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第一章 閃血の復讐者《アヴェンジ》
地下深層シェルターとレジスタンス組織「フェンリル」
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「逃げられただと!?」
『もっ!申し訳ありません!!つっ次こそは確実に』
「もうよい!!貴様は打ち首だ!!この失態は貴様の命をもって償え!!」
「そっそんな!?どっどうかお慈悲を!!」
「うるさい!二度とその面を余に見せるでない!!」
命乞いをする部隊長の通信を荒ただしく切るこの初老の男。ファークラッド・フォン・イシュベルド。ヴェルキューレの貴族(ティアラ―)で男爵。そして、八大貴族(エイトティアラ―)の第一席、サルサージュ・フォン・ライネルの部下の一人である。
今回の命令もゲットーに蔓延るウジ虫の駆除程度の者だろうと軽視していたファークラッド、今まで自身の主に反逆する獲物は一人残らず捕らえ、首を跳ねてきた。
しかし、今回初めて獲物を仕留め損ねた。
(なんたる失態だ!!この余が!!)
次に仕留め損ねたら今度は自分の首が確実に飛ぶ。動揺を隠せない。今の地位まで上り詰めるためにどれだけ苦労したのかと。
「なんとしてても、あの薄汚い逆賊を捕らえ、サルサ―ジュ様にその首を献上せねば!!」
ファークラッドはすぐさま新しい部隊を編成するための準備に取り掛かった。
「こうなったら、アレを使うか」
ファークラッドの口元が卑し笑みを浮かべたのだった。
◇
森の奥までジープを走らせミシェルたちが到着したのはHARBT一機分格納できるほどの小さなガレージが崖下の奥に埋まっていた。周りには誰もいない、ただただどこまでも続く森林が広がっている。
(ここがさっきKが言ってた、安全な隠れ家なの?)
ミシェルは怪訝そうな表情でガレージを見つめた。確かに崖の下の死角にたってい見えにくいところには建っているが自分とビョルンと子供たちをかくまうにはいささか不備である。
「やっぱりボクたち騙されたんじゃ……」
そう思っていた時だった。
森の奥からドスンドスンとした機械音とともに地鳴りが響いてきた。もしかして敵に待ち伏せされたか!?ミシェルが子供たちを庇うようにその場に跪く。が
『ミシェル!皆無事か!?』
ミシェルが上を振り向くとそこにあったのは赤と白の美しいラインをした未完成HARBT、ビョルンの乗るアヴェンジだ。
「ビョルン!!」
アヴェンジはその場に跪くと胸のコックピットハッチが蒸気をたてながら上に開き、中からビョルンが機体から降りてきた。
「ビョルン!!!!」
ミシェルはアヴェンジから降りたビョルンに泣きながら飛びつき、ビョルンの頭を胸に抱きしめる。
「ちょっ!やめろミシェル!!苦しい!!」
「うるさい!うるさい!!ボクがどれだけ心配したと思ってるのさ!!バカ!!!」
更に抱きしめる力を強めるミシェル、がそろそろ離れろ!と無理やり離す。
「それより、もしかしてお前らもKってやつに言われてここに来たのか?」
「うん、ジープのレシーバーに通信があって、ビョルンも?」
「あぁ、俺も逃げてる最中に通信が入ってな、ていうかなんだよ!このボロガレージは!?」
ビョルンは廃屋のガレージを指さして絶句した。まさか、命からがら逃げてきたのにこんなボロ屋を捕まさせたということに対して怒りが湧き上がってきたのだ。
「おいK!!てめぇ!!騙しやがったな!!」
思わず叫ぶビョルンにアヴェンジのスピーカーから声がし出した。
『落ち着いてくださいよ、これはフェイクですよ』
「は!?フェイクだと!?ざけんな!!ボロガレージ以外何もねぇじゃねぇか!!」
「いいからシャッターを開けてみたくださよ、文句はそのあとで」
Kにそう言われて、渋々シャッター付近にある開閉スイッチに手を伸ばしボタンを押す。
シャッターが上へと徐々に上がっていき、中に現れたのは、
「何?これ?」
シャッターの中にあったのは地下へと続く巨大なトンネルであった。深さはおそらく3km以上はあるだろう。
『そこからお入りください、あっついでにその機体も一緒に持ってきてくださいね』
「機体を取るつもりか?」
『安心してください、押収したりしませんよ』
……今は信じるしかない、どのみちもう後戻りはできないのだ。
ビョルンは再びアヴェンジに乗り、ミシェルも子供達をジープに乗せてシャッター奥のトンネル内へと入っていった。
◇
ビョルン達は暗いトンネルの中をライトをつけて進んでいたもうかれこれ5時間はこのくらい中を進んだだろうか?
アヴェンジのバッテリーも残り僅か。
「おい、まだつかないのかよ」
『…………』
「けっ、都合よくダンマリかよ」
そう毒ついた矢先に、
『着きましたよ』
と、Kから到着の知らせと共に周 目の前にの照明が照らされる。目の前には巨大な鉄の扉が佇んでいた。
「これは、扉?」
「また入り口かよ、んでこの先に何があるんだよ?」
『それは秘密ですよ、サプライズがバレるとつまらないでしょ?』
「な~にが、サプライズだよ」
「まっ、とりあえず開けますね」
Kがそういうと扉は徐々に開いていく。そこには驚くべき光景が広がっていた。
「うそ!?」
「ここは……」
◇
アヴェンジを降りたビョルンの目の前に広がる光景。
扉の奥には大きな地下基地が広がっていた。数々のトレーラーに戦車に装甲車。そして数こそ少ないがレジスタンスが主に使用している機体。
マクスウェルインダストリー製HARBT、
AS-98ライノが数機。
それに何より、
「ビョルン見て!!人がいる!!」
人がいた、それも100人近い数の人が、HARBTやら装甲車などの兵器の整備をしていたのだった。
「うわぁ~、すげ~」
「秘密基地みたいでかっこいい!!」
子供達も大興奮であった。そんな時だった。
「やぁ、ビョルン君にミシェル君!!それに子供たちも!!よく来てくれたね!!」
ビョルン達の目の前に見に覚えのない自分が寄ってきた。馴れ馴れしいそうに明るく手を振る40代の中年男性だ。
「だっ、誰だよオッサン!?」
ビョルンがミシェルと子供達の前に庇うように立ち塞がるが、
「まぁそう警戒しないで、大丈夫、僕たちは君達の敵じゃないよ、まぁ、君が仲間になってくれたらだけどね」
「はぁ?それどういう」
「私はクラウス・フェイド、ここのリーダーを勤めている。そしてここは我々の拠点だ」
「我々?」
「そう、ようこそ!!レジスタンス「フェンリル」へ!!」
『もっ!申し訳ありません!!つっ次こそは確実に』
「もうよい!!貴様は打ち首だ!!この失態は貴様の命をもって償え!!」
「そっそんな!?どっどうかお慈悲を!!」
「うるさい!二度とその面を余に見せるでない!!」
命乞いをする部隊長の通信を荒ただしく切るこの初老の男。ファークラッド・フォン・イシュベルド。ヴェルキューレの貴族(ティアラ―)で男爵。そして、八大貴族(エイトティアラ―)の第一席、サルサージュ・フォン・ライネルの部下の一人である。
今回の命令もゲットーに蔓延るウジ虫の駆除程度の者だろうと軽視していたファークラッド、今まで自身の主に反逆する獲物は一人残らず捕らえ、首を跳ねてきた。
しかし、今回初めて獲物を仕留め損ねた。
(なんたる失態だ!!この余が!!)
次に仕留め損ねたら今度は自分の首が確実に飛ぶ。動揺を隠せない。今の地位まで上り詰めるためにどれだけ苦労したのかと。
「なんとしてても、あの薄汚い逆賊を捕らえ、サルサ―ジュ様にその首を献上せねば!!」
ファークラッドはすぐさま新しい部隊を編成するための準備に取り掛かった。
「こうなったら、アレを使うか」
ファークラッドの口元が卑し笑みを浮かべたのだった。
◇
森の奥までジープを走らせミシェルたちが到着したのはHARBT一機分格納できるほどの小さなガレージが崖下の奥に埋まっていた。周りには誰もいない、ただただどこまでも続く森林が広がっている。
(ここがさっきKが言ってた、安全な隠れ家なの?)
ミシェルは怪訝そうな表情でガレージを見つめた。確かに崖の下の死角にたってい見えにくいところには建っているが自分とビョルンと子供たちをかくまうにはいささか不備である。
「やっぱりボクたち騙されたんじゃ……」
そう思っていた時だった。
森の奥からドスンドスンとした機械音とともに地鳴りが響いてきた。もしかして敵に待ち伏せされたか!?ミシェルが子供たちを庇うようにその場に跪く。が
『ミシェル!皆無事か!?』
ミシェルが上を振り向くとそこにあったのは赤と白の美しいラインをした未完成HARBT、ビョルンの乗るアヴェンジだ。
「ビョルン!!」
アヴェンジはその場に跪くと胸のコックピットハッチが蒸気をたてながら上に開き、中からビョルンが機体から降りてきた。
「ビョルン!!!!」
ミシェルはアヴェンジから降りたビョルンに泣きながら飛びつき、ビョルンの頭を胸に抱きしめる。
「ちょっ!やめろミシェル!!苦しい!!」
「うるさい!うるさい!!ボクがどれだけ心配したと思ってるのさ!!バカ!!!」
更に抱きしめる力を強めるミシェル、がそろそろ離れろ!と無理やり離す。
「それより、もしかしてお前らもKってやつに言われてここに来たのか?」
「うん、ジープのレシーバーに通信があって、ビョルンも?」
「あぁ、俺も逃げてる最中に通信が入ってな、ていうかなんだよ!このボロガレージは!?」
ビョルンは廃屋のガレージを指さして絶句した。まさか、命からがら逃げてきたのにこんなボロ屋を捕まさせたということに対して怒りが湧き上がってきたのだ。
「おいK!!てめぇ!!騙しやがったな!!」
思わず叫ぶビョルンにアヴェンジのスピーカーから声がし出した。
『落ち着いてくださいよ、これはフェイクですよ』
「は!?フェイクだと!?ざけんな!!ボロガレージ以外何もねぇじゃねぇか!!」
「いいからシャッターを開けてみたくださよ、文句はそのあとで」
Kにそう言われて、渋々シャッター付近にある開閉スイッチに手を伸ばしボタンを押す。
シャッターが上へと徐々に上がっていき、中に現れたのは、
「何?これ?」
シャッターの中にあったのは地下へと続く巨大なトンネルであった。深さはおそらく3km以上はあるだろう。
『そこからお入りください、あっついでにその機体も一緒に持ってきてくださいね』
「機体を取るつもりか?」
『安心してください、押収したりしませんよ』
……今は信じるしかない、どのみちもう後戻りはできないのだ。
ビョルンは再びアヴェンジに乗り、ミシェルも子供達をジープに乗せてシャッター奥のトンネル内へと入っていった。
◇
ビョルン達は暗いトンネルの中をライトをつけて進んでいたもうかれこれ5時間はこのくらい中を進んだだろうか?
アヴェンジのバッテリーも残り僅か。
「おい、まだつかないのかよ」
『…………』
「けっ、都合よくダンマリかよ」
そう毒ついた矢先に、
『着きましたよ』
と、Kから到着の知らせと共に周 目の前にの照明が照らされる。目の前には巨大な鉄の扉が佇んでいた。
「これは、扉?」
「また入り口かよ、んでこの先に何があるんだよ?」
『それは秘密ですよ、サプライズがバレるとつまらないでしょ?』
「な~にが、サプライズだよ」
「まっ、とりあえず開けますね」
Kがそういうと扉は徐々に開いていく。そこには驚くべき光景が広がっていた。
「うそ!?」
「ここは……」
◇
アヴェンジを降りたビョルンの目の前に広がる光景。
扉の奥には大きな地下基地が広がっていた。数々のトレーラーに戦車に装甲車。そして数こそ少ないがレジスタンスが主に使用している機体。
マクスウェルインダストリー製HARBT、
AS-98ライノが数機。
それに何より、
「ビョルン見て!!人がいる!!」
人がいた、それも100人近い数の人が、HARBTやら装甲車などの兵器の整備をしていたのだった。
「うわぁ~、すげ~」
「秘密基地みたいでかっこいい!!」
子供達も大興奮であった。そんな時だった。
「やぁ、ビョルン君にミシェル君!!それに子供たちも!!よく来てくれたね!!」
ビョルン達の目の前に見に覚えのない自分が寄ってきた。馴れ馴れしいそうに明るく手を振る40代の中年男性だ。
「だっ、誰だよオッサン!?」
ビョルンがミシェルと子供達の前に庇うように立ち塞がるが、
「まぁそう警戒しないで、大丈夫、僕たちは君達の敵じゃないよ、まぁ、君が仲間になってくれたらだけどね」
「はぁ?それどういう」
「私はクラウス・フェイド、ここのリーダーを勤めている。そしてここは我々の拠点だ」
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