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国軍尉官期
1 尉官就任は突然です
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15歳になる年の始め、私に手紙が届いた。
それは国軍大将、オリバー・ロペスからの招待状で、読んだらすぐに招待状を持って国軍の本部に来るようにとのお達しだった。
師匠に話したら「おー行ってこい」とだけ言われたので、自分が持っている中で一番上等な服に着替えて傭兵団の基地を出た。
基地から国軍本部までは遠くはない。
どちらも同じ町にあるので、町内転移ゲートや乗り合いバスで行けばすぐだし、普通に歩いて行ける距離だ。
今回はすぐに来るようにとのことだったので、飛行魔法で行くことにする。
「失礼します」
受付で招待状を見せると待たされることなくある部屋の前に案内された。
ノックをして木製の重厚なドアを開けると、そこには手紙をよこした本人がいた。さすがは国軍大将。師匠とはまた違った威圧感がある。
「初めてお目に掛かります。レミーと申します」
私が頭を下げると、ロペス大将は頷いた。
「よく来たな。とりあえず座ってくれ」
談話室のような部屋で、ロペス大将の向かいに座る。
「まず、君が呼ばれた理由は分かっているか?」
「いえ。急に呼び出されて訳も分かっていません」
「ギャヴィンのやつに何か言われてないのか?」
「招待状を見せたら、行ってこいとだけ言われました」
「あいつ……!!」
ロペス大将は頭を抱えてうなり声を上げている。
うん。今ので2人がどういう関係なのか、大体想像が付いた。
「うちの師匠が申し訳ありません」
「いや、悪いのはあいつだ」
謝ると、鷹揚に手を振って返される。
「気を取り戻して説明といこう。今回はギャヴィンからの推薦を受けて、面接をするために呼んだわけだ」
「面接ですか?」
「ああ。君の実力はギャヴィンから聞いている。あいつの腕と目だけは信用できるから、君は即戦力になるだろう。尉官、おそらく少尉になることは確定だが、意思の確認として形だけでも面接が必要なのだ」
「ええと、それはつまり、ここで面接をするだけで官位持ちにしていただけると……」
「そういうことだ」
なんということでしょう。
確かに、軍に入隊できる最低年齢は15歳だ。
だから入隊試験は受けるつもりだったのだが、まさか師匠から推薦があったとは……
というか師匠は国軍大将とも仲が良かったのか。驚きの人脈だ。
「わ、分かりました。よろしくお願いいたします」
「ああ。それでは面接を始める」
「はい」
短い面接を終えて傭兵団の基地に帰り、師匠を問い詰めたり親しい団員に軍に入隊するかもしれないことを話したりして、数日後には少尉任命書と軍服、入隊の案内などが届けられた。
実は私以外の団員は師匠が私を軍に推薦したらしいと知っていたようで、全く驚かれることはなく、国軍隊舎への移動は思いの外早く終わったのだった。
それは国軍大将、オリバー・ロペスからの招待状で、読んだらすぐに招待状を持って国軍の本部に来るようにとのお達しだった。
師匠に話したら「おー行ってこい」とだけ言われたので、自分が持っている中で一番上等な服に着替えて傭兵団の基地を出た。
基地から国軍本部までは遠くはない。
どちらも同じ町にあるので、町内転移ゲートや乗り合いバスで行けばすぐだし、普通に歩いて行ける距離だ。
今回はすぐに来るようにとのことだったので、飛行魔法で行くことにする。
「失礼します」
受付で招待状を見せると待たされることなくある部屋の前に案内された。
ノックをして木製の重厚なドアを開けると、そこには手紙をよこした本人がいた。さすがは国軍大将。師匠とはまた違った威圧感がある。
「初めてお目に掛かります。レミーと申します」
私が頭を下げると、ロペス大将は頷いた。
「よく来たな。とりあえず座ってくれ」
談話室のような部屋で、ロペス大将の向かいに座る。
「まず、君が呼ばれた理由は分かっているか?」
「いえ。急に呼び出されて訳も分かっていません」
「ギャヴィンのやつに何か言われてないのか?」
「招待状を見せたら、行ってこいとだけ言われました」
「あいつ……!!」
ロペス大将は頭を抱えてうなり声を上げている。
うん。今ので2人がどういう関係なのか、大体想像が付いた。
「うちの師匠が申し訳ありません」
「いや、悪いのはあいつだ」
謝ると、鷹揚に手を振って返される。
「気を取り戻して説明といこう。今回はギャヴィンからの推薦を受けて、面接をするために呼んだわけだ」
「面接ですか?」
「ああ。君の実力はギャヴィンから聞いている。あいつの腕と目だけは信用できるから、君は即戦力になるだろう。尉官、おそらく少尉になることは確定だが、意思の確認として形だけでも面接が必要なのだ」
「ええと、それはつまり、ここで面接をするだけで官位持ちにしていただけると……」
「そういうことだ」
なんということでしょう。
確かに、軍に入隊できる最低年齢は15歳だ。
だから入隊試験は受けるつもりだったのだが、まさか師匠から推薦があったとは……
というか師匠は国軍大将とも仲が良かったのか。驚きの人脈だ。
「わ、分かりました。よろしくお願いいたします」
「ああ。それでは面接を始める」
「はい」
短い面接を終えて傭兵団の基地に帰り、師匠を問い詰めたり親しい団員に軍に入隊するかもしれないことを話したりして、数日後には少尉任命書と軍服、入隊の案内などが届けられた。
実は私以外の団員は師匠が私を軍に推薦したらしいと知っていたようで、全く驚かれることはなく、国軍隊舎への移動は思いの外早く終わったのだった。
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