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プロローグ
恐怖!猟奇のカニバ男!
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ガタンゴトン。
規則的な振動で目を覚ます。
寝覚めは最悪だった。酷い夢を見た。心なしか頭も痛い。
唸りながら目を瞬かせれば、幾分か視界も晴れてくる。どうやら俺は列車に乗っているようだった。
がらんどうの車内には、色とりどりの花々が敷き詰められて、花畑みたいになっていた。けれども人っ子一人もいないものだから、俺以外の乗客全員が花に変わってしまったような、ホラーな想像をしてしまう。
ただ全開の窓から、絶えず花束が投げ込まれているので、そんなはずはないと分かってはいるのだけど。
視界の端をポイポイと過ぎる、黄色やら白やらのカラフルな花弁。それを横目に上躯を起こせば、図ったように電車が減速する。やがて止まった車内には、「終点~~」と言う男の陰気なアナウンスが流れた。
はて、環状線に終点とはこれいかに。困った、田端駅まで来てしまったのか。
後頭部を掻きながら車内からホームへと降り立って。
…………これ、山手線じゃねえな。
理解した瞬間、俺は膝から崩れ落ちていた。
***
皆様は一部界隈を席巻した、『魔道学園』と言うタイトルをご存知だろうか。あえて注釈を加えるならば、一部界隈とは腐女子界隈であり、それはBLゲームである。
舞台は、魔法が存在する世界の魔法学校。主人公♂となったプレイヤーは、編入生として自身の魔法の腕(プレイヤーレベル)を上げつつ、学園で出会うメインキャラクターたちとの親睦を深めることとなる。
キャラクターの好感度が1人でも上限に達するとゲームクリアだが、これまで選んできた選択肢や自身のプレイヤーレベルによって、結末が分岐する。
エンディングは全45種。重厚な分岐シナリオに、魅力的なキャラクター。全てが同人ゲームとは思えぬほどの高水準であると専らの評判だった。
そして、列車を降りた先は、そのゲームの世界だった。
歴戦のオタク俺の脳裏に、『トラ転』の一文字が過ぎる。けれども困ったことに、自分の死どころかここにくる直前の記憶まで、全くと言っていいほどに思い出せない。
困った。困ったけれども、当初俺は事態をそこまで深刻に見ていなかった。
理由はいくつかある。
ひとつは、身体的特徴も、自認も、俺の知る俺だったから。
色素の薄い直毛に、眠そうな目。かろうじて成人男性の平均身長に滑り込んだだけの、棒切れみたいな貧相な体躯。
パッケージから中身まで浅葱圭一。鏡を覗けば常に見知った顔がいるのは、かなり心強い。
そして何より、俺がオタクであった。
取り返しのつかない腐男子である。そんな俺にとって、この世界はかなりパラダイスだった。理想の美丈夫達のイチャイチャを間近で拝むことができる。プラマイで言ったらギリギリプラに傾くくらいだった。
けれども。
「えん…えん……許して……もうゆるして……」
けれどもである。
「もう身体中痛いよう……血の気が多すぎるよう……どうしておれがこんな目に……」
濡羽色の細い髪に、泣き黒子が特徴的な二重幅の広い瞳。アンバーの瞳が瞬くたびに、睫毛をしならせては涙が零れ落ちる。
三角座りでさめざめと泣く青年に、俺の心はいたたまれなさでミシミシ音を立てていた。
「なんか……ごめんね……」
おもむろに肩に手を置いた俺に、青年は邪気のない目で首を傾げた。
先刻述べた通り、『魔導学園』とはシナリオキャラ造形、全てにおいて高い評価を得ている。
しかし、このゲームの本懐であるとは言い難い。
このゲームの一番の売りとは、『内容の過激さ』だった。
監禁調教洗脳凌辱死亡は序の口、カニバリズムやら石化、無理心中、近親相姦に寝取りもなんでもござれな性癖闇鍋。登場人物の精神が、余すことなく病んでいる。案の定レビュー欄には、『右足が吹っ飛んだ』から始まり、『呪いあれ』で終わる、地雷を踏んでしまった被害者たちの呪詛が並んだ。
けれどもその振り切れた内容が、性癖が拗れたオタクやらゲーマーに刺さった。ちょっと引くくらい刺さった。
結果、『魔導学園』は、若干の炎を帯びながら界隈の名作ゲームに名を連ねた。
では、例えば、どうだろう。俺がモブとしてではなく、主人公として生まれ変わってしまっていたならば。
そんなん、確実に2日で首くくる。
このゲームの主人公はそれだけの非道い目に合う。
故に、眼前の──この、『主人公』になってしまった青年とは、今日までよく耐え抜いたと賞賛されて然るべきだろう。
半泣きで医務室に転がり込んできた青年は、俺こと医務室の妖精が差し出したココアをすすりながら、ぽつぽつと言葉を継いだ。
元々は俺と同じ世界に生きていた事。東京生まれ東京育ち、25歳にして東京に没す。死んで目覚めるとこの世界におり、それから約2カ月間、やたら顔の良い同性に追い回されては酷い目にあってきた。
そして俺は、この青年が襲われる様を、大喜びで鑑賞する側の人間だった。
麗しい男同士の絡みは願ってもないことだが、それは、『人様に迷惑をかけない』という大前提があってこそだ。人の権利を侵しながら啜るBLなぞ、美味くも何とも無いのだ。
罪悪感にマ゛ュ…!と顏をゆがめる俺の隣で、青年はココアをチビチビ飲みながら、「おいしい!おいしい!」と泣いていた。
「人に手渡された物には、もれなく異物が混入していたから………」
かわいそうがすぎる。
「あなたは、なんだか信頼できる方ですね」
「え、えへえへ、そう?」
「ええ、何というか、平凡な顔をしていて………」
「………」
無理もない。この世界における美形とはもれなく異常者である。
とはいえ普通に腹が立ったので、青年の為に沸かしたおかわりココアを一気に飲み干してやる。悲しそうな顔をする青年。溜飲が下がった。
青年の足首に巻いた包帯の上から、治癒魔法の紋を刻みながら、「もしかしたら」と切り出す。
「少しなら君の役に立てるかもしれない。ええと──」
「狩野。狩野幸人(かのう ゆきと)」
「そう、狩野くん」
「?それって──」
首を傾げた青年──狩野は、不意に言葉を呑む。
言葉を呑み、その代わりに、ヒュ、と喉から不自然な音を鳴らした。
その相貌は蒼白で、肩を抱いたかと思えは、ついに小刻みに震え始めてしまって。
明らかに尋常ではない様子に、さすがの俺も心配になって来る。
「来る」
「か、狩野くん?」
刹那。
ぬっと伸びてきた大きな掌が、俺の口を塞ぐ。およそ人間離れした力で俺を押さえつけながら、狩野は唇を震わせた。
「……だめだ、喋ったら」
「?」
「見つかっちゃう!見つかって、引き摺られて!また、食べられちゃう!」
上擦った声は、心底怯えていた。どうか落ち着いて、あなたの声が一番大きいよ、とか言える雰囲気ではないので、言われるがまま息を殺す。
静まり返った医務室を、張りつめた沈黙が支配する。掛け時計の秒針の音が、やけに大きく響き渡っていて。
「ユキト~」
そんな間延びした声が、廊下の向こうから聞こえて来る。悠然と等間隔に近づいてくる足音に、蒼白の相貌が、石膏像みたいに硬直する。
そのままひび割れてしまいそうなほどの絶望感が、ひしひしと伝わってくる。
「ユキト~どこ~~」
「出ておいでよ~怖くないからさぁ~」
「もう齧ったりしないからさぁ~悪かったってば~~もうほんと、全面的に俺が悪………」
「………………………いや、ユキトがおいしそうなのも悪くない?」
流れ変わったな。
間延びした声音は、近づいて来るごとに雲行きが怪しくなっていく。声音から識別することはできないが、その言葉の内容から、俺は男の正体を確信していた。
人に齧りつくとかいう異常行動。流れるような他責思考。
「ぼ、『暴食のグラトニー』だ!」
「『暴食のグラトニー』!?」
俺の叫びを復唱する狩野。「何それリングネーム!?」という困惑の声を無視して、俺は真っ直ぐに教員机へと向かう。
「な、なにしてるの?!………わー!勝手に開けちゃダメだよぅ!」
無造作に引き出しを開け始めた俺の奇行に、狩野は仰け反った。
「あれぇ~こっちからユキトのにおいがするよォ~~ここかな~?」
そして、どこかヒステリックな男の声。聞きつけてくるのではなく、においを嗅ぎつけてくるあたりが非常に気持ち悪い。
ドアを開け閉めするような、バタン!という音が立て続けに響く。どうやら教室の扉を、片端から開閉して行っているらしい。
狩野は、最早いつ吐いてもおかしくない顔色のまま、手で口を覆っていた。
迫る足音。
徐々に大きくなってくるヒステリックな声。
せかされるように1段目の引き出しを漁って。目当ての物を見つけると同時に、俺は安堵の息を漏らしていた。
「先刻も言った通り、君の助けになれるかもしれない」
縮こまったまま「ほんとうに……?」零した表情には、懐疑と縋るような期待が滲んでいて。
俺はわけもなく、膝をついて「本当にごめんなさい」と言いたくなった。代わりに「ああ」と短い返事をして、狩野を振り返る。
「俺の言葉に、君が従ってくれるのなら」
「……あなたは、一体」
特徴的な赤いパッケージを掲げて見せた俺に、琥珀色の双眸が散瞳するのが分かった。
「俺は、このゲームの製作者だ」
規則的な振動で目を覚ます。
寝覚めは最悪だった。酷い夢を見た。心なしか頭も痛い。
唸りながら目を瞬かせれば、幾分か視界も晴れてくる。どうやら俺は列車に乗っているようだった。
がらんどうの車内には、色とりどりの花々が敷き詰められて、花畑みたいになっていた。けれども人っ子一人もいないものだから、俺以外の乗客全員が花に変わってしまったような、ホラーな想像をしてしまう。
ただ全開の窓から、絶えず花束が投げ込まれているので、そんなはずはないと分かってはいるのだけど。
視界の端をポイポイと過ぎる、黄色やら白やらのカラフルな花弁。それを横目に上躯を起こせば、図ったように電車が減速する。やがて止まった車内には、「終点~~」と言う男の陰気なアナウンスが流れた。
はて、環状線に終点とはこれいかに。困った、田端駅まで来てしまったのか。
後頭部を掻きながら車内からホームへと降り立って。
…………これ、山手線じゃねえな。
理解した瞬間、俺は膝から崩れ落ちていた。
***
皆様は一部界隈を席巻した、『魔道学園』と言うタイトルをご存知だろうか。あえて注釈を加えるならば、一部界隈とは腐女子界隈であり、それはBLゲームである。
舞台は、魔法が存在する世界の魔法学校。主人公♂となったプレイヤーは、編入生として自身の魔法の腕(プレイヤーレベル)を上げつつ、学園で出会うメインキャラクターたちとの親睦を深めることとなる。
キャラクターの好感度が1人でも上限に達するとゲームクリアだが、これまで選んできた選択肢や自身のプレイヤーレベルによって、結末が分岐する。
エンディングは全45種。重厚な分岐シナリオに、魅力的なキャラクター。全てが同人ゲームとは思えぬほどの高水準であると専らの評判だった。
そして、列車を降りた先は、そのゲームの世界だった。
歴戦のオタク俺の脳裏に、『トラ転』の一文字が過ぎる。けれども困ったことに、自分の死どころかここにくる直前の記憶まで、全くと言っていいほどに思い出せない。
困った。困ったけれども、当初俺は事態をそこまで深刻に見ていなかった。
理由はいくつかある。
ひとつは、身体的特徴も、自認も、俺の知る俺だったから。
色素の薄い直毛に、眠そうな目。かろうじて成人男性の平均身長に滑り込んだだけの、棒切れみたいな貧相な体躯。
パッケージから中身まで浅葱圭一。鏡を覗けば常に見知った顔がいるのは、かなり心強い。
そして何より、俺がオタクであった。
取り返しのつかない腐男子である。そんな俺にとって、この世界はかなりパラダイスだった。理想の美丈夫達のイチャイチャを間近で拝むことができる。プラマイで言ったらギリギリプラに傾くくらいだった。
けれども。
「えん…えん……許して……もうゆるして……」
けれどもである。
「もう身体中痛いよう……血の気が多すぎるよう……どうしておれがこんな目に……」
濡羽色の細い髪に、泣き黒子が特徴的な二重幅の広い瞳。アンバーの瞳が瞬くたびに、睫毛をしならせては涙が零れ落ちる。
三角座りでさめざめと泣く青年に、俺の心はいたたまれなさでミシミシ音を立てていた。
「なんか……ごめんね……」
おもむろに肩に手を置いた俺に、青年は邪気のない目で首を傾げた。
先刻述べた通り、『魔導学園』とはシナリオキャラ造形、全てにおいて高い評価を得ている。
しかし、このゲームの本懐であるとは言い難い。
このゲームの一番の売りとは、『内容の過激さ』だった。
監禁調教洗脳凌辱死亡は序の口、カニバリズムやら石化、無理心中、近親相姦に寝取りもなんでもござれな性癖闇鍋。登場人物の精神が、余すことなく病んでいる。案の定レビュー欄には、『右足が吹っ飛んだ』から始まり、『呪いあれ』で終わる、地雷を踏んでしまった被害者たちの呪詛が並んだ。
けれどもその振り切れた内容が、性癖が拗れたオタクやらゲーマーに刺さった。ちょっと引くくらい刺さった。
結果、『魔導学園』は、若干の炎を帯びながら界隈の名作ゲームに名を連ねた。
では、例えば、どうだろう。俺がモブとしてではなく、主人公として生まれ変わってしまっていたならば。
そんなん、確実に2日で首くくる。
このゲームの主人公はそれだけの非道い目に合う。
故に、眼前の──この、『主人公』になってしまった青年とは、今日までよく耐え抜いたと賞賛されて然るべきだろう。
半泣きで医務室に転がり込んできた青年は、俺こと医務室の妖精が差し出したココアをすすりながら、ぽつぽつと言葉を継いだ。
元々は俺と同じ世界に生きていた事。東京生まれ東京育ち、25歳にして東京に没す。死んで目覚めるとこの世界におり、それから約2カ月間、やたら顔の良い同性に追い回されては酷い目にあってきた。
そして俺は、この青年が襲われる様を、大喜びで鑑賞する側の人間だった。
麗しい男同士の絡みは願ってもないことだが、それは、『人様に迷惑をかけない』という大前提があってこそだ。人の権利を侵しながら啜るBLなぞ、美味くも何とも無いのだ。
罪悪感にマ゛ュ…!と顏をゆがめる俺の隣で、青年はココアをチビチビ飲みながら、「おいしい!おいしい!」と泣いていた。
「人に手渡された物には、もれなく異物が混入していたから………」
かわいそうがすぎる。
「あなたは、なんだか信頼できる方ですね」
「え、えへえへ、そう?」
「ええ、何というか、平凡な顔をしていて………」
「………」
無理もない。この世界における美形とはもれなく異常者である。
とはいえ普通に腹が立ったので、青年の為に沸かしたおかわりココアを一気に飲み干してやる。悲しそうな顔をする青年。溜飲が下がった。
青年の足首に巻いた包帯の上から、治癒魔法の紋を刻みながら、「もしかしたら」と切り出す。
「少しなら君の役に立てるかもしれない。ええと──」
「狩野。狩野幸人(かのう ゆきと)」
「そう、狩野くん」
「?それって──」
首を傾げた青年──狩野は、不意に言葉を呑む。
言葉を呑み、その代わりに、ヒュ、と喉から不自然な音を鳴らした。
その相貌は蒼白で、肩を抱いたかと思えは、ついに小刻みに震え始めてしまって。
明らかに尋常ではない様子に、さすがの俺も心配になって来る。
「来る」
「か、狩野くん?」
刹那。
ぬっと伸びてきた大きな掌が、俺の口を塞ぐ。およそ人間離れした力で俺を押さえつけながら、狩野は唇を震わせた。
「……だめだ、喋ったら」
「?」
「見つかっちゃう!見つかって、引き摺られて!また、食べられちゃう!」
上擦った声は、心底怯えていた。どうか落ち着いて、あなたの声が一番大きいよ、とか言える雰囲気ではないので、言われるがまま息を殺す。
静まり返った医務室を、張りつめた沈黙が支配する。掛け時計の秒針の音が、やけに大きく響き渡っていて。
「ユキト~」
そんな間延びした声が、廊下の向こうから聞こえて来る。悠然と等間隔に近づいてくる足音に、蒼白の相貌が、石膏像みたいに硬直する。
そのままひび割れてしまいそうなほどの絶望感が、ひしひしと伝わってくる。
「ユキト~どこ~~」
「出ておいでよ~怖くないからさぁ~」
「もう齧ったりしないからさぁ~悪かったってば~~もうほんと、全面的に俺が悪………」
「………………………いや、ユキトがおいしそうなのも悪くない?」
流れ変わったな。
間延びした声音は、近づいて来るごとに雲行きが怪しくなっていく。声音から識別することはできないが、その言葉の内容から、俺は男の正体を確信していた。
人に齧りつくとかいう異常行動。流れるような他責思考。
「ぼ、『暴食のグラトニー』だ!」
「『暴食のグラトニー』!?」
俺の叫びを復唱する狩野。「何それリングネーム!?」という困惑の声を無視して、俺は真っ直ぐに教員机へと向かう。
「な、なにしてるの?!………わー!勝手に開けちゃダメだよぅ!」
無造作に引き出しを開け始めた俺の奇行に、狩野は仰け反った。
「あれぇ~こっちからユキトのにおいがするよォ~~ここかな~?」
そして、どこかヒステリックな男の声。聞きつけてくるのではなく、においを嗅ぎつけてくるあたりが非常に気持ち悪い。
ドアを開け閉めするような、バタン!という音が立て続けに響く。どうやら教室の扉を、片端から開閉して行っているらしい。
狩野は、最早いつ吐いてもおかしくない顔色のまま、手で口を覆っていた。
迫る足音。
徐々に大きくなってくるヒステリックな声。
せかされるように1段目の引き出しを漁って。目当ての物を見つけると同時に、俺は安堵の息を漏らしていた。
「先刻も言った通り、君の助けになれるかもしれない」
縮こまったまま「ほんとうに……?」零した表情には、懐疑と縋るような期待が滲んでいて。
俺はわけもなく、膝をついて「本当にごめんなさい」と言いたくなった。代わりに「ああ」と短い返事をして、狩野を振り返る。
「俺の言葉に、君が従ってくれるのなら」
「……あなたは、一体」
特徴的な赤いパッケージを掲げて見せた俺に、琥珀色の双眸が散瞳するのが分かった。
「俺は、このゲームの製作者だ」
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