38 / 132
自覚
ヒーロー
しおりを挟む
まだまだ暑さが続く9月。
僕は彩葉ともう1人の女の子と一緒に家に帰っていた。
彩葉はいつも伊集院君と帰っているのだが、今日は伊集院の委員会が遅くなると言うことで1人らしい。
もう1人の子は、僕もたまに一緒に帰る仲のいい女の子だ。
いつもと同じ道を歩いていく。途中まで一緒なので、それまで学校のことなど色々な話をする。
話していたら、グループでいる若い男の人たちに話しかけられた。歳は20代くらいだろうか。明らかにガラの悪そうな人達だ。
「ちょっといい?」
「は、はい?何ですか?」
彩葉たちは少し怖がっているため、僕が受け答えする。
「この財布、さっきここを通った子が落としてさ、同じ制服だったから」
「そ、そうだったんですね」
「うん、だからさ、学校持っててその子に渡してくれない?面識なくても先生とかに言えばいけるっしょ」
「わかりました。ありがとうございます」
何だそういうことか。僕はその財布を受け取ろうとすると、グイッと腕を引っ張られた。
「なっ…!」
そのまま路地裏に引き込まれる。彩葉たちは僕を追いかけようとするが、周りにいた男性の仲間たちに捕まえられる。
「夕!」
「彩葉、こっちに構わないで!早く逃げて!」
「誰も逃げられねぇよっ!」
そう言われて僕はダンと背中を壁に打ち付けられる。痛い、痛いが何とかしないと。
僕は腕を握っている指一本を取って、そのまま指の関節の可動域とは逆方向に思いっきり曲げた。その人は悲鳴をあげる。
「痛ってええええ!!!お前…!!」
その声に驚いた仲間たちは彩葉たちを押さえる力が弱まる。その間に彩葉たちは何とか抜け出す。
「早く逃げて!!!」
彩葉たちは少し狼狽えてから路地から抜け出した。それを見た僕は安堵する。
しかしまだ問題は終わっていない。
「このガキが!!お前らそっちはもういい!コイツだ!!コイツだけは…!!」
仲間2、3人に体を押さえつけられ、身動きが取れない。体を浮かせられ、ローファーが脱げる。地に足が付かない。バタバタと足を動かすが、そんなの相手にとっては無駄な抵抗でしかない。
「はは、お前みたいな自己犠牲する正義感溢れるガキ、俺は好きだぜ」
ニタニタと笑うその笑顔に怖気がする。
その人は僕の体を服の上から触る。
「ひっ」
気持ち悪い、気持ち悪い!僕は短い悲鳴をあげる。それを聞いたその人は余計に気分を良くした。
「そんなんだからこんな酷い目に遭うんだよ。友達なんか見捨てりゃいいのに。お前1人だけだったら逃げられてたぜ?」
五月蝿い五月蝿い。僕にとって彩葉たちは、初めてできた友達で、何としてでも守るべき存在なんだ。ずっと笑顔でいてほしいから。お前らなんかには分からない、分かるはずがない。
そう思っている間にも、手は段々と際どい場所を触っていく。
スカートの金具を外され、ファスナーをジリジリとゆっくり下される。
ゆるくなったスカートは、ずるりと僕の足に引っかかる。
「チッ。スパッツ履いてんのかよ」
僕はセーラー服の下にインナーとスパッツを着ている。
しかしスカートが下がり、インナーの裾が見えると、そこから中に手を入れられる。
「や、やだ!嫌っ!」
ざらりとその人の手の感触が伝わってくる。僕は生理的な涙を浮かべるが、それはその人の加虐心を余計に煽るだけだ。
「やっば、、、」
下着のホックをパチンと外され、それはただ肩に掛かっているだけの物になる。スパッツにも手をかけられ、必死に抵抗しようとするが、それも叶わない。堪えきれない涙がボロボロと流れる。泣いても、何も無いのに。何にもならないのに。ただコイツをいい気にさせるだけなのに。
分かっているのに涙が止まらない。怖い、怖い。オープンキャンパスで体験したアレとは違う。本当に乱暴されてしまうのだ。
嫌だ、嫌だ。そう思っても現実は非情だ。
目の前の人は自分ベルトをするりと引き抜く。
後ろの人から首筋を舐められ、舌の生暖かくヌメッた感触が伝う。
僕は短い悲鳴をあげて泣くことしか出来ない。
「ぅ、あぁ、せ、、せんせ、」
「先生?」
呼んでもこないのに。僕はまだあの時のようなことを期待している。馬鹿だなぁ、僕。でも、彩葉達がこんな目に遭うなんて、僕は耐えられない。
「ハッ。恐怖で何言ってんかわかんねぇな」
僕の目から光が消えたとき、急に仲間の1人が声をあげて倒れる。
「はっ!?」
みんなが驚いてそっちを見る。僕は力無く目線だけを動かす。
そこには無表情で立っている先生がいた。
僕は彩葉ともう1人の女の子と一緒に家に帰っていた。
彩葉はいつも伊集院君と帰っているのだが、今日は伊集院の委員会が遅くなると言うことで1人らしい。
もう1人の子は、僕もたまに一緒に帰る仲のいい女の子だ。
いつもと同じ道を歩いていく。途中まで一緒なので、それまで学校のことなど色々な話をする。
話していたら、グループでいる若い男の人たちに話しかけられた。歳は20代くらいだろうか。明らかにガラの悪そうな人達だ。
「ちょっといい?」
「は、はい?何ですか?」
彩葉たちは少し怖がっているため、僕が受け答えする。
「この財布、さっきここを通った子が落としてさ、同じ制服だったから」
「そ、そうだったんですね」
「うん、だからさ、学校持っててその子に渡してくれない?面識なくても先生とかに言えばいけるっしょ」
「わかりました。ありがとうございます」
何だそういうことか。僕はその財布を受け取ろうとすると、グイッと腕を引っ張られた。
「なっ…!」
そのまま路地裏に引き込まれる。彩葉たちは僕を追いかけようとするが、周りにいた男性の仲間たちに捕まえられる。
「夕!」
「彩葉、こっちに構わないで!早く逃げて!」
「誰も逃げられねぇよっ!」
そう言われて僕はダンと背中を壁に打ち付けられる。痛い、痛いが何とかしないと。
僕は腕を握っている指一本を取って、そのまま指の関節の可動域とは逆方向に思いっきり曲げた。その人は悲鳴をあげる。
「痛ってええええ!!!お前…!!」
その声に驚いた仲間たちは彩葉たちを押さえる力が弱まる。その間に彩葉たちは何とか抜け出す。
「早く逃げて!!!」
彩葉たちは少し狼狽えてから路地から抜け出した。それを見た僕は安堵する。
しかしまだ問題は終わっていない。
「このガキが!!お前らそっちはもういい!コイツだ!!コイツだけは…!!」
仲間2、3人に体を押さえつけられ、身動きが取れない。体を浮かせられ、ローファーが脱げる。地に足が付かない。バタバタと足を動かすが、そんなの相手にとっては無駄な抵抗でしかない。
「はは、お前みたいな自己犠牲する正義感溢れるガキ、俺は好きだぜ」
ニタニタと笑うその笑顔に怖気がする。
その人は僕の体を服の上から触る。
「ひっ」
気持ち悪い、気持ち悪い!僕は短い悲鳴をあげる。それを聞いたその人は余計に気分を良くした。
「そんなんだからこんな酷い目に遭うんだよ。友達なんか見捨てりゃいいのに。お前1人だけだったら逃げられてたぜ?」
五月蝿い五月蝿い。僕にとって彩葉たちは、初めてできた友達で、何としてでも守るべき存在なんだ。ずっと笑顔でいてほしいから。お前らなんかには分からない、分かるはずがない。
そう思っている間にも、手は段々と際どい場所を触っていく。
スカートの金具を外され、ファスナーをジリジリとゆっくり下される。
ゆるくなったスカートは、ずるりと僕の足に引っかかる。
「チッ。スパッツ履いてんのかよ」
僕はセーラー服の下にインナーとスパッツを着ている。
しかしスカートが下がり、インナーの裾が見えると、そこから中に手を入れられる。
「や、やだ!嫌っ!」
ざらりとその人の手の感触が伝わってくる。僕は生理的な涙を浮かべるが、それはその人の加虐心を余計に煽るだけだ。
「やっば、、、」
下着のホックをパチンと外され、それはただ肩に掛かっているだけの物になる。スパッツにも手をかけられ、必死に抵抗しようとするが、それも叶わない。堪えきれない涙がボロボロと流れる。泣いても、何も無いのに。何にもならないのに。ただコイツをいい気にさせるだけなのに。
分かっているのに涙が止まらない。怖い、怖い。オープンキャンパスで体験したアレとは違う。本当に乱暴されてしまうのだ。
嫌だ、嫌だ。そう思っても現実は非情だ。
目の前の人は自分ベルトをするりと引き抜く。
後ろの人から首筋を舐められ、舌の生暖かくヌメッた感触が伝う。
僕は短い悲鳴をあげて泣くことしか出来ない。
「ぅ、あぁ、せ、、せんせ、」
「先生?」
呼んでもこないのに。僕はまだあの時のようなことを期待している。馬鹿だなぁ、僕。でも、彩葉達がこんな目に遭うなんて、僕は耐えられない。
「ハッ。恐怖で何言ってんかわかんねぇな」
僕の目から光が消えたとき、急に仲間の1人が声をあげて倒れる。
「はっ!?」
みんなが驚いてそっちを見る。僕は力無く目線だけを動かす。
そこには無表情で立っている先生がいた。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑
岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。
もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。
本編終了しました。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる