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第七章 愛執編
夜風☆
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ファーリアは自分が見張っているので、別の部屋で休まれてください――というシハーブの申し出を「いい」と短く断って、マルスはまた部屋に戻った。
気絶したように眠っているファーリアを確認して、マルスは小さく安堵した。いっときでも離れていると姿を消してしまうような気がして、気が気でない。
せめて何か食べてください、とシハーブに言われたのを思い出し、マルスは新しく用意されたパンとスープを口にした。
「んぐっ――」
喉になにかつかえたような感覚がずっとある。それでも無理やりに飲み下したが、すぐに吐き気が込み上げてきて、結局すべて吐いてしまった。
部屋には次の間の他に、小さな浴室が備え付けられている。金盥にひとしきり吐いて顔を上げると、鏡に自分の姿が映っていた。
(酷い顔だ――)
マルスは自嘲したが、口の端が僅かに歪んだだけだった。
軽く顔を洗い、部屋に戻る。昼も夜も抱き合った部屋は、マルスとファーリアの匂いが混ざりあって充満していた。
マルスはカーテンを開け、窓を開け放った。
夜風に乗って、微かにジャスミンの香りが漂ってくる。
(もう、そんな季節か――)
「……ん……」
背後でファーリアが小さく寝返りを打った。
その寝顔の愛らしさに、マルスは一瞬、怒りを忘れた。寝台に歩み寄り、眠っているファーリアの傍らに腰を下ろす。柔らかい髪を梳き、まぶたに口づけする。滑らかな曲線を描く頬に、軽く上を向いた鼻に、小さく形の良い唇に、口づけを落としていく。乳房を包み込むように愛撫し、そのままするりと脚の間の襞に指を這わせる。ぴくんと躰が反応し、ファーリアは眠ったまま艶かしい吐息を漏らした。
「ぁあん……」
やがてファーリアの蜜が流れ出てきて、マルスの指を濡らした。マルスは感じやすい突起を優しく撫で回してから、そっと指をファーリアの内部に挿し入れた。
「やっ……あ……」
びくんと腰が浮き、ファーリアの躰が寝台の上で悶える。
その艶めかしい肢体に、マルスは欲情した。裏切られたと知って、なぜまだこんなにも愛しいのだろう。いくら抱いても飽き足らず、まだ欲しくてたまらない。失いたくない。
マルスの指がファーリアの内部で蠢いて、ファーリアはまた喘いだ。
「……ーリ……」
それは全く無意識に出た声だった。
だがそれこそが情夫の名だと察して、マルスは身の裡で嫉妬が爆発するのを感じた。
「……っ!」
マルスは乱暴にファーリアを掻き回した。突如襲いかかる刺激に驚いて逃げる腰を、がっしりと掴まえて攻め立てる。
「いやああああっ!」
ファーリアは覚醒した。見上げると、幽鬼のような形相のマルスが、銀髪を振り乱して覆いかぶさっている。
「そんなに良かったか、下賤の男は」
じゅぶじゅぶと溢れ出る蜜を掻き出しながら、マルスは言った。
「ああ、やああ、あああ…っ!」
敷布にしがみついて耐えるファーリアを、背後から犯す。
「砂漠で獣のように抱き合ったのか?」
マルスは背中の疵跡に爪を立て、固く屹立した楔でファーリアを奥深く何度も抉った。
激しく腰を打ち付ける音が、室内に響いた。
気絶したように眠っているファーリアを確認して、マルスは小さく安堵した。いっときでも離れていると姿を消してしまうような気がして、気が気でない。
せめて何か食べてください、とシハーブに言われたのを思い出し、マルスは新しく用意されたパンとスープを口にした。
「んぐっ――」
喉になにかつかえたような感覚がずっとある。それでも無理やりに飲み下したが、すぐに吐き気が込み上げてきて、結局すべて吐いてしまった。
部屋には次の間の他に、小さな浴室が備え付けられている。金盥にひとしきり吐いて顔を上げると、鏡に自分の姿が映っていた。
(酷い顔だ――)
マルスは自嘲したが、口の端が僅かに歪んだだけだった。
軽く顔を洗い、部屋に戻る。昼も夜も抱き合った部屋は、マルスとファーリアの匂いが混ざりあって充満していた。
マルスはカーテンを開け、窓を開け放った。
夜風に乗って、微かにジャスミンの香りが漂ってくる。
(もう、そんな季節か――)
「……ん……」
背後でファーリアが小さく寝返りを打った。
その寝顔の愛らしさに、マルスは一瞬、怒りを忘れた。寝台に歩み寄り、眠っているファーリアの傍らに腰を下ろす。柔らかい髪を梳き、まぶたに口づけする。滑らかな曲線を描く頬に、軽く上を向いた鼻に、小さく形の良い唇に、口づけを落としていく。乳房を包み込むように愛撫し、そのままするりと脚の間の襞に指を這わせる。ぴくんと躰が反応し、ファーリアは眠ったまま艶かしい吐息を漏らした。
「ぁあん……」
やがてファーリアの蜜が流れ出てきて、マルスの指を濡らした。マルスは感じやすい突起を優しく撫で回してから、そっと指をファーリアの内部に挿し入れた。
「やっ……あ……」
びくんと腰が浮き、ファーリアの躰が寝台の上で悶える。
その艶めかしい肢体に、マルスは欲情した。裏切られたと知って、なぜまだこんなにも愛しいのだろう。いくら抱いても飽き足らず、まだ欲しくてたまらない。失いたくない。
マルスの指がファーリアの内部で蠢いて、ファーリアはまた喘いだ。
「……ーリ……」
それは全く無意識に出た声だった。
だがそれこそが情夫の名だと察して、マルスは身の裡で嫉妬が爆発するのを感じた。
「……っ!」
マルスは乱暴にファーリアを掻き回した。突如襲いかかる刺激に驚いて逃げる腰を、がっしりと掴まえて攻め立てる。
「いやああああっ!」
ファーリアは覚醒した。見上げると、幽鬼のような形相のマルスが、銀髪を振り乱して覆いかぶさっている。
「そんなに良かったか、下賤の男は」
じゅぶじゅぶと溢れ出る蜜を掻き出しながら、マルスは言った。
「ああ、やああ、あああ…っ!」
敷布にしがみついて耐えるファーリアを、背後から犯す。
「砂漠で獣のように抱き合ったのか?」
マルスは背中の疵跡に爪を立て、固く屹立した楔でファーリアを奥深く何度も抉った。
激しく腰を打ち付ける音が、室内に響いた。
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