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12話 王子の傍に
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「……」
「ギャー失敗した!!」
部屋中がキノコにまみれてしまった。
賃貸という表現が正しいかは分からないが、転生者を歓迎するためのかいう借り物の部屋だ。レイニーが戻ってくる前になんとかしなければ……。
でもどうする!? 除菌するか全部収穫してスキルで出しましたーってごまかすか?
「おはようございます」
「ぎゃーッ!」
「キノコまみれになった程度で怒ったりしませんよ」
「ごめん貸してもらってる部屋なのに」
昨晩ウルフさんに聞いた話からして、俺が魔王討伐部隊についていけるかどうかレイニーはずっとチェックしているのではないだろうか。
魔王討伐に向かわせても生きて戻ってくるのかどうか。仲間を危険にさらさないかどうか。
今まで城中どこに行くにも付いてきて少しキモイとか思っていたが内緒にしておこう。
「しかし……キノコを生やすスキルですか?」
「【スキル:ドコドコキノコ】でキノコ生えるっていうから1本がにょきって生えてくるのかと思って試したら部屋中にキノコが」
「ドコドコキノコ!?」
俺もダサいスキル名だとは思ったけど仕方ないじゃん。
スキルブックにそう書いてあったんだから。
いでよ、ドコドコキノコ! とか叫んだあとにえっちな想像してティッシュ取りにいって戻ってきたら取り返しがつかないぐらいキノコノコノコしていたなんてレイニーに言えるはずもなく。
「調理場に持ってく?」
「有毒ですから絶対にやめてください」
「しかも毒キノコなの!?」
「無味無臭なので魔物のエサに混ぜて食べさせて駆除するほどです」
「怖いけどそのキノコ魔王に効く?」
「ほとんど効かないです。人間は即死ですが」
毒薬だけ作った人になってしまった。
このままでは犯罪の片棒を担ぐことになるかもしれない。
大量にある劇薬を処理しきるには――
「【スキルカード:炎】これで片づけていくしかないか」
「ちょ!?」
手っ取り早くキノコを燃やしてしまおうとした。
城は石で作られているし、燃え移りそうなら【かき氷】で消せばいいかと思い、使った。
バンという大きな音がした。何が起きたかも分からず俺は気を失った―――。
目が覚めたら、城内にある医務室のベッドの上だった。
「全身クソ痛い……」
「でしょうね」
「レイニー?」
「ドコドコキノコはガスを発生させるので火気は厳禁なんです」
「先に言ってほしい」
「炎系のスキルは危ないのでとめていたはずですが?」
「ごめん俺ってマジで記憶力がなくて……」
レイニーは怪我もないようでとても安心した。
これでレイニーまで巻き込んで全身が火傷なんてことになっていたら俺はこのまま死刑になっても不思議はない。
というか、もしかして今から牢屋に入れられるとこかも。
「……あなたをとめられず申し訳ない」
「え?」
「私が【スキル:水】でキノコを撃ち抜けていれば、ここまで酷い火傷は負わずに済んだのに……」
「自分のせいとか思わないでくれよ!?」
「しかし――」
「俺がうっかりだったのにお前が勝手に責任感じていたら腹立つから」
お食事の支度ができましたとメイドが知らせてくれたが、俺は両手を大火傷。
可愛いメイドさんに食べさせてもらえないかと頼んだが断られた。
それはレイニー王子のお仕事だと言われ、全く納得できない。
「私が責任もって私が食べさせますから」
「王子の仕事じゃない」
「これが私の仕事なんです」
俺は可愛いメイドさんにあーんしてもらいたかった。
「ギャー失敗した!!」
部屋中がキノコにまみれてしまった。
賃貸という表現が正しいかは分からないが、転生者を歓迎するためのかいう借り物の部屋だ。レイニーが戻ってくる前になんとかしなければ……。
でもどうする!? 除菌するか全部収穫してスキルで出しましたーってごまかすか?
「おはようございます」
「ぎゃーッ!」
「キノコまみれになった程度で怒ったりしませんよ」
「ごめん貸してもらってる部屋なのに」
昨晩ウルフさんに聞いた話からして、俺が魔王討伐部隊についていけるかどうかレイニーはずっとチェックしているのではないだろうか。
魔王討伐に向かわせても生きて戻ってくるのかどうか。仲間を危険にさらさないかどうか。
今まで城中どこに行くにも付いてきて少しキモイとか思っていたが内緒にしておこう。
「しかし……キノコを生やすスキルですか?」
「【スキル:ドコドコキノコ】でキノコ生えるっていうから1本がにょきって生えてくるのかと思って試したら部屋中にキノコが」
「ドコドコキノコ!?」
俺もダサいスキル名だとは思ったけど仕方ないじゃん。
スキルブックにそう書いてあったんだから。
いでよ、ドコドコキノコ! とか叫んだあとにえっちな想像してティッシュ取りにいって戻ってきたら取り返しがつかないぐらいキノコノコノコしていたなんてレイニーに言えるはずもなく。
「調理場に持ってく?」
「有毒ですから絶対にやめてください」
「しかも毒キノコなの!?」
「無味無臭なので魔物のエサに混ぜて食べさせて駆除するほどです」
「怖いけどそのキノコ魔王に効く?」
「ほとんど効かないです。人間は即死ですが」
毒薬だけ作った人になってしまった。
このままでは犯罪の片棒を担ぐことになるかもしれない。
大量にある劇薬を処理しきるには――
「【スキルカード:炎】これで片づけていくしかないか」
「ちょ!?」
手っ取り早くキノコを燃やしてしまおうとした。
城は石で作られているし、燃え移りそうなら【かき氷】で消せばいいかと思い、使った。
バンという大きな音がした。何が起きたかも分からず俺は気を失った―――。
目が覚めたら、城内にある医務室のベッドの上だった。
「全身クソ痛い……」
「でしょうね」
「レイニー?」
「ドコドコキノコはガスを発生させるので火気は厳禁なんです」
「先に言ってほしい」
「炎系のスキルは危ないのでとめていたはずですが?」
「ごめん俺ってマジで記憶力がなくて……」
レイニーは怪我もないようでとても安心した。
これでレイニーまで巻き込んで全身が火傷なんてことになっていたら俺はこのまま死刑になっても不思議はない。
というか、もしかして今から牢屋に入れられるとこかも。
「……あなたをとめられず申し訳ない」
「え?」
「私が【スキル:水】でキノコを撃ち抜けていれば、ここまで酷い火傷は負わずに済んだのに……」
「自分のせいとか思わないでくれよ!?」
「しかし――」
「俺がうっかりだったのにお前が勝手に責任感じていたら腹立つから」
お食事の支度ができましたとメイドが知らせてくれたが、俺は両手を大火傷。
可愛いメイドさんに食べさせてもらえないかと頼んだが断られた。
それはレイニー王子のお仕事だと言われ、全く納得できない。
「私が責任もって私が食べさせますから」
「王子の仕事じゃない」
「これが私の仕事なんです」
俺は可愛いメイドさんにあーんしてもらいたかった。
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