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129話 連絡がついた

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 雪山にホンイツととも吹っ飛んできた俺はトングという男性に出会う。
 さらには世界から魔物を消し去りたい過激派組織フラワール、の妹と名乗る女性を救助。
 フレンドでレイニーから通信が入った。

「ご無事ですか?」
「良かったそっちも無事そうだな――」
「今、どこらへんにいるか分かりますか?」
「……グレイスノウのあたり、らしい」

 これ以上の詳しい情報はいまのところない。
 晴れているが雪景色が遠くまで見えているのだ。
 下手に動かないほうが良さそうなのは俺も思う。

「私はドリにきてしまいました」
「え?」
「鞄が吹き飛んだので追いかけたらここにたどり着いたのです」
「なるほど」

 レイニーほどの異世界転生者が吹っ飛んでしまったのかと焦った。
 吹き飛んだのは鞄と聞き一安心。
 でも、救助に来るまでは時間がかかりそうだ。

「すみません、今、命の危機がないようでしたら少し耐えていてください」
「何かあったのか?」
「世界中でフラワールさんの作ったリーフデコイ、植物でできた変な人形が大暴れしていたので私への救助要請がたくさんきてます」
「それ、見たわ」
「どうなりました?」
「他の異世界転生者がやっつけてくれた」

 現状を詳しく話してこれから俺がやるべきことを聞いた。
 アル・フラワールさんの怪我の手当はあくまで応急処置。
 ならばマキナに出会えば現在地も分かる。
 下手に動き回って探してはいけない、と注意された。

狼煙のろしをあげていればマキナさんに気づいてもらえるかもしれません」
「まぁ狼煙なら」
 
 こうして狼煙は天高くあが――るはずもない。
 またも吹雪になり雪と風で闇雲に動くのはやめろとの助言の意味を理解する。
 いまの簡易拠点では強度などの問題がある。

「下手に動けないしこの大きさで4人はせまいからでっかい拠点作ろうぜ」
「……まぁ、こんな奴と狭い小屋に閉じ込められてる現状よりかはマシかな」
「トングさんは木を切り倒せますか?」
「大雑把になるけど、出来る」

 こうして俺たちは真剣に取り組んだ。

「カドマツさん――って何ができるのですか?」

 カドマツ王って呼ばれないの新鮮だな。
 どうやらアルさんは俺を知らないらしい。
 けどアルさんはホンイツに関してはずっと距離をとっているので知ってそう。

「【スキル:ラップ】」
「えーと」
「これロープにになって便利ですよ」

風はしのげるけと明日には壊れているかもしれない、という家が完成。
バキッという音がして柱が一本折れた。
さらにドミノ倒しのようにドカッ、バキン!! 倒壊した。

「おとなしくゴーレムハウスで過ごしてくれる?」
「頼むわホンイツ」
「……チッ、仕方ないか」
「2つ作ればいいかな」
「じゃあ俺がゴミカスとな」
「え!?仲わるいんじゃ!?」
「こんな山奥で怪我したあげくホンイツと一緒とか可哀想だろ」
「俺とホンイツでもいいよ?」
「俺は既婚者なんだ……その、女性と二人きりにしないでくれ」
「あ、はい」

 アルさんと土のゴーレムハウスに入って寒さをしのぐ。
 二人が床に寝そべっても多少の余裕はある。
 中央の焚き火を絶やさないようにして話しかけた。

「ええっと、アルさん――でいいのかな?」
「はい、私はアル・フラワールです」
「俺は闇のスキルを使われたことがあるから、過去とか見えたら大変なことになりますよ?」
「私は平気ですよ」

 【スキル:コーヒー】でコーヒーの木を外に生やした。
 でもコーヒーを作るには労力と時間がかかるので実のほうをむしる。
 土鍋に入れてかきごおりと煮詰めてジャムにした。

「ちょっと不格好ですけど、どうぞ」
「すごい!! 色んなことができる――えっと、同じ異世界転生者様ですよね?」
「151代目の異世界転生者」
「魔王を一撃でうちとった伝説の異世界転生者ですか!?」

 俺じゃない。

「ええっと、レイニーって分かる?」
「先ほど【スキルカード:フレンド】で会話されていた水の竜騎士様ですよね?」

 何その中学生が考えてそうな二つ名。
 ここにきて初めて聞いた。
 どうやら過去の一般市民の間ではそう呼ばれていたらしい。

「俺もなんか欲しい――」
「ええっと」

 苦笑い、もしかして既にある?
 スゴーク・スキル・イッパーイとかで苦笑いされているのかも。
 あるいは何か悪口が広まってるかも――?

「何でもいいから俺の二つ名があるなら教えてくれませんか?」
「虎の威を借るキツネ、と」
「大体あってるな」
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