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5話 悪魔が思っていたのと違う

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時給がとんでもなくいいので地獄階段でバイト
やる事はマラソン大会の給仕係とそこまで変わりない
現時点で門が3つあって一つは天使専用で使用が出来ず
 
『業者用の通路だと思っていてください』
「なるほど」
『そしてこの『門』が人間の仕事用でスーパーとかで言うバックヤードです』
 
くぐってみれば確かに大量の商品が置いてある場所へ出た
珈琲や紅茶にと沢山ある場所にお茶のコーナーがあり
銘柄などは書いていないが『緑茶』とあるものを渡された
 
 
『緑茶はここにありますが行事の時だけ別のものが配られたりします』
「例えば?」
『クリスマスにはケーキが出たりします』
「納得しました」
 
学校の給食にも似たシステムだが
どちらかと言えば刑務所に近い
説明を受けた感じ公務執行妨害罪で捕まった人たちである
 
『もし道具は他にいりそうだなと思ったら向こうにレジのような場所がありまして』
「買うのですか?」
『いえ違います馬鹿みたいに広いので品物の場所を聞いて勝手に持って行って下さい』
「ゆるいんですね」
『この仕事は嫌がる方が多いので緩めにしていまして』
 
電気ケトルのような何か(電力ではないがお湯を沸かせる)
きゅうす、机、紙コップ
水については無限に出る水道を渡されて壁に張り付けて使うらしい
魔法のようだが天国に魔法も何も無い
 
「運ぶのが大変そうですね」
『天国に『重い』って概念はあまりないので』
 
本当に発砲スチロールのように軽い机だったのであっというまに運んだ
水道は真っ暗な壁に貼り付けて
蛇口をひねると水が出るのでケトルへ入れれば勝手に沸く
きゅうすに茶の葉を入れてお湯を入れて
 
「お茶どうぞー」
 
気が付けば大量にいた悪魔たちが列になっていて
お茶を一人ずつ受け取っていく
まるで菓子を受け取る子供のようにキラキラした顔で受け取っていく
 
「うまぁ」
 
受け取ってごくごくと一気に飲む最初に出会った悪魔
沸かしたばかりで湯気がすごいのに
人間がやれば病院行きかもしれない
 
「火傷しないのでしょうか?」
「悪魔って頑丈だから」
「所でお名前を聞いてもよろしいですか?」
「俺ちゃん平助(へいすけ)」
 
悪魔ってもっとサタン!!とかベルゼブブ!!みたいなカタカナだと思っていた
しかし日本支部なのでよく考えたら日本人が多いのは当然?
海外の悪魔も気になるがここは比較的に大人しいとの事で
 
「何で?」
「日本人は冷静に判断できても悪魔になる奴いるからさ」
「え?」
「可哀想なのが子供を残してあの世へいけるかって天使を殴っちゃりしたパターン」
「本当に可哀想ですね」
 
子供を残して死ねないのは昔なら今より分かる
他の大人たちはよその子を嫌うし
児童の保護施設なんてせいぜい寺がいい所だが
生き延びれば運が良く寺に入れられても厳しい日常
 
「それぐらいなら地獄の最下層には行かないから早めに上階に来るのよ」
「上階だと何かいい事が?」
「待遇が全然違う」
「会社みたいですね」
「上に行くほど背中の羽が軽いし」
「重さの概念ってほぼ無いと」
「この羽は罰でつけられてるから『罪の重さ』って奴」
「罪の重さって物理的なのですね」
 
スピーカーから校内放送みたいなピンポンパンポンが鳴り響く
 
『本日終了の時刻です』
 
声に悪魔たちは喜んでいる様子
 
「なにが終わったのですかね?」
「俺ちゃんたち24時間ずっと登って無きゃいけない訳じゃないの」
「なるほど?」
「普段は天国に暮らしてて時々しなきゃいけない程度」
「悪魔専門のアパートなどが在るのでしょうか?」
「あるけど悪魔だからって城とかにふんぞりかえったりはしないかなぁ」
 
死神のアパートはイメージ通り
悪魔に関してはそうでも無いと
しかし嫌われていたりするだろうから家探しは難航しそうだ
 
「悪魔用の引っ越し業者とかいるのでしょうか?」
「持ち家の奴が多いから引っ越すなら自分で全部持つか悪魔に手伝ってもらうかだな」
「借りているのではなく買い切りで?」
「昔話でおじいさんとおばあさんが暮らしている家が借家に見えた事ある?」
「無いですね」
「借りるって俺ちゃんらの世代からしたら高級な土地の家でさ」
 
ジェネレーションギャップ
死にたてなのもあるが年の差がすごそう
あの世で誕生日とか年齢という概念があるかは微妙
 
「バイトすぐ決めて正解だろうな明日って日曜だし」
「地獄にも曜日があるのですね」
「あの世ぜんぶリアルタイムで現世と連動してるぞ」
「季節とかも?」
「そりゃ勿論あるさ冬はけっこう気温低いから気を付けろ」
「温かい服とか買うべきですかね」
「地獄で働くなら制服が天使に支給して貰える筈だぞ」
 
こうしてバックヤードに行く
制服のコーナーがあるかと探してみるが
デパートのように巨大すぎてもはや目が回る
 
「無い」
「あーやっと見つけた」
「平助さん!?」
 
悪魔もバックヤードに来られるのかと驚く
別に違法ではないらしい
現在の自分が担当している階段では悪魔もそれなりに自由が利くと
 
「来ることは出来るけど階段へ持っていく事は無理な」
「どうして私を探して?」
「日本人って真面目だからこの広い倉庫から探し歩いてないかと思って」
「まさにです」
「制服コーナーはもっとすげぇ奥にあるから天使に申請しろ」
「詳しいのですね」
「良い事すると罪が軽くなるシステムがあるからバイトには優しくしてんのよ」
 
バックヤードで新人を案内してあげると善行の稼ぎがいいらしく
だから場所を把握しておいて探している人をを案内する為に詳しい
ギブアンドテイクと言われ気兼ねなく制服コーナーへ
 
「ゲームに出てきそうなデザインの衣裳ですね」
「嫌いか?」
「割と好きです」
「そりゃ良かった」
「これって勝手に持ち出していいのでしょうか?」
「お前のバイトって『階段管理』って言うんだけど基本ここにあるもんはいい」
「ダメなものとかあります?」
「物がおいてある棚とかワゴンとか、あと他人の服を脱がしてもっていくとか」
「具体的ですね」
「実話だ」
「変な人っていますからね」
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