71 / 132
止められない想い
嵐の前の静けさ
しおりを挟む
そこにいたのは、やはり例のサッカー部の男の子だった。
「来たきた。そっちも1人じゃないんでしょ、烏坂さん」
「……?、僕1人ですよ?まさか、またこの近くに人が隠れてるんですか?」
僕はペラペラと嘘をつく。演技は得意だ。
「そう言って、クラスメイトに守られてるくせに」
「自分のことでクラスメイトを巻き込みたくないんです。こんなことで、なんで僕がクラスメイトを引き連れなきゃダメなんですか」
巻き込みたくないのは本当だ。結局のところ、みんなを巻き込んでしまったけど。
「はぁ、流石施設育ちだよねー。その態度も」
「要件は?夕飯の支度もあるので、あまり長くはいられません」
事実と嘘を織り交ぜて話す。こうすることで、隠された嘘を見抜くのは格段に難しくなる。
「調子乗ってるよねって話」
「?、何のことですか?」
「だから、その態度だよ!!」
その子は大声を出す。そんなことで怯む僕ではない。
「ねぇ、今からでも俺の告白に答えればさ、あの動画消してあげるよ」
「何でそんなに必死なんですか?」
「俺が!フラれたなんて、そんなのありえねぇんだよ!」
いや、自分から動画を流したのだろう。嫌なら秘密にしとけば良いのに。目先の感情に気を取られたな、馬鹿馬鹿しい。
「わかりました、答えます」
そう言うと、陰に隠れていた男の子たちはビクリと体を動かす。しかし、そっちに目線を送るとバレてしまう可能性が高い。僕は真っ直ぐその子の目を見据える。
「お!やっとわかって…」
「答えはNOです」
「………は?」
「僕が貴方の告白を了承することは、天地がひっくり返ってもありません」
そう言い切ってみせると、男の子たちはたちは小さくガッツポーズを作る。
しかし、楽しくないのは相手だ。その子は眉を吊り上げて吐き捨てるように言う。
「施設育ちが生意気なんだよ!良いのかよ!家に迷惑がかかっても!」
家、と言うのは今僕が住んでいる家のことだろう。それは、先生にも迷惑がかかると言うことだ。僕は少し目を伏せる。それに気を良くしたその子は一気に畳み掛ける。
「嫌だよな?お前、バイトしてる感じしないし、学費もその家が払ってんだろ?なんだっけ?あの人。背が大きいあの人!あの人も可哀想だよな!!」
僕はグッと眉を顰める。僕が迷惑を掛けている、それは十分承知の上だ。
だから、だからこそ、これ以上迷惑をかけるわけにはいかないのだ。
「こんな奴引き取って、きっと後悔してるぜ」
前だったらここで僕は折れていただろう。
でも、今は違う。先生は言ってくれた。この選択をして良かったと。僕と、出逢えたからと。
「なんか言ったらどうなんだよ!」
「…僕の、答えは変わりません」
もうそろそろ良いだろう。僕が足元に置いていたバッグを手に取ると、相手は慌てた様子で話す。
「お前、あの人とどう言う関係なんだよ」
「来たきた。そっちも1人じゃないんでしょ、烏坂さん」
「……?、僕1人ですよ?まさか、またこの近くに人が隠れてるんですか?」
僕はペラペラと嘘をつく。演技は得意だ。
「そう言って、クラスメイトに守られてるくせに」
「自分のことでクラスメイトを巻き込みたくないんです。こんなことで、なんで僕がクラスメイトを引き連れなきゃダメなんですか」
巻き込みたくないのは本当だ。結局のところ、みんなを巻き込んでしまったけど。
「はぁ、流石施設育ちだよねー。その態度も」
「要件は?夕飯の支度もあるので、あまり長くはいられません」
事実と嘘を織り交ぜて話す。こうすることで、隠された嘘を見抜くのは格段に難しくなる。
「調子乗ってるよねって話」
「?、何のことですか?」
「だから、その態度だよ!!」
その子は大声を出す。そんなことで怯む僕ではない。
「ねぇ、今からでも俺の告白に答えればさ、あの動画消してあげるよ」
「何でそんなに必死なんですか?」
「俺が!フラれたなんて、そんなのありえねぇんだよ!」
いや、自分から動画を流したのだろう。嫌なら秘密にしとけば良いのに。目先の感情に気を取られたな、馬鹿馬鹿しい。
「わかりました、答えます」
そう言うと、陰に隠れていた男の子たちはビクリと体を動かす。しかし、そっちに目線を送るとバレてしまう可能性が高い。僕は真っ直ぐその子の目を見据える。
「お!やっとわかって…」
「答えはNOです」
「………は?」
「僕が貴方の告白を了承することは、天地がひっくり返ってもありません」
そう言い切ってみせると、男の子たちはたちは小さくガッツポーズを作る。
しかし、楽しくないのは相手だ。その子は眉を吊り上げて吐き捨てるように言う。
「施設育ちが生意気なんだよ!良いのかよ!家に迷惑がかかっても!」
家、と言うのは今僕が住んでいる家のことだろう。それは、先生にも迷惑がかかると言うことだ。僕は少し目を伏せる。それに気を良くしたその子は一気に畳み掛ける。
「嫌だよな?お前、バイトしてる感じしないし、学費もその家が払ってんだろ?なんだっけ?あの人。背が大きいあの人!あの人も可哀想だよな!!」
僕はグッと眉を顰める。僕が迷惑を掛けている、それは十分承知の上だ。
だから、だからこそ、これ以上迷惑をかけるわけにはいかないのだ。
「こんな奴引き取って、きっと後悔してるぜ」
前だったらここで僕は折れていただろう。
でも、今は違う。先生は言ってくれた。この選択をして良かったと。僕と、出逢えたからと。
「なんか言ったらどうなんだよ!」
「…僕の、答えは変わりません」
もうそろそろ良いだろう。僕が足元に置いていたバッグを手に取ると、相手は慌てた様子で話す。
「お前、あの人とどう言う関係なんだよ」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
粗暴で優しい幼馴染彼氏はおっとり系彼女を好きすぎる
春音優月
恋愛
おっとりふわふわ大学生の一色のどかは、中学生の時から付き合っている幼馴染彼氏の黒瀬逸希と同棲中。態度や口は荒っぽい逸希だけど、のどかへの愛は大きすぎるほど。
幸せいっぱいなはずなのに、逸希から一度も「好き」と言われてないことに気がついてしまって……?
幼馴染大学生の糖度高めなショートストーリー。
2024.03.06
イラスト:雪緒さま
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる