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国軍尉官期
2 決闘です
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豪ノ国の国軍には『国軍四隊』と呼ばれる主要な部隊がある。
式典などでは『赤獅子(アカシシ)隊』
国防や治安維持は『黄虎(キトラ)隊』
討伐や遠征などは『青狼(セイロウ)隊』
情報収集などは『黒烏(コクウ)隊』
というように職務の内容で分かれているのだ。
私が所属する『赤獅子隊』は式典での警備や要人の護衛を担っているため、礼儀作法や見た目も重要視される。そして女性の要人の護衛は女性兵士がするのが普通なのだが、女性兵士は少ないのでほとんどがここに入れられるのだ。
例外があるとすれば隠密部隊でもある『黒烏隊』で、残りの二部隊は完全な男所帯。
新兵が入隊するとしたら『赤獅子隊』か『黄虎隊』だが、ほとんどは無所属で訓練中心の生活を送ることになる。
入隊式の次の日。訓練場の廊下を歩いていると、周囲からひそひそと話す声が聞こえた。
「あれがいきなり尉官になったっていうガキなんだって?」
「あんな細いなりして、上官に色目でも使ったんだろう」
「色目ぇ?少年趣味の上官でもいたのか?」
「いや、あいつああ見えて女なんだと」
「まったく、軍も落ちたもんだな」
予想はしていたけど、酷い言われようだ。見たところ、入隊式で同期の席にいた人たちだ。
まあ、このくらいはっきりと敵意を見せられた方がやりやすくはなるのだが。
私は立ち止まり、陰口をたたく一団の方を向いた。
「下官が上官への態度も知らないなんて国軍も落ちたものですね。ああ、まだ新兵だから仕方がありませんか」
「なっ、なんだと!?」
「私の実力が信用ならないならどうぞ、剣を取ってください。いくらでも受けて立ちます」
私の言葉に周囲がざわめく。
その中で前に出てきたのはがっしりとした体格の兵士だった。
「分かった。俺が相手になろう」
「おお、コックスだ!」
誰かがそう言って、どこかで聞いたことがあると思ったら同期で実技試験1位の人だったらしい。
ちなみに私は特別枠みたいなものなので試験は受けていない。
「分かりました。では審判は……」
「私がしよう」
その声が響いてすぐ、ざわざわしていた周囲が静まりかえる。
その原因は青い長髪を軽く束ねた冷たい美貌の男性、ルーカス・シュナイダーだった。
25歳で中将にまで上り詰める天才で、23歳の今でも既に少将だ。そして戦闘のエキスパート集団『青狼隊』の現副隊長でもある。
もうお分かりかとは思うが『ホリヴァル』の攻略対象の一人だ。
「お初にお目に掛かります、シュナイダー少将。私はこのたび少尉に任命されましたレミーと申します」
私の挨拶を無表情で受け取るルーカス。
周りの新兵達は無視されていると思ってニヤニヤと笑っているが、私は知っている。これは文句がないときの表情だということを。
気に入らなかったらこんなことではすまない。ブリザードを背負うことになるのだから。
「私事での決闘にもかかわらず審判をしていただけるとは、願ってもいないことです。感謝します。そしてよろしくお願い申し上げます」
「……ああ」
私が動じることなく笑顔で言い放ったら、ルーカスは分かりにくいくらい小さく目を見開く。
よし、これで公平な審判を確保することができた。
式典などでは『赤獅子(アカシシ)隊』
国防や治安維持は『黄虎(キトラ)隊』
討伐や遠征などは『青狼(セイロウ)隊』
情報収集などは『黒烏(コクウ)隊』
というように職務の内容で分かれているのだ。
私が所属する『赤獅子隊』は式典での警備や要人の護衛を担っているため、礼儀作法や見た目も重要視される。そして女性の要人の護衛は女性兵士がするのが普通なのだが、女性兵士は少ないのでほとんどがここに入れられるのだ。
例外があるとすれば隠密部隊でもある『黒烏隊』で、残りの二部隊は完全な男所帯。
新兵が入隊するとしたら『赤獅子隊』か『黄虎隊』だが、ほとんどは無所属で訓練中心の生活を送ることになる。
入隊式の次の日。訓練場の廊下を歩いていると、周囲からひそひそと話す声が聞こえた。
「あれがいきなり尉官になったっていうガキなんだって?」
「あんな細いなりして、上官に色目でも使ったんだろう」
「色目ぇ?少年趣味の上官でもいたのか?」
「いや、あいつああ見えて女なんだと」
「まったく、軍も落ちたもんだな」
予想はしていたけど、酷い言われようだ。見たところ、入隊式で同期の席にいた人たちだ。
まあ、このくらいはっきりと敵意を見せられた方がやりやすくはなるのだが。
私は立ち止まり、陰口をたたく一団の方を向いた。
「下官が上官への態度も知らないなんて国軍も落ちたものですね。ああ、まだ新兵だから仕方がありませんか」
「なっ、なんだと!?」
「私の実力が信用ならないならどうぞ、剣を取ってください。いくらでも受けて立ちます」
私の言葉に周囲がざわめく。
その中で前に出てきたのはがっしりとした体格の兵士だった。
「分かった。俺が相手になろう」
「おお、コックスだ!」
誰かがそう言って、どこかで聞いたことがあると思ったら同期で実技試験1位の人だったらしい。
ちなみに私は特別枠みたいなものなので試験は受けていない。
「分かりました。では審判は……」
「私がしよう」
その声が響いてすぐ、ざわざわしていた周囲が静まりかえる。
その原因は青い長髪を軽く束ねた冷たい美貌の男性、ルーカス・シュナイダーだった。
25歳で中将にまで上り詰める天才で、23歳の今でも既に少将だ。そして戦闘のエキスパート集団『青狼隊』の現副隊長でもある。
もうお分かりかとは思うが『ホリヴァル』の攻略対象の一人だ。
「お初にお目に掛かります、シュナイダー少将。私はこのたび少尉に任命されましたレミーと申します」
私の挨拶を無表情で受け取るルーカス。
周りの新兵達は無視されていると思ってニヤニヤと笑っているが、私は知っている。これは文句がないときの表情だということを。
気に入らなかったらこんなことではすまない。ブリザードを背負うことになるのだから。
「私事での決闘にもかかわらず審判をしていただけるとは、願ってもいないことです。感謝します。そしてよろしくお願い申し上げます」
「……ああ」
私が動じることなく笑顔で言い放ったら、ルーカスは分かりにくいくらい小さく目を見開く。
よし、これで公平な審判を確保することができた。
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