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アンリの九番目の物語
しおりを挟むばひゅうん。
髪の毛をかすめる鉛の一撃。
「ヘイ! 動くな宝石泥棒!」
ナイトキャップにパジャマの知事閣下が
水平二連のライフルを構えて見上げている。
あいつ「マオトコメッケタ」とは言わなかった
……………………
「宝石ドロボー」と
そう言ったんだ
「憎い………憎いぜ………………!」
安物の短銃を撃ち返す。憎しみをこめて。
知事閣下のライフルはこの悪趣味な館を穿ち傷つけるけど
そんなことを心配するようなやつじゃない。
撃ちまくれ! 撃ちまくれ!
ところで知事閣下は
全国狩猟大会
第一位の腕前でいらっしゃる
熊をも倒す凶悪な弾丸がぼくの頭を
どれだけ砕いたのかをぼくは知らない
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