身長高いの?」
「うーん、平均くらいかな?」
「じゃあ、それくらいになるんじゃない?」
「キョウヤくんのお母さんは?」
「……すこし低めかも」
「やったー! 見下ろせる!」
「でも、実際、明日になって見ないとわからないじゃん」
「まーねー、でも、男子になってもチビだったら、ほんとにマジ泣きするよ、私」
「大丈夫じゃない? 共有区画で見かける男性はみんな平均以上だったし」
「まぁ、そうだよね、どんな感じなんだろ……私の男性体」
「……すごい前向きだね、俺は、自分の女性体見るの怖いよ」
「そう? 絶対、かわいいって、私が保証する」
ぴぴぴぴぴ……
就寝時間のアラームがなった。
「あ、そろそろ、寝ないとファムさんに叱られる。
アラームどうやって止めるんだったけ?
ファムさんの説明めっちゃ早いから覚えきれない……サエ、起きちゃうよ」
「ちょっとまってね……ほい」
アラームが止まった。
「え? なんで?」
「内緒。そっか、〝女の子〟チームは就寝時間まで決められてるのかー、たしかに私も元の世界では、いろいろ周りがうるさかったなー」
「〝男の子〟チームはちがうの?」
「うん、集合時間だけ言われて、解散」
「らくでいいなー」
「まぁ、これから、君は女の子の大変さを思い知るのだよ。うははは……」
「いじわるだなー。あー、でも、もう寝ないと本気で叱られる。ごめんねー、もっといろいろ話したいけど、ファムさん怒ると怖いから……」
「オッケー、これからよろしくね!」
「うん、こちらこそ」
「「「おやすみー」」」
なんでこっちのモニターを操作できるんだ?
翌朝、俺は女性区画の最深部にある大きな扉へ向かった。
すでにファムさんがいた。
「すみません、遅くなってしまいまいた」
「遅くないわよ。早いくらい。私の部屋の方が近かっただけだから、気にしないで。では、新しい体とご対面しましょう」
ファムさんの生体認証コードでゲートが開いた。
この先は、共同区画になっている。
すでにユミカちゃんと、アルフートさんが待機していた。
「やっほー、キョウヤくん! ファムさん、おはようございます!」
ユミカちゃんやけにテンション高いな……。
「おはよー、ユミカちゃん。 アルフートさん、おはようございます」
「「「おはよう」」」
「特に自己紹介はいらないみたいね。さっそく始めましょう。これが、二人の予備の肉体よ」
ファムさんが生体認証コードをかざすと、壁が開いて、その奥に一組の男女が透明のケースの中で眠っていた。
「!」
俺は、思わぬ不意打ちで、顔が真っ赤になり、目のやり場に困った。
二人とも、全裸だったのだ……。
「ファムさん。先にいっておいてくださいよ、びっくりするじゃありませんか」
俺のDTは伊達じゃないです。
「そーなの? ユミカは平気みたいだけど?」
「あれ? ユミカちゃん、なんで平然としてられるの?」
「初めは驚いたけど、2回目だしね」
「アルフート、どういうこと?」
ファムさんがご機嫌斜めだ。
「いいじゃないか、ファム。
ちょっとだけ早めに来て時間があったから、先に見せてあげたのさ」
ファムさんは、機材のモニターでなにかを確認した。
「予定時間よりもかなり前の記録が残ってるけど?」
「あはは、こまかいことは気にしない」
「もぅ……」
ユミカちゃんは、かなり先に来て見尽くしちゃったってわけか。
男性体は標準よりちょっと大柄だ。俺より背が高い感じだ。
女性体は標準くらいかちょっと小柄な感じだった、ファムさんとユミカちゃんの中間くらいか。
この身長差だと、ユミカちゃんは俺はをいい感じに見下ろせるだろうな……。
なるほど、それで、テンション高かったのか。
ハイテンションな感じでユミカちゃんが近づいてきた。
「ねね、キョウヤくんの女性体、かわいい系の美人さんじゃん、よかったねー。
何赤くなってるの? かわいいー」
「……」
俺は何も言えなかった。
「では、二人とも、それぞれの相転移ゲートの上に立ってね」
ファムさんに|促(うなが)されて、支持された場所にたった。
透明の扉が自動的にしまった。
「では、リラックス、深呼吸してー。相転移開始!」
相転移ゲートと呼ばれた床面が、光を帯びはじめた。
元の世界で仮想世界の深淵にダイブするときと一緒だ。
つまり、俺はこれから下に落ちるってことだ。
一瞬、床が抜けたような気がして、無重力状態を感じた。
そして俺は、相転移ゲートに落下した。
俺たちは、フォーマルハウトの移動要塞に入ると、要塞内の最外郭にある検閲区画に通された。
滅菌や身体検査等を済ませてからでないと要塞内部にはいれてもらえないらしい。荒廃した世界では、少しの気の緩みが命取りになるのだそうだ。
俺たちを助けてくれた少女達は部外者のため、滅菌処理後、外郭部に用意された部屋で寝泊まりするらしい。ただし、完全に離れ離れにはならず、俺たち内部の人間が、検閲区画を通って外郭部に行けば、彼女たちにいつでも面会できるとのことだった。
屋外から入る場合は検査に時間がかかるため、待ち時間を利用して、これから共に生活する者同士で自己紹介しておくことになった。
一つ年下の女の子は、ユミカちゃん。その弟くんは、ミコトくんといって、サエと同い年だった。
俺たちを助けてくれた少女は、ファ=ルシオーヌ=ティア=リオンというそうだ。
まわりからはファルシオンと呼ばれてるので、そう呼んでくれとの事だった。
種族はヴェルキエーレというかなり希少な若い種族なのだそうだ。
身長は俺よりより少し低めといった感じだ。
そして、姿の見えないお姉さんが、ようやく姿を見せてくれた。
長身でスレンダーなものすごい美人だった。
彼女の姿を見たとき、ファルシオンを見たときと同様、しばしの間、ユミカちゃんと一緒に見惚れてしまった。
しかもヒールの高い靴を履いていることもあり、若干身長が高い部類に入るはずの俺よりも目線が上だったのはショックだった。
名前はルカティアといって、ルーノという種族の人狼なのだそうだ。人狼は獣化することができ、ワーウルフのような姿や狼のような姿へと自在に変化できるらしい。ファルシオンが目的地に着くまでの護衛のために同行しているとのことだった。耳に、なぜか雪だるまをモチーフにしたピアスをしている。雪だるまの理由を聞いたら、完全スルーされた。もう少し仲良くなれたら再挑戦しようと思っている。
もう一人の巨大な人狼の名前は、ガーンスバックというそうだ。とても強力な戦闘種族で、ルカティアの命令しか聞かないらしい。常にワーウルフの姿に獣化していて他の姿にはなれないとのことだ。特殊な種族だそうで、ルカティア以外とは会話ができないと言われた。軽く殴られらだけでも瞬殺されるから、絶対に近づかないように念をおされた。
……
かなり時間がかかったが、ようやく検閲が終わった。
俺とユミカちゃんだけ、やけに時間がかかったのだ。
なんでも、貴重な人員を失うリスクを最小限に抑えるために、この要塞では、〝相転移〟という独自技術を利用しているらしく、その準備のための検査に時間がかかったのだそうだ。
サエとミコトくんは、まだ体が発達途上で相転移に適さないため、相転移できるようになるまでは、内部の安全な生活区画のみで生活して、勉強の日々を送るらしい。要塞内部には同世代の子供たちがいるそうなので、一緒に面倒を見てくれるとのことだった。
検閲の待合室に、案内係の女性がきたので、俺たちは、ファルシオンたちと別れ、内部の生活区画へ案内されて共同区画についていっしょに説明してもらった。
部屋割りは、男女別で相部屋になるとのことだった。生活区画は、共用区画、男性専用区画、女性専用区画に分かれており、共用区画には食堂や談話室などが用意されているとのことだ。部屋同士で通信が可能なので、いつでも会話ができるらしい。
俺はユミカちゃんと、お互いに妹と弟の世話をお願いしあった。サエも思春期に差し掛かっているため、俺よりもユミカちゃんのそばの方が、俺としてはありがたかった。そう言ったら、ユミカちゃんもミコトくんとずーっと同室だとちょっと困ると思っていたそうだ。考えることは同じらしい。余り者チームだったのでちょっとだけ心配していたが、相手がユミカちゃん達でよかった。
男女別の区画の手前に案内係の男性が一人待っており、そこで男女で分かれて、別々に説明をうけてから、入浴および就寝することになった。
案内係の男性が「ではいきましょう」と、男性区画へ入っていったので、俺は、ユミカちゃんにサエのことをもう一度お願いして、ユミカちゃんも俺にミコトくんのことをお願いした後に、ミコトくんの手を引いて男性区画に入ろうとした。
……が、見えない壁が俺の行く手を阻んだ。
ミコトくんは普通に進めるようで、不思議そうな顔をして俺を見ていた。何度やっても、見えない壁の先には進めなかった。困っていたら、案内係の女性が俺の肩をたたいて、こういったのだ。
「そちらは男性区画ですよ?」
「え? わかってますよ。だから、俺が……」
「なるほど、そういうことですか……。ユミカ、こちらへ」
案内係の女性に手を引かれたユミカちゃんが、俺の隣に立たされた。
「キョウヤ、前に進める?」
「いえ、まるで壁があるように進めません」
「ユミカは?」
「あれれ? 普通に進めるよ?」
「そういうことです。二人とも〝相転移〟の説明を理解できていなかったようですね?」
「「「はい??」」」
「とりあえず中で再度説明します。ユミカは男性区画の案内係に教えてもらってください」
「では参りましょう、キュウヤ、サエ」
俺とサエは、案内係に手を引かれ、女性区画へと入っていった。
「これ、どういうことなんですか? 俺、男なんですけど?」
「相転移は自分の体細胞の情報から予備の肉体を再構成して、本体は要塞内部の強固な安全区画で守られた状態で、予備の肉体を遠隔操作する技術です。
ここまでは理解されていますか?」
「はい」
「ただし、問題がありまして、完全に同一の体細胞の体とリンクした場合、予備の肉体が死亡した際に、生命の根源体が、本来の肉体と仮の肉体を区別できなくなり死に至るリスクが高くなるのです。
目の色や髪の色、肌の糸、体格、骨格などなどいろいろ変更して試されましたが、もっともリスクが低く安全に長期間運用できるのが、性別を変更することだと判明したのです」
「あー、染色体のことはなにか聞いたような……」
「つまり、そういうことです。明日、あなたの予備の肉体の準備が終わりますが、すでにあなたは女性として登録されてしまっているので、男性区画には立ち入ることはできません。これは、万が一、予備の肉体を失って、肉体生成を待つ場合も同様です。いちいち部屋割りを変更するのも手間ですし、性別の登録が変わることで通常業務に支障が出る場合もあるので、男性体であっても女性区画を利用してください」
「でも、お風呂とか、着替えって、どうするのですか? 女性と一緒に入るわけにいかないだろうし、服のサイズは一緒じゃないんでしょ?」
「お風呂は通常通り女性の共同浴場施設をご利用ください。誰も気にしません。衣服や下着は、ロッカーの前に立った時に生体認証とサイズの自動計測がなされます。ただし、男性体であっても他の方から判別しやすくするためにデザインは全て女性仕様です。我々女性が男性体に戻るのは、年に一度の定期検診時の2日間だけです。ここの要塞の乗組員はそれに慣れておりますので、恥ずかしがらないで大丈夫です。
でも、今夜は大切な夜ですね?」
「大切?」
「あなたは、これからほとんどの時間、体の構造はもちろん、脳の作り、生物としての本能までも女性として生活することになりますから、女性としての感覚や記憶に引きずられることなく、男性としての脳と本能、体の構造ですごせる貴重な最後の夜です。この要塞は慢性的な人口不足ですので、我々女性は、定期的に出産をしないといけません。母体としての役割があるので、屋外や外郭部での任務はほとんどありません。そのため任務による死亡率が男性にくらべて低いのです」
「出産? 俺が?」
「そうですよ、とは言っても順番が回って来るのは、数年後からです。相転移してしばらくの間は、子宮の慣らし運転期間です。予備の肉体は、ある程度の月経周期を経過させてからでないと、子宮が正常に作動せず、母子ともに死亡率が上がってしまうのです。心配されなくても大丈夫ですよ、数日くらい経つと、男性体の感覚は思い出せなくなります。ただし、男性としての記憶が、立ち居振るや言葉遣いに影響することは多々あります。でも、皆そういうことは気にしませんので、ご自分のお好みで使い分けてください。それから、年に1度の定期検診で男性体に戻った時は、男性体の感覚に驚かされるとおもいますよ、明日、女性体になったときと同じくらい」
「……はい」
不安しかないが、数万年単位の奴隷生活とか家畜生活よりは、はるかにましだ。
「相転移で性別が選べる技術が確立すれば、男性として再登録できる制度が整えられるかもしれませんが、数万年もの時間をかけて研究と実験を重ね続けたうえでの、現況ですので、その辺りの進歩はまだかなり先になるかとおもいます」
「……そうですか」
「そうでした、私としたことが忘れておりました」
「はい?」
「申し遅れました。本日から、キョウヤの教官および上司を勤めることになるファムと申します。指導も、任務も、私生活の相談もマンツーマンになるので、よろしくね、キョウヤ」
「そうだったのですか、こちらこそよろしくお願いします。その、妹のサエ共々よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくね」
ファムさんは、サエを優しく撫ででくれた。
「しばらくしたらサエは男性区画に移るのですか?」
「そうね、女の子の成長は早いので、ミコトより先に転属になるわね。その時は、ユミカと3人で同室になるわ」
「3人部屋か、それならサエも寂しがらないか……」
「大丈夫よ、そのころには立派な男の子になってるから。どちらかというと、ミコトが一番恥ずかしがるとおもうわよ?」
「……」
まったく、想像できない。
「では、設備を案内するわね」
「よろしくお願いします」
「そのあと、入浴と着替えを済ませたら、就寝ね」
「はい、わかりました」
「そうだ、就寝前、ユミカたちと通信してみたら?」
「あ、はい、そうですね、それはありがたいです」
「でも、就寝時間は守ること。明日は早いので、くれぐれも遅くならないようにね」
「はい……」
それから、ファムさんの案内で、使用中だろうが御構い無しに、隅々まで女性区画の案内をされた。本当に、みんなまるで気にしなかった。
俺だけが、真っ赤な顔をして、目のやり場にこまっていた。
でも、サエは、女性区画の行き届いた設備に喜んでいたようだった。この世界に来てから、泣き顔と不安そうな顔しか見ていなかったので、初めて笑顔をみることができ、嬉しかった。
両親がもういない以上、サエは俺が守るしかないのだ。
……
俺は、女性区画の共同浴場での入浴という試練を乗り越えた後、ようやく自室にたどり着いた。
俺の心のライフはもうゼロだった……。
サエをベッドに寝かしつけると、通信端末を確認した。
予想通り、ユミカちゃんの部屋からの着信履歴がたくさんあった。
もう寝ちゃったかな?
俺は、映像機能をOFFにして音声通話のみの状態になったことを確認してから、ユミカちゃんの部屋にコールしてみた。
ぴ……カチャ
「はい! ユミカです。キョウヤくんだよね? まってたよーーー」
はやっ! 1コールだった。どうやら待っててくれたようだ。
「ごめんね、何度も連絡してくれたみたいで、いまさっきレクチャーから解放されたところなんだ」
「うそー? すごいね、鬼教官?」
「すごいやさしい人だよ」
「ユミカちゃんの方は?」
「こっちもとてもいい人だよー。案内係の人でしょ?」
「うん、ファムさんていうんだ」
「こっちはねー、アルフートさん。女性とは思えないくらい男前」
「こっちもそうだよ。男性とは思えないくらい清楚で上品」
「キョウヤくん等、こんな時間までなにやってたの?」
「それは……はずかしくて、いえない……」
「あー、お肌のお手入れとか? 髪の手入れとか?」
「うん……しかも、サエの髪で」
「うおー、なかなかの試練をのりこえてきたんだねー。サエちゃんだってお年頃でしょ? 嫌がらなかった?」
「それがね、最近は恥ずかしがってたくせに、ノリノリで困っちゃった。もうお姉ちゃん呼ばわりだよ?」
「あはは、実は、私もミコトからお兄ちゃん呼ばわりされてる」
「そうなんだ」
「ねね、キョウヤくん、映像ONしてもいい??」
「絶対ダメです、本当に勘弁してください」
「でも、あした、この姿であうんだよ?」
「え?」
「聞いてなかったの? えーっと、どうやるんだっけ………」
「え? 何?」
「あ! こうだ!」
「!」
モニターの向こうにかなりボーイッシュな感じになったユミカちゃんがいた。
「わぁ、キョウヤくん、ふつーにかわいいじゃん。
黙ってれば、女の子で通るよ? 赤くなってるー可愛いー」
俺はファムさんに眉や髪型を女性っぽくされていたのだ。
今着てるの就寝用ユニフォームも女性向けのデザインだった。
「……どうして、モニターONにできたの?」
「えへへ、内緒だよー」
「いいよ、ファムさんに聞きくから。
ユミカちゃん髪切ったんだ?
随分、思い切っちゃったんだねー。
でも、すごく似合ってる」
「ありがと、ベリーショートにしてもらった。
女性体に戻った時、違和感ないようにって切られちゃた」
「俺も、おなじような感じ」
「そんなに感覚変わっちゃうのかなー?
でも、身長伸びるといいなー、キョウヤくんを見下ろせるくらい」
「お父さんは身長高いの?」
「うーん、平均くらいかな?」
「じゃあ、それくらいになるんじゃない?」
「キョウヤくんのお母さんは?」
「……すこし低めかも」
「やったー! 見下ろせる!」
「でも、実際、明日になって見ないとわからないじゃん」
「まーねー、でも、男子になってもチビだったら、ほんとにマジ泣きするよ、私」
「大丈夫じゃない? 共有区画で見かける男性はみんな平均以上だったし」
「まぁ、そうだよね、どんな感じなんだろ……私の男性体」
「……すごい前向きだね、俺は、自分の女性体見るの怖いよ」
「そう? 絶対、かわいいって、私が保証する」
ぴぴぴぴぴ……
就寝時間のアラームがなった。
「あ、そろそろ、寝ないとファムさんに叱られる。
アラームどうやって止めるんだったけ?
ファムさんの説明めっちゃ早いから覚えきれない……サエ、起きちゃうよ」
「ちょっとまってね……ほい」
アラームが止まった。
「え? なんで?」
「内緒。そっか、〝女の子〟チームは就寝時間まで決められてるのかー、たしかに私も元の世界では、いろいろ周りがうるさかったなー」
「〝男の子〟チームはちがうの?」
「うん、集合時間だけ言われて、解散」
「らくでいいなー」
「まぁ、これから、君は女の子の大変さを思い知るのだよ。うははは……」
「いじわるだなー。あー、でも、もう寝ないと本気で叱られる。ごめんねー、もっといろいろ話したいけど、ファムさん怒ると怖いから……」
「オッケー、これからよろしくね!」
「うん、こちらこそ」
「「「おやすみー」」」
なんでこっちのモニターを操作できるんだ?
翌朝、俺は女性区画の最深部にある大きな扉へ向かった。
すでにファムさんがいた。
「すみません、遅くなってしまいまいた」
「遅くないわよ。早いくらい。私の部屋の方が近かっただけだから、気にしないで。では、新しい体とご対面しましょう」
ファムさんの生体認証コードでゲートが開いた。
この先は、共同区画になっている。
すでにユミカちゃんと、アルフートさんが待機していた。
「やっほー、キョウヤくん! ファムさん、おはようございます!」
ユミカちゃんやけにテンション高いな……。
「おはよー、ユミカちゃん。 アルフートさん、おはようございます」
「「「おはよう」」」
「特に自己紹介はいらないみたいね。さっそく始めましょう。これが、二人の予備の肉体よ」
ファムさんが生体認証コードをかざすと、壁が開いて、その奥に一組の男女が透明のケースの中で眠っていた。
「!」
俺は、思わぬ不意打ちで、顔が真っ赤になり、目のやり場に困った。
二人とも、全裸だったのだ……。
「ファムさん。先にいっておいてくださいよ、びっくりするじゃありませんか」
俺のDTは伊達じゃないです。
「そーなの? ユミカは平気みたいだけど?」
「あれ? ユミカちゃん、なんで平然としてられるの?」
「初めは驚いたけど、2回目だしね」
「アルフート、どういうこと?」
ファムさんがご機嫌斜めだ。
「いいじゃないか、ファム。
ちょっとだけ早めに来て時間があったから、先に見せてあげたのさ」
ファムさんは、機材のモニターでなにかを確認した。
「予定時間よりもかなり前の記録が残ってるけど?」
「あはは、こまかいことは気にしない」
「もぅ……」
ユミカちゃんは、かなり先に来て見尽くしちゃったってわけか。
男性体は標準よりちょっと大柄だ。俺より背が高い感じだ。
女性体は標準くらいかちょっと小柄な感じだった、ファムさんとユミカちゃんの中間くらいか。
この身長差だと、ユミカちゃんは俺はをいい感じに見下ろせるだろうな……。
なるほど、それで、テンション高かったのか。
ハイテンションな感じでユミカちゃんが近づいてきた。
「ねね、キョウヤくんの女性体、かわいい系の美人さんじゃん、よかったねー。
何赤くなってるの? かわいいー」
「……」
俺は何も言えなかった。
「では、二人とも、それぞれの相転移ゲートの上に立ってね」
ファムさんに|促(うなが)されて、支持された場所にたった。
透明の扉が自動的にしまった。
「では、リラックス、深呼吸してー。相転移開始!」
相転移ゲートと呼ばれた床面が、光を帯びはじめた。
元の世界で仮想世界の深淵にダイブするときと一緒だ。
つまり、俺はこれから下に落ちるってことだ。
一瞬、床が抜けたような気がして、無重力状態を感じた。
そして俺は、相転移ゲートに落下した。
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