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4話 生活
しおりを挟む王子に世話され、ここが〈カミノ王国〉という国であることや、王子が彼・レイニー1人だけであること、さらには転生者が10年に一度というハイペースで現れる地なのだとも聞かされた。
レイニー・サック王子は110代目の転生者であり、所持スキルは【スキル:水】。水を操ったり雨を降らせたりできるらしい。実に羨ましいスキルだ。
「俺もそれが良かった」
「探していけば有用なスキルもあるかもしれません」
「ポジティブ……ですね」
「自爆するスキルが誤爆でもしていたら今頃大変なことになっていますから」
「ないことを祈ってください」
魔物がいる世界だが、町には入ってこないと説明された。
壁があるので空を飛ぶような魔物か、登る力に特化した魔物なら侵入するぐらいはできるだろうが国境警備の兵士たちが強いので心配は要らない。それに、この城はカミノ王国の中心部にあるので、万が一攻めてこられても敵が攻めてきても到着までかなり時間があるらしい。
「魔王とかいます?」
「はい」
なんとと異世界転生者と同じく魔王も10年に一度復活するらしく、来年には再び討伐しなければならない。
そして10年に一度の魔王討伐作戦では転生者たちが勢ぞろいするらしい。
魔王はそこらの魔物よりもはるかに強く、強いスキルを持った転生者でなければとても太刀打ちできないらしい。
「俺みたいなハズレが転生してくることも?」
「ハズレかは分かりませんが、戦えない転生者の方であれば稀に」
「どういうスキルですか?」
「音楽を奏でると音色を聴いた人間・低級の魔物を全て眠らせるスキルです」
人間も眠らせられるなら便利そうだ。悪い奴とか演奏で眠らせた隙にお縄にできる。
キャー助けてーって女性の悲鳴に駆けつけ、その場にいる全員を眠らせてどうにかできる最高のチートスキル。
黄色い声援は少ないだろうけど、影の活躍をしている感があってカッコいい。
「他には?」
「土を操るスキルなどもありましたね」
「戦えそうですけど」
「土の壁で埋めるだけで倒せるような魔物もいるのですが、肝心の魔王には効かないので」
「相性の問題」
しかも土が操れるなら農家としてのスローライフにも便利そう。
畑を耕すのが一瞬で終わるし、畑仕事だけで食っていくこともできるかもしれない。
「カドマツ様にどのようなスキルがあるか楽しみです」
「服がはじけ飛んだ男のスキルなのに?」
「生活していけば便利なスキルの1つや2つぐらい見つかると思いますよ」
何故こんなにもポジティブに無責任なことを言うのかと聞けば、レイニー自信が選ばなかったけど便利そうだったスキルをいくつか覚えているからだと言われ試してみることに。
「【ライト】―――あっほんとだ、指先が懐中電灯みたいに光る」
「便利でしょう?」
「ランプでいいような」
「蝋燭は高級品なんですよ、この世界」
王子様でも蝋燭の値段なんか気にするのか。
レイニーも元は同じ異世界転生者ってことは、生まれながらの王宮生活ってわけじゃないもんな。
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