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元・宿屋の娘は推しカプを守りたい
4 まさかの5人目
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ナユユちゃんがテオさんへのつきまとい(ってラスターさんが言っていた)を始めてから5日。
今日ナユユちゃんが声をかけてきたのはテオさんではなく私だった。
「マリアお姉様、でよろしかったかしら?」
お 姉 様 !
わざわざ駆け寄ってきてからの上目遣い、そして『お姉様』呼びのコンボが決まった私は膝から崩れ落ち……るのはなんとか堪えて、かわりに撃ち抜かれた胸を押さえた。
「ど、どうなさったの?」
ああ、驚かないでください!ちょっときゅんときただけなので!
「大丈夫です!私に何か用があったんですよね?どうなさったのですか?」
動悸を抑えて聞き返すと、ナユユちゃんはしゅんとした表情で行った。
「わたくし、社会勉強として冒険者体験をする予定だったのですが、一緒に行動してくださる方がまだ決まっておりませんの。わたくしとしては上級冒険者が3人もいらっしゃるマリア様のパーティーに同行をお願いしたいのですが、パーティーメンバー全員の了承が必要だと聞きまして……。マリアお姉様からも皆様にお願いしては頂けないでしょうか?」
目をうるうるさせながら言うナユユちゃん。
できれば望みを叶えてあげたいのだけれど、私にお願いすると言うことはテオさんには断られた可能性がある。
「ナユユ様。一つだけ教えていただきたいのですが、他のメンバーの誰かに断られたりしましたか?」
「テオ様とラスター様にも言ったのですが、危険だと言って聞いて下さらなかったの!」
おや、ラスターさんにも断られていましたか。
「そうですか。それでは私一人で判断することはできませんね、申し訳ありません」
「そんな……!」
今にも泣き出しそうになるナユユちゃんに、慌てて視線の高さを合わせる。
「あぁああ、落ち着いてください、私たちは本当に、ナユユ様を危険な目に遭わせたくないだけなんです……」
「でもわたくし、魔法は得意ですのよ!それに上級冒険者の皆様だったら魔物なんて簡単に倒してしまわれるのでしょう?」
目に涙を溜めてこちらを見つめるナユユちゃん。ものすごく願いを叶えてあげたいけど、皆は納得しないだろうし……ああっ、でも説得してでも願いを叶えてあげたい!
いや、上級冒険者も多くはないんだから危険なクエストは避けられないし……ああっ、でも身を挺して守ってでも願いを叶えてあげたい!
あれ?なんだかナユユちゃんを喜ばせたい気持ちでいっぱいになってきた……
「「え?」」
「は?」
「だから、ナユユちゃんをパーティーに入れてあげましょう?あんなに一生懸命なんですし……」
その日の夜、私は必死でパーティーメンバーを説得して、ナユユちゃんは5人目のメンバーになった。
ああ、大丈夫ですよ。リリーの応援をやめたってわけではないんです!ただ、ナユユちゃんが喜ぶ顔を見たいと思っただけなんです!
今日ナユユちゃんが声をかけてきたのはテオさんではなく私だった。
「マリアお姉様、でよろしかったかしら?」
お 姉 様 !
わざわざ駆け寄ってきてからの上目遣い、そして『お姉様』呼びのコンボが決まった私は膝から崩れ落ち……るのはなんとか堪えて、かわりに撃ち抜かれた胸を押さえた。
「ど、どうなさったの?」
ああ、驚かないでください!ちょっときゅんときただけなので!
「大丈夫です!私に何か用があったんですよね?どうなさったのですか?」
動悸を抑えて聞き返すと、ナユユちゃんはしゅんとした表情で行った。
「わたくし、社会勉強として冒険者体験をする予定だったのですが、一緒に行動してくださる方がまだ決まっておりませんの。わたくしとしては上級冒険者が3人もいらっしゃるマリア様のパーティーに同行をお願いしたいのですが、パーティーメンバー全員の了承が必要だと聞きまして……。マリアお姉様からも皆様にお願いしては頂けないでしょうか?」
目をうるうるさせながら言うナユユちゃん。
できれば望みを叶えてあげたいのだけれど、私にお願いすると言うことはテオさんには断られた可能性がある。
「ナユユ様。一つだけ教えていただきたいのですが、他のメンバーの誰かに断られたりしましたか?」
「テオ様とラスター様にも言ったのですが、危険だと言って聞いて下さらなかったの!」
おや、ラスターさんにも断られていましたか。
「そうですか。それでは私一人で判断することはできませんね、申し訳ありません」
「そんな……!」
今にも泣き出しそうになるナユユちゃんに、慌てて視線の高さを合わせる。
「あぁああ、落ち着いてください、私たちは本当に、ナユユ様を危険な目に遭わせたくないだけなんです……」
「でもわたくし、魔法は得意ですのよ!それに上級冒険者の皆様だったら魔物なんて簡単に倒してしまわれるのでしょう?」
目に涙を溜めてこちらを見つめるナユユちゃん。ものすごく願いを叶えてあげたいけど、皆は納得しないだろうし……ああっ、でも説得してでも願いを叶えてあげたい!
いや、上級冒険者も多くはないんだから危険なクエストは避けられないし……ああっ、でも身を挺して守ってでも願いを叶えてあげたい!
あれ?なんだかナユユちゃんを喜ばせたい気持ちでいっぱいになってきた……
「「え?」」
「は?」
「だから、ナユユちゃんをパーティーに入れてあげましょう?あんなに一生懸命なんですし……」
その日の夜、私は必死でパーティーメンバーを説得して、ナユユちゃんは5人目のメンバーになった。
ああ、大丈夫ですよ。リリーの応援をやめたってわけではないんです!ただ、ナユユちゃんが喜ぶ顔を見たいと思っただけなんです!
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