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10話 相談
しおりを挟む警備や修行で忙しいウルフさんに時間を割いてもらうのは気が引けたけど、魔王討伐のためであれば何でもすると言ってくれた。頼もしい。
「俺みたいな弱い人間に時間を使っても大丈夫なのでしょうか?」
「やる気がある奴ならいくらでも使う。スキルには〈限界〉があるからな」
「〈限界〉?」
スキルというものは鍛えればいくらでも強化できるわけでもないものらしく
徐々に成長速度は落ちる。最後には成長が止まったように感じるのだとか。
そこで考えたのが後輩の育成。たとえば威力の強い銃を持った男が1人と威力の弱い銃を持った2人ならば後者のほうが圧倒的に強い。
「数字で言えば〈強さ10〉よりも〈強さ7×2=14〉みたいな話だ」
「分かりやすい」
「触れた者のパワーを上げたりするサポート系スキルなんかもある。これも重要な役目だから選びたいなら遠慮はいらん」
「何もかもが捨てがたいっていうか」
「お前ほかの転生者に変なツボとか買わされそうになったら言えよ?」
「何で急に?」
「俺がこいつチョロいと思った奴はたいてい誰かに騙されたからな」
チョロいと思われるのはいいが騙されたと聞いて怖くなる。カミノ王国に泥棒はいないのに転生者を騙す詐欺師はいるのかよ。
レイニーに頭下げたら立て替えてもらえるかな、自業自得って言われたら俺泣いちゃう。
魔王討伐隊に同行するなら、役に立つ何かは絶対に持っておきたい。
「撃ちやすいとなれば炎?」
「お前は氷雪系だと思っていたが違うのか?」
「かき氷なら作れますけど魔王にかき氷出しても仕方ないかと」
「冷気で攻撃したあと熱で追撃するのは戦術として王道だろう」
「アニメでよく見る手法」
「スキルカードよりも元から持っているスキルは伸びがいいからな。今はかき氷程度でも〈風〉のスキルカードを合わせれば、いずれはお前の吹雪が有用な攻撃となるかもしれない。氷魔法を伸ばせる転生者は貴重だ」
~以下妄想~
『ぐっ、硬い……!』
『攻撃がぜんぜん通らない!』
『何か手はないのか―――!?』
魔王に攻撃が効かなくて困り果てる勇者のパーティーの前に、その男は現れた。
この世界でも使える者はごく稀という〈氷〉のスキルを自在に操る謎の男。
彼は両手を魔王に向けて呟く。
「【スキル:かき氷】―――!」
『魔王の攻撃が止まった!?』
「俺のスキルでは足止めにしかならん!! 今のうちに炎のスキルで攻撃を!! 俺達皆で力を合わせて魔王を倒すんだ……!!」
『わ、分かった! ファイヤー!!』
魔王『ぐわー』
……妄想終了。
主人公ではないが、主人公を支えるクール系キャラ。
俺にクール系似合う? というのは疑問ではあるものの、女性人気ナンバー2ポジションには間違いない。
「カドマツのやりやすいスキルが一番だが、どうだ?」
「【かき氷】でも使いようですね!」
「チョロ―――、オホン、時間はあるし伸ばせそうか試してみてくれないか」
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