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82話 新たな四天王
しおりを挟むここはドリという国、俺たちはやっと終わったとドリの城から出てきた。
「まぁ、政治的にはよろしくやったほうがいいのかもしれませんが」
「今更じゃねぇ? あの人、どう考えてもカミノ王国からみれば敵じゃん」
さかのぼること1時間前。
ニカナで新たな国王が誕生したので祝いのパーティー出席しろというメッセージがレイニーに届いた。
引きこもっていたレイニー。だが、ノアの娘からの頼み、無理やり犯そうなんて最低なことをやらかしたレイニーにこれぐらいしてやれと俺が引っ張り出して連れてきた。
新・国王おひろめパーティーはニカナではなく、色々を考慮してこのドリという国で行われる。ホンイツのせいでニカナに行きたがらない異世界転生者は多いらしい。
ドリ王国はまるでシャーロック・ホームズでもいるかのようなイギリスに似た光景。
ヨーロッパ観光のようでちょっと浮かれたがさっさと城にレイニーを連れて行った。
遊園地にこういう城あるな、という城でパーティー開始。
王位を継承することをホンイツが皆に話した。
俺はずっとホンイツがまじめに話してるのがツボで笑いをこらえていた。
「ぐふ……ふ……っ!!」
そこまでは全然いい。問題はフラワールという過激派の女性がいたこと。
主張を簡単にまとめると〈魔物はすべて滅ぶべし〉という集団のリーダー。
やけに皆が彼女のことや話題を嫌っているとは思ったが納得した。
「あなた魔物なんかの味方をするつもり!?」
「……今日、祝いの席っすよ」
「関係ないでしょ、魔物は人類の敵なのよ」
こりゃあ嫌いなハズだ、差別や嫌いな感情についてはまだ分かる。
仲間とか家族とか魔物に殺されて悲しいとかあるだろうさ。
でも、ドリはまったく魔物問題には関係ない国だしニカナにも失礼。
いくら外交とか知識がほぼないワンズさんですらアイツ何してんだよって顔だ。
さらにはレイニーが自分で自分は〈影〉だと暴露。
だから心臓にコアが〈ない〉ことも告げていた。
俺は人間にコアが存在していることをここにきて初めて知った。
『心臓にコアがない!?』
『ほ、本当にありません!!』
『何者なんですか!?』
ジーンズでの謎が一つ解けた。
「だから俺がレイニーのおっぱい揉んだ時あんなに焦ったのか!!」
全員の視線が俺に集まった。披露会は終わったが何かしらの誤解をされた気がする。
そして1時間後の今に至る。
パーティーも終わり現在はドリを観光させてもらっている。
案内人をつけようかとドリの王女様がレイニーに訊ねるも、レイニーは断った。
「もはや私のことなど皆様どうでもよくなっていましたね」
「俺が何をしたっていうんだ……おっぱいは揉んだ」
「しかし新しい四天王がまさか火山に現れたとは」
パーティーで皆が集まっているなかティラノが緊急で発表したのだ。
あまりの熱さに異世界転生たちも近づきたがらないらしい。
前回はクソ寒い雪の国だったが今度はマグマ。
いつも思うけどゲームの敵キャラなんでそういう暮らすのに不便そうな場所にいるの?
不動産に相談してくれ、アパートとかで暮らしていてくれ。駅から徒歩5分圏内で頼む。
「到着です」
「スキルカードの店はどの国も面白いからな――んで本屋が一緒か」
「首をかしげてどうしました?」
「何でこの世界って飛行機とかないんだろうな、と」
戦争ものっぽい表紙の本が売られていて、歴史はそれなりに長そうなのに飛行機は誰も開発しなかったの? と素直な疑問をぶつけた。
「飛行船ならありますけど、飛行機――そういえば昔はありましたね」
「あったの!?」
「魔王と戦えるほど強いならば【スキルカード:テレポーター】が使えますし」
「確かに」
「そして飛行機って作るのに2億マルは必要ですから」
「戦争なら――」
「国同士で争いになることは基本的にありません」
「マジで!?」
「どこも魔物のために強力な異世界転生者が欲しいのです、そして異世界転生者は戦争をしている国にはかかわってくれません」
「なるほど!!」
珍しいスキルカードは【スキルカード:密封】が大量に売られていた。店員にどう使うか聞いたところ、紅茶の葉っぱを缶にいれておくのだがこれを使えば美味しい紅茶が飲めるらしく異世界でもイギリスっぽいこの国は紅茶が名産品らしい。
「俺だけじゃなくてこういう変わったスキルもあるんだな」
「本来は相手を窒息させるためのスキルですけどね」
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